人の一生というものは、乳児期・幼児期・児童期・青年期・成人期・中年期・老年期というように、

それぞれの人生段階、いわゆるライフステージというものを経て展開してゆきます。


このうち青年期とは、ヨーロッパでの産業革命以後成り立った概念です。

産業革命以前、青年期という概念は存在しておらず、子どもというのは

ある時期に通過儀礼を受けることにより、大人になると考えられていました。

まぁ、簡単に言ってしまえば、昨日まで子どもと扱われてきた子が、

今日大人になるための通過儀礼を受けたら、今日からは大人として扱われ、

大人と同じように、大人の社会で生きるということになるわけです。

現在でも世界のある地域ではこういった風習が残っていますが、

先進諸国では特にこういった風習はあまり見られなくなったようです。


先にも述べたように、青年期とは産業革命によってもたらされた、

近代化の産物であるといえます。

産業革命が起こり、工業化が進んだことで、人々の生活は飛躍的に豊かになりました。

食料の生産性が高まったことで、今まで何とかギリギリ食べ繋いでいたのが、

それ以上のゆとりを持つことが可能となりました。そして結果的に、

働くべき年齢に達した者やその能力を持った人間が、働かなくてもすむようになったんですね。

こうして、このような人たち、すなわち、今で言う青年期にあたる人々に対して、

学校教育を受けさせようとする風潮が強まったのです。

そしてそれに伴い、教育費を低減させるべく、産児制限がとられ、

親はより少ない子どもの将来に心を寄せるようになりました。

やがて教育期間は徐々に長期化し、親への長期に及ぶ依存状態に置かれた、

「青年期」が成立するわけです。


次回へつづきます