4月19日の昼頃、お義母様のところへ、医師の山下と名乗る男から電話がかかってきた。
義母:「はい、山田(仮名)です」
山下:「太郎(仮名)さんの奥様ですか?」
義母:「いいえ、太郎は息子です」
山下:「ご同居されているお母さまですか?」
義母:「いえ、息子とは離れて暮らしていますが」
山下:「私、サイセイカイ病院の医師で山下と申します
実は今日、息子さんが喉の痛みをうったえて来られまして
先ほど検査を終えたのですが
私の見立てでは、かなり進行した咽頭癌だと思われまして
食べ物も喉を通らず、声もうまく出せない状態のようです」
※ここでお義母様は気が動転!畳みかける山下医師
山下:「息子さんからは、”まだ身内には言わないでおいて欲しい、いろいろやらなければならない事があるから”と口止めされているのですが
医師として、これまで身内の方の中に咽頭癌か他の癌で亡くなった方はいないか聞いておきたくてお電話しました
どなたか、癌で亡くなられた方はいますか?」
※動転しまくりつつも義母様は、祖父母が咽頭癌で亡くなったとか、他にも癌で亡くなった身内はいるとか、山下に説明
山下:「やはり、そうでしたか・・貴重な情報をありがとうございます。では」
山下からの電話はそこで切られた
その直後、義母宅へ息子の太郎を名乗る男から電話が入る
太郎:「あ、わしじゃけど。
今病院に検査しに来とって・・」
※お義母様いわく、
電話の向こうのわが子の声はしゃがれていて
辛そうな様子だったそうで、いたたまれなくなり
義母:「お前!大丈夫か?まだ病院おるんか?
お母ちゃんがタクシーで向かいにいくけん、場所教えてくれ」
太郎:「いや、まだこの後仕事もあるし
迎えはいらん」
義母:「そうか、そうか、でも辛そうじゃのう(泣
もうお前はしゃべるな!しゃべらんでええ!
夜にまたお母ちゃんが電話かけるけ!ええな!
一旦電話切るで!」
そう言って電話を切ったというお義母様
すぐさま、近所に住む実妹のもとへ行き
サイセイカイ病院という病院がどこにあるか
スマホで調べてもらったところ
検索結果は「済生会病院」、広島には呉と海田にある病院と出た
お義母さまと妹様は
なんでわざわざ呉の病院に?と思ったが
嫁である私の妹が呉で病院に勤めているので
その子に聞いたんじゃないか?と推測
病院HPから山下医師を探すが
山下という医師はおろか、耳鼻咽喉科も無いようで
唯一、見つけた咽喉科?はこの日休みだという
おかしいな?とは思いつつも
気が動転してたから、病院名聞き間違えたかもしれんし…と思ったそうな
そこで、義母妹様からの電話が嫁の私宛にかかってきた(PM2時
私は仕事中で電話に出られなかったので
帰宅してからかけなおそうと思い、帰宅
すると、程なくしてお義母様がうちに来た
玄関先で話せる内容ではないから、と家に上がり
これまでの事の顛末を聞かされる
義母:「太郎が今日検査行ったのは知っとるん?
電話か何か入っとらん?
太郎は食事も喉通らんし声も枯れとるんじゃろ?」
私:「ええ!?そんな事はないですよ?検査も聞いてないし
昨晩は二人前の回鍋肉を一人で食べたし、今朝も普通に朝食食べて、弁当持って仕事いきましたし
いつものように煙草も吸ってましたよ。声も普通でしたよ」
そういう私の顔を半ば攻めるような眼差しで、怪訝そうな顔で見る義母・・・
私:「それに先週、私と太郎さんでお義母さん宅に行きましたよね?その時太郎さん、
お母さんに出してもらった豆菓子を
私の分まで食べてましたけど?」
義母:「いや、ウチもそう思うたんじゃが
妹がね、太郎はこの1週間で急激に悪くなったんじゃろうっ・・て
そういや最近すごい痩せてきとったし・・って‥泣くんよ」
そういう義母も涙目。。
勘弁してくれよ、と思った私は
太郎さんからかかってきたという、電話の内容を詳しく聞いてみた
すると、「病院からかけてきたせいか、混線しとるような声がして
なんでか知らんけど、時々太郎が大阪弁でしゃべりよるように聞こえたんよ・・・」と、お義母様
私はここで確信を得たね!これは詐欺だ、と
なのでお義母様の話聞きつつ、夫(太郎)のスマホへ電話をかけた
すぐに電話に出た夫に
「今どこ?今日病院に検査しに行った?」と義母にも聞こえるようスピーカーにして聞くと
太郎:「はぁ?わしは病院なんか行っとらんで
今仕事から帰りよる途中じゃ」との返事
あと数分で家に着くからということで
義母様と待つことに・・・
何で母親が来てるのかもわからないまま
帰宅した太郎に、開口一番、義母様は
「太郎!お前
今日病院に検査に行ったんじゃろう?」
太郎:「いや、行っとらんで」
義母:「喉が痛いんじゃないんか?」
太郎:「いや、全然」
狐につままれた様な顔になる義母様
ほらね!と思った私は
「これ、詐欺電話じゃないんですか?
オレオレ詐欺みたいな!」
と言ってやったさ、ドヤ顔で
そこから話は”こりゃ詐欺じゃ、詐欺じゃ”という流れになり
お義母様が
「詐欺じゃ言うならウチから何を取ろうとしたん?」って言うから
私の見立てで推測してあげたさ
私:「それはね、お義母さんが電話切ったから良かったんじゃないですか?
偽太郎が“電話番号変えたけん、この番号にかけてや”とかなんとか言おうとしたの、聞かずに切ったんでしょ
偽太郎も詐欺師も
大誤算だったんじゃないですかね?
こんな斜め上をいく返しされて
電話切られたんですから!」
「いまごろ、次どうしようか考えてますよ、気を付けてください」
とね、ピシャリとね
その後は、「悔しい!悔しい!腹が立つ!」と地団駄踏む母親と一緒に
未だ泣き続けているであろう妹様に謝る為、妹様宅へ向かった太郎なのでした(終わり)
被害がなかったからよかったようなものの
日頃から義母様は
「ウチはオレオレ詐欺なんか絶対!ひっかからん」
って言い切ってました
そんなタイプが1番引っかかりやすいとも聞きます
どうか、今一度気をつけてもらうよう
こんな新手の手口があった事、
教えてあげてください
傑作だったのは、詐欺を信じてたときの
妹様と義母様で交わされたという会話!
妹様:「なんで太郎みたいないい子が、こんな目にあうんかね(泣)」
義母様:「あの子は、なんのええ事もないまま死んでいくんじゃね・・かわいそうに(泣)」
太郎さんあんた、実母と叔母に
“なんもええ事なかったかわいそうな人生!”って思われとるみたいですよ!