以前に比べると音楽鑑賞の際に音源であったり音響機器であったりに大して心が動かされることが少なくなった気がする。

年齢とともに聴力が落ちてくることは周知の事実ではあるが、それ自体よりも老化によって感受性が落ちてきている方がオーディオ(というか趣味)にとって中々無視できない要素であるように感じる。

感受性が低下すると、面白いと思いづらくなり、オーディオつまらないからほかのことやろうとなるのも良いことではあるのだが、他の事も面白くないと感じてしまうのでどうにもならない。

今自分は30代後半だが今後この傾向が加速すると、心に響く体験をしたいが為にオーディオであれ他のものであれチャレンジしても期待ほどの面白さが得られなくなってきてしまうことが予想される。
そうなってくると投資に見合う満足感という意味では満足感の減少によってコスパが悪くなるし、他の趣味をやるにしても心に響きにくくなるので、他の趣味にハマるということも期待できなくなってくる。

そして自分の感受性に自信がなくなってくるので、この機材は感動できる音になるかというのが不安になり、より客観性を重んじるようになってきているのかもしれない。
なかなか寂しい話ではあるが若いときと同じ感性とはいかないことを念頭に趣味と付き合っていかないと、起こりえない成果を求めて入れ込むことになりかねない。
もがくオーディオメーカー コンシューマーオーディオはどこへ行くのか? ゼンハイザー、オンキヨーの身売りで考える

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2105/25/news105.html


こんな記事をみかけた。割とここ最近の成功者と思えるゼンハイザーと凋落著しいオンキヨーが共にコンシューマーオーディオを今年売却している。
少し前にはこれまた最近の成功者であったOPPOが高価格帯の覇権を握ったと思った矢先にブルーレイプレーヤーから撤退したということもある。
パイオニアはコンシューマーAVをオンキヨーに売却している。
コンシューマーオーディオは大量絶滅時代に入ったと言ってもいいだろう。

原因やこうすれば良かったというのは総括されているが、
その一つとしてIT化の遅れが記載されている。
スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンなどのIT化したオーディオ機器が今売れており、今売れる物を先行して作れなかったからと言われている。
確かにこれは一理ある。それなりの規模を持つオーディオメーカーはそれなりの数を売らないと規模を維持できない。
数を売ろうとすれば売れるジャンルで一定の地位を確立することが必須となる。
ただオーディオメーカーにそれが実現できたかというと疑問は残る。

スマートスピーカーは基本的には音声認識システムとオンラインのネットワークサービスと紐付けされて機能するものである。
スマホOSのGoogleやAppleやネットショッピングやサブスクリプションサービスのamazon、SNSのLINEなどプラットフォーマー主導がほぼ前提となる製品である。オーディオメーカーが頑張れば主役になれたかというと無理だと思う。
BOSEがアレクサ対応のスマートスピーカーを作ったりなどオーディオメーカーも参加していないわけでもないが、スマートスピーカーは紐付けされている有料サービスに誘導する役割があり、スマートスピーカーの販売自体に粗利を追求する必要がない。
なのでプラットフォーマーが販売するスマートスピーカーは比較的割安のものが多く、プラットフォームを自前で持っていないオーディオメーカーが太刀打ちして数を捌くというのは無理があるように思える。

ワイヤレスイヤホンはBluetooth部分とバッテリー部分をどうにかすれば、後は従来イヤホンと同じ構造が多い。
なのでオーディオメーカーが現在でもそれなりの数の企業が商品を出していて一定の存在感もある。
ここをオーディオメーカーが市場を早期に開拓してシェアの多くを確保していればオーディオ業界も少しは違ったのではないかということになる。
この仮定はスマートスピーカー程ではないにしろやはり無理だったのではないかと思えてしまう。
理由がいくつかあるが、まず何よりワイヤレスイヤホンの前に有線のイヤホンやヘッドホンなどパーソナルのオーディオシステムのブームがあったが、それに注力したわけでもないのにワイヤレスのブームに先行出来るはずがないということがある。
一応オーディオコンポーネントを作っているメーカーも有線のポータブルオーディオブームの際に新たにイヤホンやヘッドホンを作ったりして参入していた(DenonやB&Wなど)。だが時期も遅く本気度も強くは感じられなかった。
それに彼らがホームオーディオのコンポーネントで一定の盤石な地位を確立しているのと同じように、ポータブルのシステムにも独自のノウハウや信頼感の蓄積が必要であり、元々ポータブルをやっていた企業を下剋上するようなことは容易ではなかったようである。
だからこそオンキヨーやパイオニアなどが生き残るためにITオーディオ機器、ワイヤレスイヤホンなどに力を入れて生き残るべきだったというなら、そもそも10年以上前にオーディオテクニカ、ゼンハイザー、ソニーなどを駆逐せんばかりの全力でイヤホンやヘッドホンのシェアを築くべきだったということになるが、それが正解かというと現在の視点から見ても当時の視点から見ても正解とはいいきれない。
結局のところ有線イヤホンヘッドホンブームの時も今のワイヤレスイヤホンブームも市場としてそんなに大きなものではない。老舗オーディオメーカーと言いつつも大してノウハウのない分野である上に、果敢にリスクを取って大胆に進出してもリターンは大して多くない。有線イヤホンヘッドホンブームでのブランドイメージ最上級であったゼンハイザーが事業譲渡している時点で否定しがたい事実である。

