何かに向かう原動力って大概、怒りからだったりする。

この時期、学校には研修生が来て授業をする。

俺のクラスに来たのが、カマキリ顔の方。

それが酷い。
教えられている気がしない。

何か言葉を喋って、何か板書してる。
その何かに教えようという意識がない。

別に自分に自信があるとかじゃなくて、俺はこいつよりは良い授業を展開できる。

それは現代社会の授業。

まずカマキリは自己紹介がてら、日本の現状について語りだした。

語り初めはこうだ。

「がっ、学校にいじめが蔓延している」

声を張り上げた割には、当たり障りない話だ。

「まっ、まず生徒に問題があるだろう」

もうクラスは一丸となっていた。

『いや、まずお前だろ』

そして、クラスの空気そっちのけで、こう続ける。

「おっ、大人同士がいじめをしますか?」

その日は丁度、朝から立てこもり犯の報道をしていた。
もはや、いじめという尺度ではない。

「しっ、しませんよね?」

現代社会の授業で何を抜かすか。

「おっ、大人の模範をしようとしないから、しゃっ、社会秩序が保たれなくなるのです」

俺の後ろの気弱な男の子が、こう呟く。

『すっっ、くなからず、お前の模範はしねぇ』

彼のイメージに似合わない言葉が背中から聞こえる。
これはよほどだ。

いじめが何だ。
こんな野郎が語った所で、何の効力もありゃしない。

生徒にとって大人の鏡は親であり、先生でもある。
そんなヤツがしっかりしてないで、何がいじめだ。

こいつが教員になるのなら、俺がなろうと思った。
まぁ、これでもし俺が何かの間違いで教師になったら、生徒にはカマキリのことをどう言うべきか。
まぁ将来の夢を作ってくれた、最悪の恩人とでも紹介しよう。

何かに向かう原動力って大概、怒りからだったりする。
もちろんブログに向かうそれだって。