友達と遊んでいたら、自分が罰ゲームをする羽目になった。
たこ焼きにビン一本の青海苔をかける、ただそれだけだった。
そんなにリアクションもとれない地味な罰ゲームだった。

遊ぶだけ遊んで終電に飛び乗った。
駅に着く度に酔った大人が駆け込んで来る。
ここいらはあまり電車が走らないので、乗客の消化が悪いのが要因のようだ。

酔っぱらいで賑わう電車に、一人たたずむ高校生。

もちろん俺だ。

目の前の男の人にはつかむ所がなかった。
席や吊革は全部、埋まっているが、まだ余裕がある感じだったのだ。

すると彼は、車両の真ん中に吊ってあるポスターを、親指と人差し指でつかんだ。

案の定ビリッと破れ、ブラーンと垂れ下がった。

段々と乗客が増えて来る。

そして乗客がピークに達した時、俺はポスターにキスをしていた。
押し潰された俺は垂れ下がったポスター越しに、誰かの背中にキスをしていた。

大きな駅に着き、やっと客が降りていく。

目の前には俺の唇で濡れた松山ケンイチがいた。
俺は小一時間もの間、松山ケンイチの描かれたポスターにキスをしていた。

松山ケンイチは安い紙と青海苔の匂いがした。