社会保険労務士の業務範囲は、社会保険労務士法第2条及び2条の2に規定されて

おり、主に企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や

「年金の相談」などに対応する士業となっています。
 

業務内容
・労働社会保険手続き業務
・労働管理の相談指導業務
・年金相談業務(各種事務手続きの代行)
・紛争解決手続き代理業務(裁判ではなく、あっせん手続き)
・上記業務に係る裁判所での補佐人業(訴訟代理人と共に出頭し、陳述する)

 

 社労士との業際問題は以下の通りです。

①    10名未満の会社の就業規則作成

就業規則の作成は社労士の独占業務だが、10名未満の企業は届出義務がないので、

行政書士が作成しても良いという考え方もあるらしい。

*個人的には社労士さんがやるべき仕事で行政書士が手を出すべきではないと思います。

社労士試験を受けてそれにあたり勉強した経験上、労働基準法、過去の判例を把握

しないと就業規則は作れないと思うからです。

実際、社労士が就業規則を見ると、それがプロが作ったか素人が作ったか一目瞭然とのことです。

 

②    介護事業と障害福祉事業関連

介護事業は社労士の管轄。障害福祉事業は行政書士の管轄。

 

③    助成金・補助金・給付金関連

補助金・助成金のいずれも国や地方公共団体から給付される返済義務のないお金です。
この補助金や助成金申請では、社会保険労務士と行政書士が官公署に提出する書類の

作成を行えます。

 

ただし、一般的に助成金と言われるものは、厚生労働省が管轄するものを指す場合が

多く、社会保険労務士法に基づく書類の作成は、社会保険労務士の独占業務となり、

行政書士は受注できません。

ややこしいのは、社会保険労務士の業務は、社会保険労務士法に基づくものに限定さ

れ、労働・社会保険に関連する一切を含むものではないことです。
そのため、厚生労働省所管の助成金であっても、社会保険労務士法に掲げる以外の

法律に基づくものであれば(例えば、技術、設備、運転資金等)

行政書士も申請することができます。

さらに、助成金については閣議決定等により行われるも、根拠法令が規定されて

いないものの場合は行政書士でも申請を受任することが可能となります。

逆に、奨励金、補助金という名称であっても、社会保険労務士法に掲げる法律に

基づくものに対する申請は、社会保険労務士のみ申請を受任することが可能となっています。

 

とてもややこしいいのですが、自分なりにわかりやすく整理をしてみると、
社会保険労務士の独占業務
⇒「雇用促進」、「キャリアアップ」、「職業訓練」、「高齢者」、

「障害者」といったような『』に係る文言が含まれているときは、

基本的には厚生労働省管轄の助成金であり、社会保険労務士の独占業務の場合が多いです。

 

社会保険労務士以外の士業(行政書士、税理士、中小企業診断士、弁理士 等)の業務
⇒「販路開拓」、「新製品開発」、「運転資金」、「設備投資」、「特許・商標」、

「知的財産」といったような『事業』に係る文言が含まれているときは、

社会保険労務士以外の士業(行政書士、税理士、中小企業診断士、弁理士等)

でも申請を受任することが多くあります。

 

④    給与計算

社労士も行政書士も可能。無資格でも可能。

 

以上、今日は社労士対行政書士の縄張り争いについてでした。