そしてもう一つ言えることはBluetooth部分のノウハウが特殊という点がある。例えばオーディオテクニカはワイヤレスイヤホンを開発していたが、2018年に発売予定のワイヤレスイヤホンが通信部分の性能不足で発売中止になったり、その後発売したモデルも今年に充電の発煙発火リスクありとのことで商品の無償交換を発表したりしている。
それ故に各企業が現在はワイヤレスイヤホンを発売しているものの、無線や充電の部分を自前で一から作れてその出来が優れているという製品はおそらく従来メーカーからは全く出せていないと思われる。無線や充電などは他社から調達したものであれば最終的な製品としての差別化が難しく、通信の品質や使い勝手や安定性などは一から全てを作っているようなメーカーに比べると劣ってしまう。
なので従来オーディオメーカーが作るワイヤレスイヤホンは割高な価格で、通信や充電などが安定しなかったり、規格が古かったりする。でもアナログ部分の音が良い(らしい)というなんとも微妙な製品になる。それでは市場を制覇はできない。
従来メーカーがワイヤレスイヤホンで新興メーカーにシェアを譲らず大手として売れるポジションを維持しようと思ったら、無線機器を幅広く作れるようなくらい注力し、ノウハウを積み上げておかねばならなかった。つまりは実質的にはPCやスマホ関連機器の製造に業態を拡大せねばできない話であったと言える。

そして今後の生き延びる道としてOEMとして裏方で音響パーツを作っていくことが提案されている。
ただこれは既に出来上がっている市場であり、今後伸びるというものではない気がする。
OEMの仕事は昔からずっとある中で、それをやっているだけでは乗り切ることができないからこそ今の大量絶滅時代が存在しているのである。
苦境に陥ったオーディオメーカーがこれからはOEMに全力でいくと決めたところで苦境を乗り切ることが出来るというわけではないのではないか。

これまでネガティブな私見ばかり書いていたが、ポジティブな私見もある。
「子どものころ、「ステレオ」が家になかったという20代〜30代は多い。多感な青少年期にいい音を聴いて感動した経験がないのに、大人になったからといってオーディオに金を出すようにはならないだろう。」

というくだりがあるが、今のオーディオやっている世代は必ずしもこういうものではない。
そもそも青少年期に家庭に高音質環境が整備されていて労せずハイファイが聴けた人が、大人になった時にいい音の為なら金を惜しまないというような音質への上昇志向があるかというと逆に疑問に思える。
自分のように低価格のイヤホンとネット情報から「音響機器を替えることによる違いの認識とその楽しさの目覚め」を覚える人は多いはずだし、イヤホンを上位機種に買い換えるだけでなく、ヘッドホンなどステップアップしていけば、その先にはスピーカーとオーディオコンポーネントにたどり着くことも珍しくないはずだ。青少年期に家にステレオあるかどうかは重要ではないというのが私見である。

純粋な音楽であれ、動画の音声であれ、再生音声を聴くという行動を大半の人は行っている以上、その品質を追求する人は出現し続けるはずである。世代が今後交代しようとオーディオファンは少ないとしても生まれ続けると思われる。
ただ趣味としてのステップアップが他の趣味と比べて現在はかなりクソと言わざるを得ない。
他の趣味として腕時計を追求する趣味とカメラ機材を追求する趣味がある。
趣味性の高い高級腕時計は別に時計としての性能が至上という訳ではない。性能を求めるなら水晶発振器と電波補正がある安価な時計で十分だ。
歯車で正確な日時を時を刻むというアナログな技術の精緻に憧れたり、高級感のあるデザインに惹かれたりと、性能よりもロマン重視の部分が多い。
対してカメラ趣味は本体にしろレンズにしろ周辺機器にしろ倍率であったり解像度であったり、数字の良さ性能の良さこそが製品の価値であり、高い性能を出せる機材にこそ憧れを抱くものである。

