今回は堤治神社（つつみはりじんじゃ）。一宮市小信中島宮浦７８０。
訪問日：２００９年１２月１５日

５４６句は次の通りである。
　　　　　　青々と樹木茂れり冬の杜　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　社殿を始め見所が豊富にある神社。木曽川の氾濫に苛まれた地帯の神社の一つでありながら、一宮市指定の鎌倉時代の「木造狛犬」等の文化財、神橋、参集殿等々。さらに冬場でありながら樹木が青々と茂っていた。

５４７句は次の通りである。
　　　　　　枯葉落つまっすぐ歩めば堤治　　　　　　　　（桐山芳夫）
　足元に枯葉落ちて目の前の神橋の横を通りすぎる。そこに拝殿があって、合掌する。堤治神社の堤治は堤防という意味である。祭神は埴安姫神（はにやすひめのかみ）。島生みで名高い伊邪邦美命（いざなみのみこと）の娘である。埴は埴輪の埴。赤土のことである。

５４８句は次の通りである。
　　　　　　堤治願いは一つ冬嵐　　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　木曽川の堤防沿いに神社が造作された人々の願いはいうまでもなく、木曽川の氾濫である。木曽川は農業開発に大切。様々な恵みをもたらす。他方、たびたびの氾濫は人々を悩まし、嵐がやってこないようにと願いは一つである。

５４９句は次の通りである。
　　　　　　鎌倉の狛犬なれやトンボ飛ぶ　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　一宮市指定の木造の狛犬が残っている。鎌倉時代に造られたというので珍しい。石像の狛犬が普通だが、その石像もほとんど残っていない。まして鎌倉時代の木造となれば国宝級級といってよいだろう。初冬に入っているのにトンボが飛んでいた。

５５０句は次の通りである。
　　　　　　枯葉舞う目立つ二重の赤鳥居　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　境内社として、金刀比羅社、熱田社、秋葉社の３社が並んで鎮座していた。が、招福稲荷神社が単独で造作され、赤鳥居の奥にもう一つ赤鳥居が造作され、その美しさが目を引いた。

（２０２２年４月１５日）

桐山芳夫110