連邦VSジオン。それは衝撃的な作品だった。
ゲーム部分をデベロッパー(開発会社)に丸投げして、売れた利益を利権料金で儲けるという、かなりあこぎなビジネスモデルをファミコン時代からBANDAIが推し進めてた結果「キャラゲー=クソゲー」という定石が出来てしまったのは有名な話だろう。もちろんFC時代から優良キャラゲーはいくつか存在していたが、10本に1本良作があるかないかという状況 が長く続いていた。
『機動戦士ガンダム』は、原作者で監督でもある富野喜幸(現・由悠季)が放送終了後に権利を売り渡してしまったこともあり、家庭用本格参入となったFCホットスクランブル以外は富野善幸の了承を受けずに、キャラクターを借りることにあまり責任を感じずにソフトリリースをするデベロッパーが殆どで、家庭用にリリースされたリアルなガンダム・ゲームは百発百中…とは言わないものの、とてもやってられるような状態じゃないゲームが多かった。
※『連ジ』の続編『エウVSティタ』もBANDAIの魔の手からは逃れられず、年末商戦にあわせて乱造された。
PS時代に入ると、シミュレーションタイプのゲームはいくらかましな二番煎じ的なタイトルが出てきたが、アクションは3Dになったこともあり、ロボット・ゲームとしては致命的なまでに重さや快適さに欠ける、動きがカクカクで切った相手の重さも力強さも説得力も全く無い 作品 ばかりになる。思い返せば、あの時代はろくでもなかった。「当たった!」という感覚の全くないビームキャノン、「これ、切ってるの?」と疑心暗鬼になりようなモーションの固まったビームサーベル攻撃。ADVものに視点を移せば、選択肢を間違えれば一発討ち死にの実写ムービーアドベンチャー、伝説のデブシャアでも知られる『GUNDAM 0079 The War For Earth
』なんかが出たのもこの時期である。
PS2に成っても自体は好転せず、『ガンダム戦記』やらPS2版『機動戦士ガンダム』などキャラゲーとしてはいくらかマシになったものの、相も変わらずゲームレベルに達するものは無かった。恐らく、ガンダム・ゲームは生涯ろくなの無いと、自分を含めた全国のガンオタは思っただろう。
※歴代赤い彗星達の雄姿。
しかし、この八方塞とも言うべき絶望的な状況から彗星のように突如として現れたアーケードゲームが、この『連邦VSジオン』だった。緊張感あふれる2VS2システム、重みのあるMS、快適な動作を基盤とした互いを牽制しあうゲーム性、タイミングよく流れるキャラクターボイスにミュージック…どれをとってもキャラクターゲームとしては勿論、ゲームとしての完成度も今までのガンダム・ゲームと比べれば天と地ほどの差だったのだ 。
このゲームは、前述のように権利を持って居ない富野善幸からの許可のみでカプコンが開発をスタートさせたため、バンダイとの権利関係でもいざこざがあり難産だったことでも知られている。この『連邦VS.ジオン』だが、逆に言えばそこまで放任を認めたからこそ、今までのろくでもないガンダム・ゲームの定石から抜け出たキャラクターゲームとして完成したとも言え、後続の『めぐりあい宇宙』や『一年戦争』の見事としか表現できないほどの値崩れっぷりから見ればそれは明らかではないだろうか。
※彼らは黒歴史としてETゲーム
と供にニューメキシコ海岸の地下深くに埋められたといわれているが、580円コーナーにゾンビの如く蘇るともいわれている。
今現在は、この連ジの企画を通した岡本氏も製作に当たった主要スタッフも今のカプコンには居ない。当時のテイストを今のVSシリーズで出すのは不可能だろう。後続の続編ゲームとなる『エウーゴVSティターンズ』やガンダムSEEDゲームはバランス取りの乱雑さが目立つことが何よりの証拠だ。
今となれば、マルチに歴代タイトルを入れる事が前提となってしまった近代ガンダムゲームの中では、蛇足でしかないOVAシリーズから殆どMSを持ってこなかったこのゲームは奇跡といって良い作品だったのではないだろうか。