ザックセイバーJrが初出場にして初優勝を遂げた今年のニュージャパンカップ。試合内容(大会ごとの公式戦の数を例年より減らしたことで、より濃密なシングルマッチが見れました)もトーナメントならでは先の展開の読めない面白さも例年以上だった2018年のNJC。個人的に注目し、応援していたのはジュース・ロビンソンでした。

ジュース選手は、1回戦で高橋裕二郎選手、2回戦でマイケル・エルガン選手を破り、ベスト4まで勝ち残りましたが、3.16.後楽園ホール大会で行われた準決勝で、棚橋弘至選手に敗れてしまいました。内容的にも完敗。最初から最後まで棚橋弘至の試合でした。ジュースそれを崩せなかった(言い切ってしまいます)。ACEに隙やほころびは見えず、ジュースの勝機はなかったように思えました。ジュースは本当によく闘い、準決勝まで上がってきた勢いとこれまでのキャリアを出し切ったと思います。私はさらに試合の中での成長、より大きなブレークスルーを期待していましたが、残念ながらそれは見られませんでした。この試合のために急遽生観戦をきめた、私も現地で非常に悔しい思いを味わいました。(悔し)涙がとまらず、棚橋の試合後のパフォーマンスの際も中々顔を上げ続けることができずにいました。リング上で身も心も削って戦い抜いたレスラー二人に失礼を承知で、ジュース選手が高い壁に弾かれ敗れたことが、自分のことのように悔しかったです。同時にここから、ジュース・ロビンソン選手の新日本プロレスでのキャリアが本当にはじまる、そんなキッカケになる試合だったとも思っています。14年近くプロレスを観てきましたが、この日の観戦でようやくプロレスを観る上での初心に立てた気がします。ジュース・ロビンソン選手本当にありがとうございます。私と同じ1989年生まれで、まだレスラーとして未完成の若きガイジンレスラーの可能性を後押し(後推し)し続けるつもりです。

あまりこの試合について語る方もいらっしゃらないでしょうから、少し試合を振り返ってみます。



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昨年、後藤洋央紀選手との試合では避けられてしまった、場外でのキャノンボールを見事に決めました。生観戦時はこの技が見えない位置でしたが、新日公式サイトからお借りした写真をみると強烈にヒットしていますね。


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得意のフルネルソンバスター
高さも角度も見事な一撃。ジュースはこの技の随一の使い手ではないでしょうか。他にもスパインバスターやパワーボムなど自身の上背を生かして決めるオーソドックスな技の数々はジュースの魅力のひとつ。

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初披露?のブレーンバスターの体勢からのガットバスター‼️これも現地では見えない角度でしたが、腹部に両膝を突き立てるだけでなく、DDTのように頭頂部をマットに突き刺すように決まっています。

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掟破りのハイフライアタックからのハイフライフロー。ボディアタック式の方は高さ、フォームの美しさ、体重の乗り具合の全てが見事な一撃でした。今後も使って欲しいですね。ハイフライフローは、不安全なマッドスプラッシュ(屈伸が完璧じゃななかった)のような形で決まりました。ジュースは過去にダイビングヘッドパッドやムーンサルトを使ったこともあり、空中技に関して試行錯誤をしている印象があります。

旗揚げ記念シリーズから着用しているカラフルなニューコスチュームだけでなく、濃いめに伸ばしている髭や、マイナーチェンジした髪型など、ランディ・サベージに風貌に似せてきている?こともあり、ダイビングエルボーを使わないことにもどかしさを感じます。フィニッシュ技にしてもいい気がします。

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フィニッシュを狙ったパルプフリクションを避けられ、投げっぱなしドラゴン(ダルマ式ではなく、いきなりドラゴン、しかも投げっぱなしだったところに趣と味わいを感じました)から、背面、正面へのハイフライフロー2連発で棚橋が勝利。パルプフリクションを返されて、新技を投入という流れが生まれるくらい、棚橋を追い込むジュースが見たかったですが、そこまでは至らなかった。キャリアと地力の差をハッキリ見せつけられました。棚橋がヒール寄りの試合運びにも関わらず場内9割が棚橋コールで、それを覆すような瞬間を作れずあくまで棚橋の試合で終わってしまったことが悔しいですね。

今後のジュースは勝つための試合構成能力の向上と絶対的なフィニッシュホールドを身につけて欲しいところですね。そのどちらかでもいいかもしれません。パルプフリクションを使い続けるにしても、そのフィニッシュを絶対的なものにする試合運びがなければ今以上の結果と評価を得るのは難しいと思います。まだまだ優等生的な印象からはみ出しきれてないキャラクターからはみ出すような意外な一面も見たいですね。

早くも次の大勝負、タッグマッチでフォールを奪った後藤洋央紀選手のNEVER無差別級王座への挑戦が決まる可能性がありそうですが、試合後に過程を大事にしたいが故に少し歯切れの悪いコメントをしているジュースに好感を持ちました。挑戦が決定したら、チャンスを貰いすぎという声があがりそうですが、それを覆すような試合を期待しています。今はオカダ対ザックのIWGP戦よりもジュースがいかに新日本で活躍し、支持を広げていけるかの方が気になります。これが推しがいるということなんですね。


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試合後のコメントで棚橋選手はジュースに対して一切言及しておらず、そのことも完敗の事実をより強く思い知らさせれる要因だったのですが、本日更新された公式サイトの日記でジュースに対する強く深い思い入れを書いてくださいました。会員の方は是非読んでみてください。本隊、タグチジャパンで同門のKUSHIDA選手もインスタグラムでジュースの活躍に刺激を受けているとおっしゃってくれています。

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ジュースはまだまだレスラーとしての色がはっきりついていない、未完成な若者です。同い年のチェース・オーエンズ選手のようなプロレスの巧さと渋さやかわいらしさ、高橋ヒロム選手のようなコミカルさや発信力や強烈なギャップはありませんが、それ故にこれから大化けする可能性を秘めた存在だと思います。優勝したザックセイバーJrが「無限のサブミッションホールドを持つ男」ならば、ジュース・ロビンソン「無限の可能性を持つ男」だと信じています。彼の 憧れのセンパイ、新日本プロレスの不動のエース棚橋弘至との一騎打ちをNJC準決勝、それも聖地後楽園ホールで観れたことを誇りに思います。プロレスだからこそ、応援した選手が負けても、拮抗した名勝負でなくても、最高の生観戦でした。30分近い試合があっという間どころか時間の感覚がなくなるくらい、夢中でジュースを応援して自分を投影していました。ほろ苦い敗北とつまずきで終わらず、そこから未来に繋がる展望を見いだせるのかまだプロレスの魅力ですね。ようやく頭だけじゃなく、心と身体で生のプロレスが観れました。次はジュース・ロビンソンのジャイアントキリング、シングルベルト戴冠を生で見届けたいです。

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2017


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2018