だがオーディオ機器はロマンと性能どちらに力を注いでいるのか現在は非常に不明瞭な商売形態になっている。
多くの機器は性能を良くすることにも力は入れているものの、ロマン性を持たせることもそれなりに努力している。
どっちにどれくらいの割合で注力した製品を作ったのかは明かさぬまま、ただ素晴らしい製品だと喧伝する。こういう所がはっきり言ってクソである。
別に腕時計のようにロマン性を高めて付加価値を付けることがあってもいい。腕時計に許されてオーディオ機器に許されないはずがない。
ただ高級腕時計は電波時計よりも正確などと宣伝はしない。だがオーディオは価格が高ければ高いほど正確なものだと平気で宣伝する。
そういう悪習がステップアップを挫折させ先を細らせる原因になっていると自分の中では思っている次第である。
Appleのストリーミング音楽サービスがロスレス(44.1kHz/16bit)、ハイレゾ(192kHz/24bitまで)、Dolby Atmosの空間オーディオに対応したようだ。
ハイレゾのオプションプランなどはなく個人で月額税込980円で利用できる。

正直なところ他のストリーミングサービスでもロスレス、ハイレゾサービスが始まっており後追いでしかないのかもしれない。
ただ十数年前はAirplayでネットワークオーディオをやっていたこともある身からすると気になる存在である。

対応機器はオーディオ的にはそれほど充実しておらず、ガチのオーディオに組み込もうとするとASIOなどが標準ではないので今更ながらビットパーフェクトを担保できる環境を選定しないといけない。
ただAV機器でAirplay対応のものは多くあり、今後Apple Music対応してくれる機器が増えてくれる可能性がある。

音楽配信としては古参であり配信曲数は多いのかもしれない。それらがCD音質で聴けそうだというのは十分なメリットかもしれない。

ハイレゾ音源の数は今後を見ないとなんとも言えないが、サービスの方向的には多量に揃えることを期待しない方が良いのかもしれない。

Dolby Atmos音源は数は多くないかもしれないがほぼ配信でしか体験できない音源なので興味深い。

そして追加料金なくこれらが利用できるのは目を引くものである。個人で980円/月は割と安い。
ここは大きな魅力になってくる。
Amazon Music HDは個人で1980円だし、mora qualitasは2178円である。(すべて2021年5月現在)
この価格差はハイレゾ音源プランが別枠扱いで設定される傾向から生じているものである。
今後その価格差が埋まってくるのかもしれないと考えると、他のサービスの動向も期待できる。(追記:海外ではAmazon Music HDのプランが緊急値下げされたようだ。)

ストリーミングは結局のところ、知らない音源を発掘したりハイレゾ音源の録音の品質を確認したりして、気に入れば購入してオフライン化するので、
個人的には維持費が安いこと、使いやすいこと、音源が豊富であることが重要になってくる。
Apple Musicは現時点では確定的ではないものの、それを満たす可能性があり、今後に期待できるものと思っている。
前も書いたような気がするが趣味としてのホームシアターは現在相当に面白みに欠けている状態である。
ディスプレイはシアター用途のサイズでは依然としてスクリーン+プロジェクター以外に選択肢がほとんどない。
そしてネイティブ4Kの民生プロジェクターはソニーとビクターくらいしかなく、上位機でレーザー光源としている程度である。

ソフトは相変わらずでUHD-BDは旧作でも価格が高く、旧作は安価なBDと比較すると買い揃える意欲が沸く水準ではない。
十分な画質の4Kを配信で鑑賞できるかというと自分の把握する範囲では環境として十分ではない。
デジタル放送での4Kや8Kも存在感がほとんどない。

AVアンプも基本的には自分が最後に購入した5年前の機種とそれほど機能的に進歩は少ないように見受けられる。

そしてこれから急激に進歩していくかというと、そういう気配はまったく感じられない。
そういう意味では歩みを止まってしまった感があるジャンルであり、オーディオと同じ雰囲気が漂う。

AVアンプやプロジェクターはそのものは今までは黒子のような地味なフォルムで存在感はないが、止まった進歩を代償するためにオーディオのように趣味性を高めていくような形で歩みを進めるのかもしれない。
だが現在の所そのような兆候はない。止まった歩みからどういう方向へ再び進んでいくのだろうか?

