書き尽くされたはずの織田信長を側面から書く、この人の時代小説は新鮮だ。 | 不埒な病、不埒な趣味、そしてetc.

不埒な病、不埒な趣味、そしてetc.

ブログの説明を入力します。
2012年9月に下咽頭癌にかかり、以後、自宅で長い療養生活に入る。暮しの中心は読書。いきおい読んだ本の話が多いかも。
音楽と競馬の話も、僕には欠かせない日々の潤いです。

「火天の城」では近江城を経てた番匠たちを主人公にして織田信長を書いた山本兼一が帝や公家たちから織田信長を書いたのが「信長死すべし」だといえよう。信長誅殺のために明智光秀をかつぐはかりごとの進展は誠に面白い。だが、この人の文章は修羅場には、あまりむかないのではないか。本能寺の変での信長の最期や光秀の惨めな死場面の描写に迫真性は感じられないように思う。武張ったことが、あまり好きではない作家と見受けているのではあるが。