苦しい表情でもなく、綺麗な姿で横になっていたので、より曾祖父の死を信じることができませんでした。
しかし、いつも物静かにソファーに座って、たまにニコッとするやさしい曾祖父が、いつもの場所ではなく、白い布団の上で横になっているのは、なんとも違和感を覚えるものでした。
布団の上の曾祖父の姿をみていると
「ヒゲを剃ったんだけど、また伸びてきちゃってねぇ。」
と祖母が言っていたのが印象的で、人は死んでからもヒゲが伸びるのだと不思議に感じました。
いよいよ、霊柩車まで曾祖父を運ぼうというとき、曾祖母は泣いていました。
それでも、なにやら色とりどりに絵の書かれた丸いカードのようなものを私たちに渡し、棺の中に入れるように教えてくれました。
そんな曾祖母を見て、母がもらい泣きしました。
その姿を見て、「曾祖父は死んだんだ」ということを受け入れ、曾祖父が亡くなってから初めて涙が出ました。