画質のハイレゾはあまり普及する感じもなくフルHDコンテンツが大半を占める状況から打ち破ることが困難であると、日に日にその疑念が確信に近づいている。
フルHDはオーディオ界におけるCD音質のようなものになりつつある。
ハイレゾは興味がなく、CD再生の音質の良さだけに集中したい人が一定数いるように、
ヘタに4K対応するより、コンテンツとして入手しやすく安価ですでに所有しているフルHD再生のクオリティを突き詰めるような趣向もジャンルとして成立してくるかもしれない。

いかんせん、現状を打破するように面白い流れが出てこないものかと思いながらも、最近ずっとつまらなすぎるいい加減にしろというのは偽らざる本音である。
独身の若いときはお金はなかったが時間があり、特に趣味に対する制約も少なかったが、
子供と同居するようになると大きく制約がかかるようになる。
今子供が小さくて目を離せないので趣味に興じる時間自体が取りづらい。
またゲームなどをまた始めてみるという訳にもいかない。あまりゲームに興じている親の姿を見せたくないとも思ってしまう。

そもそも年齢が進むとなかなか新しいものに興味が沸きづらくなっていくのをヒシヒシと感じる。
年齢進めても新しいことにトライしている中高年の方はそういった壁を必死に乗り越えているのだと思う。
なかなか若い頃では気づかなかったことである。
これからその傾向が強くなっていくことを心してかからなければならない。

幸いオーディオは子供が寝静まったあとで興じればいいので子供が小さくてもできるのがありがたい趣味である。
防音室がなければこうもいかなかったことを考えると建物内の防音性の大事さを感じる。
他の趣味もやってみたいとは思っているが上記の通りタイミングが良くなさそうだ
何か興味が沸けばトライしてみたい。
車やカメラなどもハマるかもと趣味としての興味を持とうとしてみたが、自分にとっては道具でとして役に立ってくれればそれでいいようだ。
オーディオシアター再生とは逆の、録音と録画を行う動画配信環境の構築にそれなりに興味を持っているが、配信するようなネタがないという理由で趣味でyoutuberを始めるということにも至っていない。

オーディオは先に書いたように突き詰める方向性に悩んでおり、
思考実験や考察が主体になっている。お金がかからなくていい趣味かもしれない(笑)
客観性があるに超したことはないが、基本的に趣味は自己満足なので客観性があっても仕方ないとも考えることができる。
ただ自己の満足がどのような類いの音でなされるか、それが一定ではないことに留意する必要があると思う。
ある程度の正しさ、客観指標でも良い音を追い込んで、それを聴いて良いと思えればそれでいいし、そこから自分の満足する方向を分析して元に戻れる程度に若干の化粧をさせていくのがいいと思う。

客観的指標も大事にはしたいと思うが、他人に提供するために行っているのではない。あくまで趣味は自己満足で行っているということは肝に銘じておかなければならない。
趣味のもので承認欲求を剥き出しにして他者から評価を得ようとしても、趣味における他者の評価というものはその他者が個人的に満足するかだけの話でしかなく、他者から評価を得ようと努力を試みるとおかしな方向にいってしまいかねない。
そして他者から独特の感性で厳しい評価を受けたとしてもそれはやむを得ないことである。
趣味で楽しむ場合、標準的な理論から外して楽しむことも趣味である。いろんな趣向の人がそれぞれ違った考えで自己完結していることは肯定すべきである。
だが趣味で他者からの賞賛を得ようとすると様々な趣向の人からの評価を受けなければならない。当然自分の立場では受け入れられない他者からの否定的意見出るのは当然である。だが考えの違う相手を説き伏せていくものかというと、趣味とはそういう領分のものとは明らかに異なる。基本は自己で完結しているものだからだ。

客観的評価と自己満足そのあたりのせめぎ合いは趣味においては奥深いものであり、そこについて深く考察することがまず必要なのではないかと思い始めているというのが今回の記事を書いた一番の動機である。
他者が使うモノを仕事で作るという時であれば客観的評価を利用して他者からより多い賞賛を得れば良いという意味ではゴールがはっきりしているだけに、そことは違うからこそ難しい。
なんとなくコンシューマーのピュアオーディオの傾向というものを最近別の視点から見える要素について気になってきている。

DACやアンプは結局のところ数字上はパーツ屋のチップやモジュールでも出るし、スイッチング電源でもそれなりに対策していれば数字上問題なく出る。
スピーカーもある程度コンピューターの解析によりモニタースピーカーで数字上はそれなりの最適解がわかっていて同じような設計と音のものは出ている。

ただそれで組むコンポーネントの音は無個性であまりおもしろくなく、
第一印象として、なんだこの音は?というような大きな驚きを伴いづらい。
チップやモジュールを多用したコンポーネントに個性を感じづらく、
それを導入しても自分のシステムの音にアイデンティティーを感じにくい。
オーディオシステムの顔であるスピーカーがモニタースピーカーみたいな地味な風貌だと面白みがない。
そしてスピーカーがアクティブだったりDSP噛ませるのを前提とすると既存のコンポーネントに合わせるのも大変である。

