　今回は酒見神社（さかみじんじゃ）。一宮市今伊勢町本神戸宮山１４７６。
訪問日：２００９年１１月１６日

４４２句は次の通りである。
　　　　　　いきなりの正面鳥居紅葉あり　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　参道はなく、道路を横切るといきなり正面鳥居である。先に紹介した大神神社（おおみわじんじゃ）と同じく、参道がないのはやや異様である。もとより当初は参道があったに相違ないが、色づいた銀杏の木が出迎えてくれた。

４４３句は次の通りである。
　　　　　　妙な名の由来を知りて合点す　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　当社を訪ねるに当たって酒見神社という名前が気になっていた。由緒によると、当社の祭神は天照皇大御神、酒彌豆男神（さかみづおのみこと）、酒美豆女神（さかみづめのみこと）の３神である。文徳天皇の齊衞３年（８５６年）に皇太神宮（伊勢神宮）から上質の米が取れる当地を見込まれて、清酒の醸造を命ぜられた、とある。なるほど当社は清酒酒造の元祖なのである。

４４４句は次の通りである。
　　　　　　参道は境内なるかとんぼ飛ぶ　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　鳥居をくぐって奥にやや長い参道が続いていた。なるほど鳥居まで続いていたに相違ない参道は境内に造作されているのだろう、と思った。とんぼが私の横を横切って飛んでいった。

４４５句は次の通りである.

　　　　　　鷹わたる本殿裏に倭姫　　　　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
　本殿を参拝してその裏に回ってみると、倭姫命（やまとひめのみこと）を祭神とする倭姫社があった。十一代垂仁天皇の皇女倭姫命を祀った神社である。小高い所に造作され、遙か西方の伊勢神宮を遙拝する形になっていた。頭上高く鷹が舞っていた。

４４６句は次の通りである。
　　　　　　鷹が舞う鳥居の奥に水神社　　　　　　　　　　　　（桐山芳夫）
境内内に鳥居があって、その奥に水神社が鎮座している。水は清酒酒造の貴重なわけで、京都府京田辺市に酒屋神社というのがある。田辺市の酒屋神社もまた式内社で、古来から清酒は貴重なものだったようだ。

（２０２１年１２月０５日）

桐山芳夫90