が、こうして朝一番にそれを嗅ぐとさらに強烈に感じるのは、やはりここが別世界だからなのかもしれない。
その化粧室の前を通り過ぎたとき、後ろに誰かの気配を感じた。
で、振り返る。
「ああ???、おはようございます。そ、それにしてもお早い入りで???。」
源次郎を見つけてそう言ってきたのは愛子だった。
そう、今回の舞台のメイクを担当している女の子である。
どうやら、源次郎が美由紀と一緒に来たものと思ったらしい。
「あっ、おはようございます。でも、美由紀さんは、まだですからね。」
源次郎はそう事実を補足する。
勘違いをされたままで行くわけにはいかない。
「えっ! ???、ああ???、そ、そうなんですか?」
愛子は目を丸くしてそう言った。
やはり、美由紀も劇場入りしたものと思っていたようだった。
「はい、先に、ちょっと支配人に用事があって???。」
源次郎がそう釈明する。
「ああ、そ、そうだったんですか???。」
そうは言ったものの、愛子は少し首を傾げるようにする。
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説明では納得出来なかったようだ。
「じゃあ、コーヒーをお持ちしますね。」
愛子は、そう言って源次郎に背を向けた。
(つづく)
第2話 夢は屯(たむろ)する (その1130)
源次郎は調整室へと急いだ。
迷路のような楽屋裏だが、それでも何とか以前に行ったことのある調整室に迷わないで辿り着く。
で、一応はノックをする。
ドアのところに『関係者以外立入禁止』とある。
「入ってくれ!」
中から支配人の声がした。
源次郎がドアを開けると、支配人が振り返ってくる。
「おっ! な、何だ? こんな時間に???。」
どうや