破水した日のことを、書かせてもらいます。

2月15日(水)
この日は近所のお友達の家にお呼ばれしていました。
美咲も一緒に。

朝からバタバタと掃除、洗濯をして、「さあ出掛けよう」という時、
しゃがんだ途端に、じゅわー、とあたたかいものが下から出てきました。
「出血?!なに??」と慌ててトイレへ駆け込むと、
茶色がかっていたけれど、さらさらしたお水でした。

出血とは出てくる感覚が違ったし、
(あまりにも、さーっと出てきました)
出てきたものも水っぽかったので、
「羊水かもしれない」とすぐに思いました。

半信半疑でトイレから出ましたが、
力を抜く度に、じゅわーっと水が出てきて、
羊水だと確信しました。

混乱しながらも病院に電話すると、
「すぐに来てください」と。
美咲を連れてタクシーに乗り、病院へ行きました。
準備している間も、どんどん水が出てきて、本当にどうしたらいいのか分からなかったです。

病院で診察を受けると、「やっぱり羊水です」と言われました。
そして、この時期に破水してしまうと、赤ちゃんは助からない、と。

どこかで、「きっと大丈夫」と信じていた私は、
その言葉を言われても、すぐには受け入れられませんでした。
その恐ろしい事実を、すぐには受け止められませんでした。

だって、想像もしていなかったから。
6月に、無事に出産できると、信じて疑っていなかったから。
自分の身にそんなことが起こるなんて、考えたこともなかったから。

先生の説明に、「そうですか」と答えながらも、
まさか私が。という、信じきれない思いが、頭の中をぐるぐる回っていました。


入院して様子を見るけれど、
破水が止まらないようだったら、陣痛を待って赤ちゃんを出します、と言われ、
入院することになりました。

ショックと恐怖で、何も考えられませんでした。
なんて恐ろしいことが起こってしまったんだろう。

不安を感じたのか、こんな時に限って、わがままが加速する美咲。
「飴たべたい」と譲りませんでした。
「ジュースでいい?」「チョコレートにしよう」と、
普段は食べさせない美味しいもので釣ってみたけれど、
「飴がいい」の一点張りでした・・・

もうほんとにあの時は・・・
どうしたらいいのか分からなくて、
誰か助けて、って泣きそうでした。


その後、パパが来てくれるのを待って入院しました。

再度診察を受けて、
先生からお話しがありました。

羊水も止まっていないし、
少し子宮口も開いてきている、と。

このまま陣痛が来る人もいるけれど、
来なかった場合は、人工的に子宮口を開いて、陣痛をつけるお薬を入れて、
出産することになります。

まあ、破水が止まる可能性も全く無いわけではないけど。

と説明がありました。


とりあえず、明日の朝の診察で決めましょう。ということになり、
病室に移動しました。

その日は19時頃までパパと美咲がいてくれました。
本当はもっといてほしかった。
怖くて、不安で、一人になりたくなかった。

帰ってしまったあとは、悲しみと不安に押しつぶされそうになりました。


羊水はちょろちょろと出続けていました。

入院中、一番悲しかったのは、
こんな状況でも、赤ちゃんは元気にお腹の中で動いていた、ということ。

元気なのに。

そう思うと涙が止まりませんでした。

赤ちゃんを無事に産んであげられない。
私のせいで赤ちゃんは・・・

そうやって自分を責めずにはいられなかった。
そうやって正面から赤ちゃんの苦しみを受け止めることが、
せめてもの赤ちゃんへの償いになると思って、
「ごめんね、ごめんね」って布団の中で泣きながら、ずっと考えていました。


でも母さんが電話で、
「きっと、赤ちゃんが自分で決めたことなんだよ」って言ってくれて、
すっと、気持ちが楽になりました。
「事情があって、天国に戻る選択を自分でしたんだよ。」って。
そう思わないと、どんどん辛くなるよ、って。

それが正しいのか分からない。
でも、自分にそう言い聞かせるしかなかった。
そうでないと押し潰されそうだった。


その後、手術の時にお世話になった看護師さんが来てくれました。
「びっくりしたよ」と言ってくれたあと、
泣いている私の手を握って、いっぱい励ましてくれました。

絶対にまた戻ってきてくれるから大丈夫。
ママのせいじゃないから大丈夫。

そして、迷っていたことを聞いてみました。

「赤ちゃんが生まれた後、会った方がいいのか」

会う勇気なんて、とてもじゃないけどない。
そう思っていました。
対面した時の悲しみを、受け止めきれるのか、自信がなかった。
とても小さいであろう我が子に、会う勇気がなかった。

でも、それでいいのか、後悔しないのか、気になっていました。

看護師さんは、
「無理しなくていいけど、
でも、赤ちゃんはママにずっと会いたかったと思うよ」
と言ってくれました。

涙があふれてきた。
そうだ。私だって会いたかったんだ。
自分の子だもん。

「まだまだ、ゆっくり考えて決めていいよ」と看護師さんは言ってくれたけど、
私は看護師さんの言葉に、赤ちゃんとの対面を決心しました。

気付かせてくれた看護師さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
一生忘れません。


その日の夜中、眠れなくてテレビを見ていたら、大量に羊水が出てくるのが分かりました。
怖くて、悲しかったです。