佐藤です、小説書いてます。

佐藤です、小説書いてます。

小説を書くこと、読むこと――について。
あと、思いついたことなどを、
まあ、そこはかとなく。

 

「うん、いや、まあ、なんだ」

 

 咳払いをうけて父さんは小声になった。

 

「真昼、もう原チャリで動きまわるのはやめにしとけよ。なにがあるかわからねえんだ。写真撮られるだけならいいが、事故にでもあったら大変だ。車の方が安全だし、それに、その、写真を撮られてもまだマシなものになるはずだ」

 

 僕はまた笑った。父さんの言わんとしたことがわかったからだ。でも、真昼ちゃんの視線を感じて食事に専念した。父さんの言わんとしたこと――股を大きくひらき、派手な服装で赤いスクーターに乗った真昼ちゃんの姿を頭に浮かべさせながらだ。まあ、なんの用途に使うかはわからないけど、写真におさめたくなるような《絵》であるのは確かだった。

 

「私は今のままでいくわよ」

 

 少し落ち着きを取り戻した真昼ちゃんは静かにそう言った。

 

「だって、こんなことで習慣を変えるなんてあいつらに負けたみたいじゃない。私はそういうの嫌なの。間違ったことなんてしてないんだし、だいいちなんで私がなにか変えなきゃならないの?」

 

「それにしても、ちょっとしつこいわね」

 

 母さんはこめかみを指先で押さえながらそう言った。

 

「写真は、まあ、しょうがないかもしれないけど、まわりのお店に訊いてまわってるのは変だわ。なんでそんなこと調べてるのかしら?」

 

「俺たちが意外にも静かな生活をしてるんで手がつけられないんだよ。だから、嫌がらせみたいなことして俺たちが反応するのを待ち構えてるってわけさ。相手にしないに越したことはない」

 

 父さんも静かにこたえた。母さんがしゃべりだすと途端に父さんはおとなしくなるのだ。真昼ちゃんはそんな父さんを見て、唇を歪めさせた。それから、こう言った。

 

「嫌がらせね。確かにそんな感じだわ。近所のおばさんに聴いたんだけど、あいつら、こんなこと言ってきたらしいわよ。『あの連中に迷惑してないか?』ねえ、そんな訊き方ってある? まるで迷惑かけてる前提みたいじゃない。私たちが、いつ、どこで、誰に迷惑かけたっていうのよ」

 

「私たちみたいのが近くに住んでるってだけで迷惑に思う人はいるわ。それに、そんなことを訊いてまわってる人がいるってだけでも迷惑かけてることにはなるでしょ」

 

「それだって迷惑かけてるのはあいつらじゃない。私たちじゃないわ。私たちはごく真面目に暮らしてる人間なの。ちょっと目立つ仕事をしてるってだけでしょ。それに、普段だってすべきことをしてるだけだわ」

 

 真昼ちゃんはそのように言っていたけど、その「すべきことをしてるだけ」というのにも問題があった。

 

 そして、それは②を引き起こすきっかけにもなった。警察が動くような種類のことだ。しかし、それに関しても誰かが全面的に悪いわけではなかった。真昼ちゃんがその教育癖を発揮させすぎただけのことなのだ。

 

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