なのでコンシューマーオーディオのピュアオーディオは以下のような傾向を持っているんじゃないかなと思ってしまっている。

・普及機との差別化を各所で図ること自体をアイデンティティーとしている。
DACチップやオペアンプやアンプモジュールに性能が高いものが出てきており、スイッチング電源もモノによってはハイエンド用途でも使えるのが現状である。
しかし、中核となる部品が他社からの購入したチップだとブランドの個性も出ないし、コスパ重視のアンプと似た音になってしまう。
またスイッチング電源は廉価モデルでの定番になっているのでそれを採用してるとイメージが悪い。ノイズ対策していると言っても嘘だらけのこの業界では半信半疑にされてしまうので商売上はマイナス要素になりやすい。
さらに他社チップや他社モジュールの価格は公開されていることが殆どなため原価率が想像できてしまう。
なのでなるべくディスクリートで作ったり、なるべくモジュールをカスタム品にしたりして音質自体を差別化する。そしてカタログのうたい文句としても普及価格帯の機材との差別化がなされることがある。
ただ音質としてその独自化が必ずしも数値上の向上に寄与するわけではないし、むしろ数字上は逆効果のものも多い。
当然のことながらカタログスペックだけが全てではないが、商売である以上はただ無難なチップやモジュールを使ってスペックがいいだけの音を実現するのでは高級機の自らの存在価値を示すことができない。
上記のコンセプトは他のコスパ重視のメーカーがやっているし、そのコンセプトの音では平凡すぎて高級機の価格帯で勝負をしても好まれることは少ない。
結局のところそのように考えてみると高級機が商売として成立させるには正しい音を目指すことよりも特徴のある音を目指す必然性があるように思われる。
もちろん自社の理念がそれぞれある中で、それを体現するような様な特徴の機種をそれぞれが出すことで百花繚乱の様相を呈してくれて選択肢が魅力的になるのは事実である。
ただ皆がそういう志向だと環境としては不健全と言わざるを得ず、実際に市場の現状が不健全になっていることを考えると、「メーカーごとのアイデンティティ」というものに対して全肯定の目で見るべきではないと思い始めている。
豪奢なアクセサリーなども同じ理屈で作られている要素が大いにあるだろうと考えられる。

それならば地味なコンセプトながらシンプルに良いパーツを使用しある程度の評価を確立しているものをあえてセレクトする勇気も大事なのではないかと思っている。その選択は地味で魅力に欠けるが、今までが派手なセールスポイントばかりに目を奪われ過ぎていたような気もしてきている。
それにアクセサリーなどではオーバースペックが跋扈しており、上を見ると際限がないが、派手さに目を奪われずに地味に十分な性能を満たすものを見極めることも楽しみの一つになるかもしれない。

・音質的な最適解よりも、製品として導入のしやすさに重点が置かれていることある。
昨今のデジタル化でこれは大いに感じるところであるが、デジタル処理がかなりできるようになっているのにも関わらず、アナログ回路の通り道が多い上にスピーカーもパッシブのものが多すぎる。
既存のトラディッショナルなコンポーネントに古いものと交換することで組み込むことができる=買ってもらう機会が増える、ことを意識してか新しいタイプのコンポーネントが定義されることが少ない気がする。
結局のところ売る側の商売上の必要性でそうなっている面が多く、消費者としてそれに乗っかることは必須ではないのかもしれない。
デジタル処理が一般よりも長かったりスピーカーがアクティブのものなど、既存のコンポーネントに組み込みづらい機種をあえて注目することで見えてくる世界もあるのかもしれない。

・豪勢な外見や特殊な素材や複雑な形状を使うことが商業上必要とされている。
ハイエンド機はベリリウムだダイヤモンドだと高級な素材を使用したり、筐体が芸術的な形をしていたり、スピーカーのエンクロージャーもそれぞれが優美な曲線美を描いたりしている。
特殊な素材も大抵は物理的特性に優れているし、エンクロージャーが直方体でないのも物理的に合理的ではあるのは間違い無い。
研究により最適な素材というものが判明してきており、伝統的な素材以上に最適なものも見つかっているのは事実である。
だが、物理的特性という意味では地味な素材で地味な筐体を用いたスピーカーでも良い数値は出ているし、最終的な製品として見れば、むしろそちらの方が良い数値が出ているケースもある。
スピーカーの音は数値では評価しきれないことは疑いようがないが、素材のチョイスに既知の科学的見地を利用している割に、出音には測定値という科学的見地だけでは音の優劣は付けられないという理屈を振りかざすのはやや都合が良すぎる気もする。
それに、地味な素材と地味なエンクロージャーを用いながらも音が良いスピーカーがあるとして、セールスとしてどれだけ人気を博すかというと、おそらくあまり売れないだろうと思われる。
結局の所、特殊な素材や特殊な形状は価格が高額であることを納得させるための要素として商業上必要、というのが実際はそれなりのウェイトを占めていて、音質向上への寄与のためだけにやっていると納得するのは業界を過信しすぎている考えなのかもしれない。
独自の素材や形状を実現するためのコストとそれを実現したことによる音質的なリターンがどれだけ見合っているかというのをコンシューマーは判断する必要がある。
またアンプやプレーヤーで派手な筐体をしているのは恐らく所有者の満足感を高めるという要素がその理由と考えた方がいいのかもしれない。

