「お前のためを思ってやってるんだ」
「あなたのためになると思ったの」
人はよく、良かれと思って相手の望んでいないことをやります。
「お前のためだ」と言ったり心の中で(これは相手のためになることだから)と思いながら。
しかし、その「相手のため」はあくまで自分の頭の中で考えた事です。
何が「ため」になるかは、人それぞれの価値観、生き方、その時の状況によって大きく異なってきます。
私がそのことを強く意識したのはセブンイレブン元会長の鈴木敏文さんの「売る力」という本を読んだ時でした。
『わたしはことあるごとに、売り手は「お客様のために」ではなく、「お客様の立場で」考えなければならないといいます。「お客様のために」考えるのと、「お客様の立場で」考えるのとでは、一見同じように見えて、まったく違った答えが出てくることがあるからです。』
『それは、本をできるだけ多く売るという自分の立場がまずあって、そのうえでお客様のことを考えている。つまり、結局は売り手の立場で考えていたのです。その根底には、過去の経験にもとづいた「…」「…」という思い込みや決めつけもありました。』
『「お客様の立場で」考えるときは、ときには、売り手としての立場や過去の経験を否定しなければいけません。…無意識のうちに、「お客様のために」といいつつ、「売り手の立場で」考えていることが多いのです。』
ハッとしました。
これはビジネスの現場での話ですが、人間関係においてもとても重要な考え方だ、と。
自分の行動を振り返っても相手のためだと思って発言行動してもうまくいかなかったことが多かった。その多くは自分の立場で考えて押しつけていたと。
「相手のため」という魔法のワードを使うと相手が嫌がろうとも自分の行動を正当化できます。
自分の価値観を押しつけ、相手の行動言動思考を変えようとする行為の中には、結局自分の理想の人間になってほしいという「自分のため」が多く含まれていると思います。
人はみな「自分は誰かの役に立っている」
と思いたい生き物だと思います。
役に立つ、貢献しようとする行動言動の中に、自分の価値観が強く入り込んでないか、「自分のために」
支配しようとしてないか、その都度確認する必要があると思います。
サイバーエージェント社長の藤田晋さんは「成長論」のなかで、
『相手の気持ちを''分かったつもり''でいる状態が実は最もトラブルが起きやすい。軽いノリで「それ◯◯ですよね」というのは避けた方がいい。…安易な想像で相手の立場に立つのは無理がある。』
と述べています。
想像ではなく相手の立場に立つにはどうすればいいでしょうか。
私はまず相手を知ることが大事だと思います。
状況、意志、感情、価値観、何に幸せを感じるかなどしっかり聞いた上でまず受け入れる。
そしてその情報を元に、価値観を尊重した上で相手の幸福感が今より増えるよう
「こういう道があるんだよ」
「こういう行動する方法もあるね」
「こういう考え方があるんだよ」
と提示して気づいてもらう。
その際に鈴木さんの言うように「まず自分の立場や経験を否定」して向き合うことが大事だと思います。
これはとても難しいことで僕は本を読んで気づいた後でも何度も失敗をし反省しています。
気づかずにやってることも多いと思います。
人はみな違う脳を持ち、違った環境で育ち、違う経験をして、違った幸せの感じ方をし、苦しみながら試行錯誤して生きている
ということを肝に命じて尊重しながら、「相手の立場に立とう」と努力した結果「相手のために」なったとなるように生きていきたいと思います。