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がんばらない介護 「新版チェックシート」をサイトで公開
監修者・カウンセラー 別府明子さんに聞く
2022年1月8日【くらし】
状況別に振り返り 動画「お悩み相談室」も
介護する人にも、される人にも優しいケアをめざす「がんばらない介護生活を考える会」。ウェブサイト上に「新版がんばらない介護生活チェックシート」をアップしています。同会委員で監修者の別府明子さん(カウンセラー)に聞きました。(堤由紀子)
以前に作ったチェックシートは、介護保険制度が導入されて間もない頃のものでした。
当時は介護者の中心は女性でしたが、20年たった今では3~4人に1人は男性です。専業主婦が介護に専念するのではなく、介護と仕事との両立を考えるようになり、「ヤングケアラー」という、介護する若者の存在も注目されるようになっています。
介護される側も、認知症の人がとても増えました。寿命が延びたこととあわせて、認知症は恥ずかしいものではない、という考えが広がって、表に見えるようになったことがあります。
そこで新版では、「老老介護」「男性介護者」「認知症介護」「仕事・学業と介護の両立」「遠距離介護」といった介護状況別に、ストレスチェックができるようにしました。(別項参照)
同時にアップした動画「介護のお悩み相談室」も、参考にしてください。
長引くコロナ禍
介護サービスをとにかく目いっぱい使うことがいいのかというと、そうでもないんですね。介護される側にとっての喜びは、それぞれ違うからです。
私は3人の親を介護しましたが、望むことはそれぞれ違いました。義父は少々部屋が汚くても、おいしいお酒と料理があればいい。母は病院に行く時もおしゃれをしたい。父はデイサービスでいろいろな人と話をしたい。まずは、そこをどう満足させられるか、だと思うんです。
同時に、介護する側はどういう生き方をしたいか、と考えながらサービスを使えるといい。介護者が笑顔で、そこそこ楽しそうでいれば、介護される側も重荷にならないし、「自分なんて早く消えてしまった方がいい」などと思わずにすみます。
コロナ禍が長引く中で、特に認知症介護に関わる人たちのストレスが大きくなっています。これまでは、周りの人たちとお茶を飲みながらおしゃべりしてストレスを解消していたのですが、それがなかなかかなわない。介護される側もいろいろな人に会わせたいと思っても、会えません。
リモートワークも広がった今、企業には本当の意味での「働き方改革」を進めてほしいですね。以前、最先端分野で働く人たちから「仕事と介護の両立の成功事例を教えてほしい」と依頼されたことがありました。制度があっても使えない。この現状を何とかしてほしいのです。
「家で最期を」と
“子どもに介護されるのが幸せ”という思い込みも捨てた方がいい。親は子どもに苦労させたくないと思うものですし、親子だからこそうまくいかないこともたくさんあります。それなのに、子育てに比べてもサービスの種類が少ない。そこを増やしてほしいです。
仕事・学業と介護の両立のストレス
一つでもチェックがついたら、アドバイスを参考に。
□介護していることを職場でオープンにできない
□同僚との付き合いに時間が取れない
□職場でどんな支援制度があるのかを知らない
□高齢者は家族の介護を望んでいると思う
□自分が仕事をやめて介護に専念すればすべて解決する
□職場の居心地が悪いので介護を理由に退職したい
□介護が終わったら再就職する予定である
□子どもが介護していると親が悪く言われそうで学校でオープンにできない
□親に頼りにされているのでがんばりたい
□友だちから取り残されそうで怖い
アドバイスの例
困った時にはSOSを出す勇気を持ちましょう。助けてもらった時には「すみません。申し訳ありません」と言わず「ありがとうございます。助かりました」とポジティブに感謝を伝えましょう。介護離職を防ぐには支援制度と共に職場の風土や雰囲気が重要です。