・普通の音を避ける傾向がある。

冷静に考えてみると理論上の忠実な音をしっかり再現できたとしてもその音は試聴程度では驚きの音にはならないのかもしれない。付帯音の少なさで綺麗と感じるかもしれないし、低域が伸びればすごいと思うかもしれないが、フラットな周波数というものに一聴して感動するにはかなりの訓練が必要なのではないかと思える。
データも大事にしつつ、最後は聴感の良さを追い求める、というのがオーディオ製品のセールスでよく言われていることではある。もちろんそれは行われるべき事項であるとは思うが、
聴感的に良いと感じる工夫というのが必ずしも音質的に正しい介入であるとは限らないことに留意する必要がある。
低次元のものではドンシャリサウンドというように、聞き取りづらくフルレンジだと出しづらい低音や高音が多く出るよう工夫した製品は一般人の聴覚には良い音のように聞こえることがある。
そこまで低次元の話ではないにしても特定の周波数の音を巧妙に音量を上げたり、時間特性的によく響くように作ればフラットよりも派手な音として聞こえる可能性が高い。巧妙に操作されたものであればそれを特性が歪んでいるとは気付かないだろうし、聞き取りづらい周波数を補正して聴きやすくされたことに対して特定の周波数が音が大きすぎておかしいと一聴して看破するのは困難であるように思われる。
測定値だけがすべてではないし、測定値も周波数特性だけが全てではない、今定義されている測定値だけで音質のすべてを表現できるわけでもないが、試聴での感触がはっとするような派手な印象であればあるほど、冷静に穿った評価を試みても良いのかも知れない。

結局は数字を聞いているのでは無い以上、聴感上最も良いと思えるものを揃えればいいという考えも勿論あるべきだが、実際に購入して使用していると癖が気になったり飽きてきたりという結果に繋がりやすいのではないだろうか。

オーディオを突き詰めるというということについて考えると、付き詰まっている状態が上から下までオールハイエンドの状態っていうのが果たしてそうなのか、
ハイエンドユーザーも所詮はアマチュアだが、音のプロはスタジオに億単位でかけている割に機材はそこまででもないというプロとアマチュアの最終目標の場所が全然違うのはなぜなのか、
どんなに特性を良く出来ても自分の耳が楽しめないなら無意味だが、自分の感覚というものも不動の評価は難しいがその辺りにどう折り合いをつけるか。
そういったことをいろいろ悩んでいて、少なくとも自分は当面は機材をどんどん新しくするモチベーションは上がってこなそうだというのが現状である。一般人の感覚だと壊れてないなら買い替える必要ないと考えるのが健全だから仕方ないね。
玉石混交で各社がネットワークオーディオプレーヤーを出していた時代は終わり、その進歩も落ち着いた感のあるネットワークオーディオプレーヤーだが、ある程度落ち着いた所での自分の考えをまとめてみようというのが今回の記事(書いてみたら全然まとまらない)。

ネットワークオーディオプレーヤー(NAP)に関してはオーディオファイルの大半が使いこなせるものではないらしく、アナログ回帰、ディスク回帰の流れもあり主役とはならなそうだ。再生機器の選択肢の一つとして定着した感はある。その立ち位置に対して各社対応が分かれたようだ。
主力商品として出し続ける企業と、主力商品にはネットワークを載せず実質的には撤退した企業、機能としては組み込んでいるがあまり注力せずオマケ扱いで入っている企業である。
NAP機能は海外ではあった方が売り上げ増加が見込めるがメインに据えて馬鹿売れする訳でもない。そしてNAP機能は完成度を高めないと、完成度の高い他社と比較されて明確に劣ってしまう。NAP機能のノウハウは音質向上のノウハウと異なる所が多く、むしろソフトウェアのエンジニアの領域が多い。トランスポートからUSBで受けてしまえば、その下流はオーディオ技術のみでオーディオメーカーの領分である。という諸々の要素が絡んでいるからと思われる。

