「おーのさん、今日家行っていい?」
『え?…だめ』
今ちょっと考えただろ。
「なんで?明日休みでしょ?」
『明日は、その、予定があるから』
あからさまに泳ぐ目。そんな嘘に騙されるかよ。
「大事な話があるんだよ、話したらすぐ帰るからさ」
ね?って子供に言い聞かせるように、上目遣いでリーダーに訴える。
「……分かったよ、その代わりすぐ帰れよ」
「ハイハイ、じゃあ行こっか」
ため息をつかせる暇もなく、その腕に自分の腕を絡ませて、駐車場へ向かった。
「お邪魔しまーす、やっぱリーダーんちって殺風景だよね」
「そうかぁ?でも、でっかいテレビはあるよ?」
「あぁそっか、そうだよね…ふふ」
子供みたいに胸張って自慢げに言うから、思わず吹き出す。リーダーは、ウケてる俺に満足そうに微笑む。
「ニノは、ビールでいい?」
「うん」
「じゃあ座ってて」
しばらくしてから、ビールを2本抱えたリーダーが戻ってきた。彼が座れるスペースを開ける。
カシッと音を立ててから、彼の喉が大きく音を立てた。
「…それで?話ってなに」
「話?ないよそんなの」
してやられたって、肘をついてこちらを見据えるリーダー。
そんなリーダーをからかうのが楽しくて、オレはもっといじめたくなった。
「嘘だよ、本当に話があるんだって」
『ホントかぁ?』
「なんだ、信じてくれないの?」
試すように彼の瞳を覗き込むと、彼の瞳が僅かに揺れた。
「…その話って?」
「リーダーが好きで、好きで、堪らないんだよ、ワタシは」
「ふふ」
あ、ウケてる。
「だからさ、リーダーと一緒になりたくて」
「一緒?もう一緒にいるじゃん」
「違うよ、これでさ」
そう呟きながら、彼の それ を掴む。
慌てて彼は俺の腕を掴んで引き離す。
「なに言ってんだ、バカ」
「いいじゃん、リーダーも、オレのこと好きなんでしょ」
分かってんだから、オレは。
「好きって…ああもう、何言ってんだよ…」
耳の後ろまで真っ赤になってるリーダーは、
気を紛らわせようと
ビールをまた喉に流し込んでる。
ニヤけるのを堪えて、オレも真似してビールを飲み干した。