先々週から朝晩が涼しく急に秋めいて来たと思っていたら、先週と、11月に入ってそうそうに朝晩肌寒く、扇風機片付けるより先に毛布出しました。
10月初めはまだ半袖で大丈夫だった高気温が夢みたいですね。
じわじわ広がって行く秋が、何だかスッと去ってしまった感じです。
晩秋、
もう初冬(11月7日)に入りましたが。
気温としての秋が訪れるのが遅かったためか、
金木犀の花が、今、昭和のお家や会社や施設の庭木だったりで咲いているのが香りから分かります。
小雨が降って香りが遠くにいかない日でも金木犀はほんとよく薫りますね。
小指の爪ほどの大きさもないのかな。
お花自体はほんとに小さなお花なのに、不思議。

ちりめん生地で作る小花の髪飾りにありそうな形と大きさです。
本当に小さくて可憐。
春の沈丁花もお花一つ、花びらを含めた大きさはこのぐらいなのですけど。
こんなにも小花なのに香りが百合や蘭、茉莉花(アラビアンジャスミン)に負けないくらい豊かで凄いですよね。
沈丁花は茎を真ん中に一つ一つの小花が円を描いて金平糖みたいな形ですが、金木犀は一本軸に空間を空けて上下三連状に小花の集まりが一周してて、これはこれで可愛らしいです。
そう、そして。
秋になると、歩いていて金木犀の香りを感じたり民家や施設の庭木として咲いてる金木犀を見たり、
帰る夜道で金木犀の香りを感じると思わず歩みを止めてしまい、
思い出しては涙ぐんでしまう歌があります。
薄まらない渇望や叶わない願望、情念にも近いけれどそれすら越えてしまった過去形になって行く愛情と「あなた」という存在、二度と還らない情景を心の奥の扉に仕舞い込んでは何度も繰り返し描いているかのような密やかな独白。
あなたを恋しがる想いの濃度が高いのに、心変わりなのか重荷だったのか二人の出来事の詳細はなく、池や星、砂や雪と抽象的に記された愛が見せた姿。
私を泣かすあなたを憎みたいのに
あなたは私を美しくなろうとさせる
私を満たしてくれないあなたなのに
あなたは美しく儚く私に残る。
歌詞が切り絵のよう。
そして金木犀という花木の特徴である匂いに、
在りし日の人肌の温もりを重ねみる…激情も飲み込んだ静かな夜の、
回想にまだできない思慕。
とっても美しい日本語の歌なのでお聴きください。
笹川美和さんの『金木犀』
笹川さんの歌声が本当に神掛かっていると言いますか、日本の大地を感じる女神様みたいで、
この曲は18、19歳の頃の失恋から作り出された歌らしいんですけど一つの神話を聴いているような、
それでいて、金木犀の香りにあなたとの日々を思い重ねる生々しさもあって美しいだけじゃないのも良いんですよね。
チェロの響きがまた琴線に触れるのでしょうか。
ずっと心に残っている歌ですし、
夜に金木犀の香りがするとこの曲を必ず思い出します。
日曜日の雨でほとんどの金木犀は散ってしまうかも。
それでも今年も金木犀の香りに出会えて良かったです。
それではまた。
善い一日を。🐈