そして搭載されているのはOpenhome準拠のもの、独自規格によるもの、一般的なのもの、がある。独自規格も概ねOpenhomeを超えるような利便性を達成しているものもなく、基本的にはOpenhome準拠しているかどうかが「使えるNAP」かどうかの基準に現在でもなっており、今後もしばらくはその状態が続くと思われる。
Roonという再生ソフトもあるが、音楽ファイルの整頓やブラウジングを自分で思ったとおりにやりたいという用途では向いておらず、高額でもあり、日本語環境でのコンテンツもあまり力が入っていないので今回はメインには据えていない。今後も残るだろうが恐らくこの価格だと主役にもならないだろう。
ストリーミングは結局ハイレゾを含めて非圧縮音源を大量に揃えるという配信会社が出てこないようだ。amazon musicHDに至っては大半のプレーヤーが非対応であったりブラウジングに難があったりとオーディオファイルにとってのメインツールになる日はなかなか来ないような情勢である。

そしてuPnpのブラウジングであるが、一般的な用途では規定のブラウジングで良いのかもしれないが、クラシック音源を含む場合はアルバム単位という概念がほとんど不要であり、演奏者と作曲者の両方で探さなければならず、同じ演奏者でも録音が複数あるので特殊なブラウジングが必要である。それをなし得るために必要なツリー構造の編集が未だにasset uPnPしか対応していない。
asset uPnPは現時点ではオーディオ機器として売られているネットワークオーディオサーバー(DELAとかFidataとか)にはインストールできず、PCやQNAPなどの一般用途のものにしかインストールできない、比較的マイナーなサーバーアプリではある。
正直なところツリー構造の自由な編集は他のアプリでも可能であるべきだが、できないのであれば仕方ないのでオーディオ用として販売されているサーバーにもインストールできるようにして欲しいと思っている。
基本的には有料アプリではあるが機能制限版の無料でもDSDを扱わないならほとんど支障なく使え、不具合もあまりない良いソフトだと思っているのでマイナー扱いは残念である。

Openhome準拠のNAPは多少選択肢は増えたがよりどりみどりとは言えない状況だ。
主にLinnのプレーヤー、Lumin/Esoteric/TEACの似たようなコントローラーを持つプレーヤー、後はスフォルツァートのプレーヤーという選択肢くらいしか手頃なものがない。
Linnはデジタル機能からDACやアンプまで統合する傾向があり、アプローチも独特なのでやや万人向けとは言い難い。割高感も元々あったがさらに目立ってきている感もある。
LuminはD/A変換には特別高い評価はあまり聴かないのでトランスポートが選択肢として選ばれやすいのかもしれない。100万を超えるモデルもあるが、30万以内に収まっているものもあり、価格帯的にも懐は深い。
EsotericやTEACはディスクリートDACを乗せてD/Aに力も入れているが、デジタル出力がないので好きなDACと組み合わせることができないのが残念なところである。Esoのトランスポートを使えばデジタル出力も可能だが、内容からするとやや高価なものとなっている。
スフォルツァートはプレーヤーからトランスポートまで様々に取りそろえてあるが、新しいトランスポートが比較的にお手軽で力も入っているようだ。他社がDACに注力している中でそのあたりのトランスポートが重宝してくるのではないだろうか。
今のオーディオルームの音像はそれなりに使っていると音像の厚みが足らない、音像が近いと感じることがあるのはある程度はっきりした。
そこそこ後壁と距離は離しているが、十分とは言えないので主観的な認識と客観的事実との齟齬はあまりない。
ただそれが気になる時もあれば気にならない時もある。

結局のところ再現しようとしている音像がどのようなものであるかというのが一番の要素であるように感じる。
小編成の場合、後壁の近さや容積の小ささに起因する音像の近さ、平面な感じがあっても、小さめの部屋で演奏してたらこんな音になるという、それらしさがあるので大して気にならない。
逆にオーケストラのような大編成の音源の場合、再現しなければならない仮想の音像が幅が大きいだけでなく、音源となる奏者が何列も並んでいるので音源の厚みも大きい。
部屋の前後の幅を超えるような音像を再現しようとすると後壁の近さが音像の厚みを薄くしてしまい、薄くて近い音像の中に大編成が存在するという矛盾を感じるような音像になってしまっているように感じてしまう。

