12時を10分位過ぎて、会社に帰って来ました。辺りにはもう誰も居ません。「今日は一人 で食事か」と思いながらエレベーターに行きましたら、丁度其処に村田さんが居ました。同じ階に居ますが仕事のお付き合いも無く、普段は話する事もありませんが、「食事ですか。ご一緒しましょうか」と声を掛けました。
何処へ行って何を食べたか、もう忘れましたが……
食べている最中に「君 画を描け」突然村田さんが言いました。普段から画を見てはいましたが、描くなんて全く思っても居ない事、何と言って断ったか。然し村田さんは私の何を見込んだのか、その後のしつこい事。
昼には食事が終わると近所の此花画廊に誘い、夕時には一杯飲み屋の長谷川に誘って「君 画を描け。」
此花画廊は川端康成先生に命名。欄間には「此花画廊」と書いた大きな額が掛かっていました。
長谷川は半分地下の小さい立ち飲み屋。此処には壁一面に村田さんの描いた店に来るお客さんの似顔絵が全部貼ってあります。隣の人と缶ビール片手に飲みながら壁を見て、目がこうで鼻がこうで……「ああ
⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝さんですね」たちまち話が弾みます。
村田さんは、此処で私を諄きました。「君 画を描け。」
とうとう返事に窮した私は、押しつけられたポケットサイズのスケッチブックと、此も押しつけられた
KENの鉛筆で画を描く事になりました。
「此花画廊」も「立ち飲みや 長谷川」も今はもうありません。KENの鉛筆も無くなりました。
何処へ行って何を食べたか、もう忘れましたが……
食べている最中に「君 画を描け」突然村田さんが言いました。普段から画を見てはいましたが、描くなんて全く思っても居ない事、何と言って断ったか。然し村田さんは私の何を見込んだのか、その後のしつこい事。
昼には食事が終わると近所の此花画廊に誘い、夕時には一杯飲み屋の長谷川に誘って「君 画を描け。」
此花画廊は川端康成先生に命名。欄間には「此花画廊」と書いた大きな額が掛かっていました。
長谷川は半分地下の小さい立ち飲み屋。此処には壁一面に村田さんの描いた店に来るお客さんの似顔絵が全部貼ってあります。隣の人と缶ビール片手に飲みながら壁を見て、目がこうで鼻がこうで……「ああ
⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝⃝さんですね」たちまち話が弾みます。
村田さんは、此処で私を諄きました。「君 画を描け。」
とうとう返事に窮した私は、押しつけられたポケットサイズのスケッチブックと、此も押しつけられた
KENの鉛筆で画を描く事になりました。
「此花画廊」も「立ち飲みや 長谷川」も今はもうありません。KENの鉛筆も無くなりました。