昨今、コンプライアンス上の背景などから

元請から「許可を取らないと、工事発注できない。」と言われた。という話が散見されます。漠然とコンプライアンス上とありますがその法的根拠とはなんでしょうか?

それは主に建設業法24条の7の条文が根拠によるものです。

 

1.建設業法24条の7の内容。

 

①元請は、建設工事に参加する全ての下請け業者が建設業法等その他法令に違反しないように指導に努めるべきである。

 

②下請け業者が建設業法、その他法令に違反している場合には、元請は当該建設業者に違反行為を指摘して、違反行為を改めるように求めることができる。

 

③元請からの要請にこたえることなく、下請業け者が違反行為を改めない場合、元請は、その事実を都道府県知事に通報しなければならない。

 

2.建設業法28条、29条の5、47条)

また、以下の条文も考慮する必要があります。

 

元請が、24条の③の通報をしないと国土交通省や都道府県知事により、その違反行為若しくは不適正な事実を改めるために具体的な措置をとることを命じる行政処分を受ける。(28条)

 

上記の指示処分を受けたにも関わらず、元請が、その処分に従わないときは国土交通省や都道府県知事は1年以内の期間を定めて、営業停止処分を命じることができる。

 

元請は、上記の営業停止処分を受けた場合、その事実を公表されることとなる。(29条の5)

 

なお、上記において営業停止処分を受けたにも関わらず、会社の代表者や従業員等が建設業を行えば、その者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる。さらに、法人自体にも、300万円の罰金が処せられる場合がある。(53条)

 

3、具体例

本来、建設業法によると、請負金額が500万以上の塗装工事を行う場合「塗装工事業」の許可が必要となる。

しかし、現実には下請け業者、孫請け業者の中には建設業の許可を有しないにもかかわらず500万以上の工事を実施している場合が散見されています。これは法律違反に当たります。

このような事態に対して、元請は、建設業法24条の7を根拠に適法に工事が実施されるよう、下請業者を指導する立場にあります。元請としてきちんと指導しないと指示処分ひいては営業停止処分を受ける可能性があるのです。

このような状況のもと無許可で500万以上の工事を発注することはリスクが多いということです。