スポーツが与える3つの宝
東京新聞の09年2月16日の夕刊に「三つの宝」という題のコラムを見つけました。書いたのは野球の日本代表元監督・後藤寿彦さん。慶應義塾の元塾長、小泉信三氏の言葉を取り上げています。
小泉信三は” スポーツが与える三つの宝“を次のように表現しています。
●第一の宝 「練習によって不可能を可能にするという体験」
(練習を重ね、できなかったことができるようになる)
●第二の宝 「フェアプレーの精神」
(正しく戦え、卑怯はするな、無礼はするな)
●第三の宝 「友」
(何でも言える友、何を言っても誤解されない友、
喜びも苦しみも分かち合える友、生涯の友) と。
放課後の活動は様々ですが、やはりスポーツもいいものです。
後藤さんは、コラムの中で「青少年が抱える問題は、日本や世界中の社会が猛烈なスピードで発展し、地域や学校、家庭がそれについていけなかったことによる弊害かもしれない。ここはひとつ、じっくりとスポーツに取り組み、体を鍛え、心も強くする必要がある」と書いています。
今、放課後のスポーツ環境はどうなっているのでしょう? 少子化で小学校に野球チーム一つ作るのにも苦労するなどの状況があります。地域の大人の工夫が、ここでも必要になるのです。
「放課後? 放っておけば、子どもが適当に遊ぶよ」。
そんな時代は、とっくに過ぎました。だからこそ「放課後NPO」のような地域の大人の知恵が必要なのです。
仕事がない! 仕事が減った! 早く帰宅できてしまう! そんなお父さんたち(お母さん、おじいさん、おばあさん、お兄さん、お姉さんも)!、ぜひ、この機会に、子どもたちを楽しい放課後の世界へ導いてあげてほしいです。
企業が応援するボランティア活動
NHKラジオ「実践ビジネス英語」は事実に基づいた構成が魅力的です。アメリカ社会や企業で、何が話題になっているのかが分かります。昨年12月には「企業が後押しするボランティア活動」という放送がありました。
以下は、そこに出ていた、企業が従業員のボランティア活動を応援する理由です。特に、企業の「強み」をいかす活動だと、あてはまります。
・従業員の活動により、企業として地域に貢献できる。イメージアップ。
・従業員に、世間の脚光を浴びる機会を与えられる。
・従業員が、会社に新たなスキルを持ち帰ってきてくれる。
・従業員のスキル強化など、キャリアを育成できる。
・従業員に、やる気と自信を持たせられる。
・従業員に、別の部署(別会社)の従業員との交流を持たせられる。
・従業員に、新たなビジネスチャンスを探ってもらえる。
・新卒の優秀な従業員を採用できる。
最後の「採用」の項目については、もう少し詳しい説明が必要ですよね。
今、「ミレニアル世代」や「Y世代」と言われる1980年以降生まれの若い人たちは、ボランティア活動を支援している企業を就職先として注目しています。
若者を対象にした最近の世論調査では、彼らの5人に4人が、「ボランティア活動を支援している企業への就職を望んでいる」そうです。企業によるボランティア活動支援は、彼らが卒業後にどの企業で働きたいかを決定する一つの大事な要素となっているということです。
「ワークシェアでボランティア」より積極的で前向きな発想ですね。企業が従業員のボランティア活動をなぜ応援しなければならないのか。不況の今だからこそ、日本企業の経営者にも再考をお願いしたいです。
ワークシェアでボランティア
雇用問題が火を噴いています。
昨年末からの「ハケン切り」、「雇い止め」。今年になって「正社員切り」も本格的に始まりました。
「労働者派遣法の見直し」や「ワークシェアのための法整備」の議論も国会で始まっていますが、現実はより速いペースで進んでいます。
既に、勤務時間の短縮という形で、ワークシェアが始まっているのです。仕事が減って、勤務時間も減る。だから給料も減ります。
給料が減らされるのは決して喜ばしいことではありません。が、これまで仕事にばかり時間をとられて、自分の時間が確保できなかったという人もいます。「ようやく一息つける」と密かにホッとしているのかもしれません。「過労死よりは、少しは給料が減らされても…」という人も。
給料が下がって、自分の時間ができた時に何をするのか。企業によっては、他でのアルバイトを認めるところも出てきています。
生活水準をこれ以上下げられない人にとっては苦渋の選択でしょうが、そうでない人もいます。この際、仕事ではなく別のことを? そんなあなたにお勧めしたいのがボランティアです。例えば週に一度、平日のお休みにはボランティアというのはいかがでしょうか?
企業側にも是非、制度として認めて欲しいと思います。
景気が回復するまでに週1度のボランティアを認める。会社のCSRとしても人的貢献として喜ばれるし、ボランティアの時間分にも7割の給料を支払う、などというのはいかがでしょうか?
実はこのCSR、人手不足のNPOにとっては涙が出るほど喜ばれますし、困っている人たちも助けるし、企業の未来も切り開いてくれるかもしれないのです。
以下は、アメリカの例。放課後NPOのボランティアをしていた男性サラリーマンの話が出ていました。明石要一編著『子どもの放課後改革がなぜ必要か』(明治図書)より。
ある放課後プログラムのスタッフとして平日の午後に参加していた不動産会社の従業員に出会った。彼は「うちの社長は賢いんです。社長は僕たちが日常業務に非常に忙しいことを知っているから、僕たちが気分転換できる時間を作りたいんです。で、確かにリラックスできますし、保護者たちといつの間にか仕事の話ができちゃった、なんてこともありますから」と話していた。
ボランティアで、普段まったく営業をかけないところで営業ができてしまったり、新しい企画や商品のヒントにつながる会話ができるかもしれません。
そうなると、これはボランティアというよりも、新たな顧客開発、新規事業開発のための「仕事」でもあるわけです。
日本の世田谷区を中心に活動している放課後NPO「アフタースクール」の市民先生にも、サラリーマンが増えてきました。彼らも一様に「子どもたちからエネルギーをもらった」と感想を言います。また「自分たちの仕事の延長で子どもたちに『技』を教えてあげられて、仕事の意義ややり方を見直すヒントになった」と喜ぶ人も大勢いるそうです。
この不況だからこそ、仕事はちょっと減らし、時々はボランティアをやり、気分転換しながら、明日の仕事への意欲を養う、営業もしちゃう、というのをお勧めしたいと思います。