そういう意味でも再生音楽で生楽器の大編成を綺麗に再生するのはなかなか敷居が高い。
とはいえ、少しくらい大きな部屋で少しくらい後壁を開けたところで問題ない音像になるとはとても思えない。
再現すべき音像が大きすぎるからだ。
リスニングルームという明らかにオーケストラを扱うにはどうやっても小さくなってしまうものをそういう意味でも拡散をうまく取り入れてカバーしないといけないのかもしれない。
逆に言えば大編成を捨てれば拡散や大きな部屋も必須ではないのかもしれない。
大編成用の再生装置と小編成用の再生装置があることの合理性はある。
ただし大は小を兼ねると言うように大空間で小編成の音像を作っても何ら違和感はないことを考えると大編成でも違和感のない音像を作れる室内空間は上位互換であろうことは否定できない。
TechnicsのSU-R1000というデジタルプリメインがなかなか興味深い。
フルデジタルアンプということでデジタルネイティブでありアナログ信号は全てデジタル化する必要があるが、
独自のデジタル処理を通過してパワーアンプに送られるので汎用DACではない。
デジタル処理はD/A変換や音量調整(多分)やスピーカーを駆動したときの出力の不安定化を補充する処理やスピーカーのネットワーク通過する際に起こる位相特性の変化を修正するなどの処理を行っている。
なかなか汎用DACではできない処理を行っており、フルデジタルのメリットをしっかり利用しているのは好印象である。
原音を大事にせず積極的に変えてしまうというよりはパッシブスピーカーの弱点を補償するようなピュアオーディオという方向性を損なわない範囲でTechnicsならではの高音質化のアプローチを行っていることからオリジナリティを感じる。
電源やパワーアンプ部にGaN-FETを使っており、D級アンプとして次世代の性能を感じさせるところも興味を引く。

今のシステムはセパレートだが、プリメインが妥協の産物のように作られているわけでなければプリメインもアリだとは思っている。
このアンプはプリメインどころかデジタル回路も内包しているが、全部入りにしているのにも納得いく理由があり、単純にお得感を出してセールスで優位に立つというものではないと思わせるだけのことをしている。
フルデジタルプリメインというとそのメリットは余分な回路を通らない最短経路と思っていたが、スピーカーの癖を補償するという機能も含めているところに魅力を感じる。
トーンコントロールも付いているようでそれも好印象。

なまじ全部入りだけに既存の機材との組み合わせで苦戦しそうなことと、実際の音が良さそうなコンセプトの影響を受けて説得力のあるものかは見極めないといけないが、特別視するに足るだけの独自性はあるように感じる。
エソテリックのN-05XD、UD-701Nは仕様が似ており兄弟機と思われるが、Openhome対応でほぼLumin同等操作感のネットワークオーディオプレーヤーでありかつ、それなりの品質が期待できるディスクリートDACを持っており、しかも一定程度の品質を持ったボリュームを有しているようだ。
ボリュームはテイアックのが可変ゲインでエソテリックのがアッテネータと書いてあるので多少クオリティは異なるだろう。
ネットワーク、DAC、ボリュームどれも個人的には合格点の仕様となっており、自分がN-01XDを持っていなければ即決レベルの欲しい機材だったかもしれない。試聴はしていないが。

機器が増えると接続の際に様々な機材とマッチングしないといけないことからある程度の範囲内に増幅or減衰させないといけないので余計な処理が増える。
良いケーブルを使うにしても端子やケーブルというやや不安定な導体を通過する量が増える。
プリアンプ専用機などでは入力が多数ある事がノイズの原因となり得るなどがあり、
ソースの種類があまりない自分の環境では一体型の方がメリットが多いように感じる。

ただ05のみプリアンプを付けているのは正直面白くない。
エントリークラス(といっても結構な高額だが)のみが一体型というスタンスは一体型は妥協の産物のような姿勢で作っているような印象を受ける。
そういう意味ではLinnのようにハイエンドクラスでも一体型の可能性を追求している方が好感が持てるが、いくら何でも新Klimaxは高額すぎて興味が湧かない。


日本音響学会会誌の4月の技術報告にオーディオインシュレータにおける円柱や円錐の振動伝搬特性の解析と実験的考察、というものがある。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/77/3/77_170/_article/-char/ja


抄録
オーディオインシュレータは,機器を上に置くだけで多かれ少なかれ効果を生じ,音質や音像定位など再生音の調整に広く用いられている。使用法を考慮すれば,機器への影響はその振動特性の変化が主と考えられる。本研究では,最も多く用いられる円錐を含むインシュレータを対象に,断面積一定の円柱との比較において固体ホーンの振動伝達特性の解析を行い,加振点から見たインピーダンス特性より振動エネルギー伝達特性を推定すると共に,実験結果との対応を検討した。解析結果から円錐形状を持つインシュレータは,特定の周波数を境に振動の伝搬し易い方向が入れ替わり,実験的に得られた振動速度減衰特性とほぼ一致することを確認した。

非会員への一般公開は半年後なので全文閲覧は秋になると思われるが、興味深い。
それぞれのインシュで得意な周波数が異なり、それを計算できるのであればウーファーとフルレンジでは最適なインシュレーターが異なりそれを予測して選択できるかもしれない。
そして逆円錐形のインシュレーターはそれなりに科学的見地から見てもジャスティスであると思われる。