ブラジルの法律実務

ブラジルの法律実務

日本ではなかなか情報が取得できないブラジルの法律について、ブラジルの法律事務所で働く日本の弁護士が実務家の視点からブラジルの法律を解説いたします。

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腐敗防止法施行令(Decreto 8420/2015)(その4)の続き

(4)コンプライアンスプログラム

コンプライアンスプログラムの施行及び実施は、罰金額を算定する際に考慮される事由の一つです。本施行令では、コンプライアンスプログラムは、各会社の実情に合わせて作成される必要があると規定しています。そのため、他社で使っているプログラムをそのまま使うようでは、適切なコンプライアンスプログラムが実施されていると評価されない可能性があります。

コンプライアンスプログラムに関して考慮される事由は以下のとおりです。
①経営層がコンプライアンスプログラムの実行に関与していること
②コンプライアンスプログラムが全ての従業員に適用されていること
③コンプライアンスプログラムが、必要に応じて第三者にも適用されていること
④定期的な教育が行われていること
⑤コンプライアンスプログラムが定期的に検討・見直しがされていること
⑥適正な会計処理が行われていること
⑦適正な会計処理が行われるための内部統制があること
⑧公共入札や行政が関わる行為に関して不正行為が行われないようにするための特別な施策が施されていること
⑨コンプライアンスプログラムを監視・実施する独立の機関が会社内にあること
⑩内部通報制度があること
⑪コンプライアンスプログラムに違反した際の懲戒制度があること
⑫不正行為を発見・防止し、また、損害を賠償する制度が確立していること
⑬第三者と契約する際に適切なデューディリジェンスが行われていること
⑭M&A等の際に適切なデューディリジェンスが行われていること
⑮コンプライアンスプログラムが実効的であるための継続的なモニタリングが行われていること
⑯政治献金の透明性が確保されていること

コンプライアンスプログラムが適切に作成・実施されているかについては、以下のような事情が考慮されます。
①従業員の数
②会社の組織構造
③コンサルタントや代理店の利用の有無
④会社の業種
⑤会社が事業を行っている国
⑥公共機関との関わりの度合い
⑦グループ会社の数・所在地
⑧会社の規模
腐敗防止法施行令(Decreto 8420/2015)(その3)の続き

(3)リニエンシー契約

リニエンシー契約は、腐敗防止法違反の行為だけではなく、公共入札法違反の行為に関しても締結できます。

リニエンシー契約を締結することで行政罰の免責又は軽減を受けることが可能です。

リニエンシー契約を締結するための条件は以下のとおりです。

①最初の通報者であること
②不正行為を中止すること
③不正行為を認めること
④調査に協力すること
⑤不正行為の証拠を提出すること

リニエンシー契約は当事者の申入れから180日以内(延長可)に判断され、審査機関中はリニエンシー契約の申入れの事実は秘密情報として取り扱われます。

なお、グループ会社が同時にサインすることでリニエンシー契約の効力をグループ会社まで及ぼすことが可能です。
腐敗防止法施行令(Decreto 8420/2015)(その2)の続き


(2)罰金の算定方法等

罰金の算定は、調査開始年の前年度の売上高に一定のパーセントを乗じた額を積み上げ、かつ、一定のパーセントを乗じた額を減じる方式を採用しています。

例えば、積み上げる項目及びその掛率は以下のようなものがあります。

①不正行為が継続的になされた場合:1%~2.5%
②不正行為を行った者が取締役であった場合又は経営層が当該不正行為を許容もしくは認識していた場合:1%~2.5%
③不正行為の結果公共事業が妨害され場合:1%~4%
④不正行為者の財務状況が一定の指数を超える場合:1%
⑤不正行為を再度行った場合:5%
⑥不正行為により契約を獲得した場合:受注金額により1%~5%

一方、減額する項目及び掛率は以下のようなものがあります。

①不正行為が完了しなかった場合:1%
②不正行為による損害が賠償された場合:1.5%
③調査に協力した場合:1%~1.5%
④調査開始前に自己申告した場合:2%
⑤コンプライアンスプログラムを策定・運用していた場合:1%~4%

なお、罰金の上限・下限は以下のとおりです。

上限:調査開始年の前年度の売上高の20%又は不正行為により得た又は得ようとした額の3倍の低い額

下限:不正行為により得た額、調査開始年の前年度の売上高の0.1%又は6000レアルの高い額

また、売上高及び控除される税額の計算方法については別途の施行令で定められる予定です。