💖はじめてを捧げた契約結婚は、心惹かれる運命の出会いだった💖

 

第一章 覚えていない初体験

 

私が愛した人、それは新木総合病院の外科医、新木あらきまもる、次期医院長である。私が怪我をして、担当医師になったのが護だった。

護は事あるごとに私に近づき、口説いてきた。看護師さん達からは「新木先生は口説き魔だから、気をつけて」と言われていた。だから、護の言葉は信用していなかった。でも、護に日に日に惹かれていった。

そしてファーストキスを奪われた。二十九歳でファーストキスなんて、私は凄く奥手でこの年齢まで経験がなかったのである。最初で最後の恋だと信じて疑わなかった。

でも、護はいつもあやふやな態度で、はっきり愛しているとは言ってくれない。やっぱり看護師さん達が言っている通り、遊びなの?

「護、私のこと、好き?」

「好きに決まってるだろ」

「護は結婚しないの?」

「しない。俺は外科医だから、家庭は持たない。いつ呼び出されるか分からないし、家族は邪魔なだけだからな」

そうなんだ、いつでも患者さんが最優先なんだね。私も、いつでも二の次なのかな。

そんな矢先、護に婚約者がいると言う情報が私の耳に入ってきた。そして、私は婚約者のいる護を誘惑しているなどと、噂が広まった。無論、護の奧さんになろうなんて、これっぽっちも思わなかったが、やはりショックは大きい。私は護の前から姿を消した。

 

あれから十年、恋愛に臆病になり、もうすぐ四十歳を迎えようとしていた。私、どうすればいいのかな、このまま潤うことも知らず、枯れ果てていくの?

私の中の経験、護とのファーストキス。でも、彼にとっては単なる遊びだったに違いない。彼のために大事に取っておいても仕方ない初体験。叶わぬ夢、それなら誰でもいいから捧げちゃう?

これから益々枯れていく女の魅力。待てよ、私には初めから女の魅力はなかったのか。お金を出しても私の初体験は叶わないのかな?

 

そんなことはないない、でももしかして、自分で気づいていないだけかも。私には女としての魅力は全くないの?

今となっては、女としての魅力もなければ、若くもない。何にもないってことかな、私はあまりの衝撃にガックリ肩を落とした。恋愛をして初体験と言う道は、私には残されていないと悟った。

 

この日親友の友美と食事をした。人生に焦りを感じている旨を相談した。

「私、このままだと経験ないまま、枯れて人生終わっちゃうと思うの」

「それはオーバーじゃないの」

「友美は恋愛経験豊富で、結婚も離婚も経験しているから、余裕だろうけど、私は人生崖っぷちなんだよ」

「じゃあ、お見合いしたら?」

「お見合いだって経験ないって、引かれるよ」

「そうかな?」

「兎に角、恋愛飛ばして経験したいの」

私ははっきり言って、これから恋愛することに自信がない。経験する前に別れることなんか大いにある。そんなことしてたら、益々歳を重ねて、経験が遠のく。出来れば四十前に事を終わらせたいのだ。

「友美、いい方法ない?」

「そうねえ……そうだ、バーに飲みに行きなよ」

「バーに飲みに行くの?」

「そう、しっかり品定めして声をかけて、ホテルへって流れ」

「なんて声かけるの?」

「それは自分で考えな、その時の状況や雰囲気によるから」

「そうだよね」

「それに一晩だけの相手でいいんでしょ?」

「うん」

「それなら、めっちゃ若くてイケメンを捕まえなよ」

「そんな好条件の男性がいるの?」

「いるわよ。向こうも事情があって、バーに相手を探しに来てるんだから」

「だからバーなの?」

 

友美のアドバイス通り、私は次の日の夜、バーに向かった。なるべく、若く見えるような化粧を念入りにして、洋服は淡い色のワンピースをチョイスした。バーに入り、カウンターに座った。

あまりお酒が強くない私は、軽いお酒を頼んだ。それがかえって大誤算だった、つい多く飲むことになってしまうなんて。

周りを見渡すとカップルばかりだった。一人で飲んでいる男性なんていないじゃない。時間の経過と共に気がつけば、グラスは空になり、おかわりを繰り返していた。

 しばらくして、一人カウンターで飲んでいた男性が目に入った。その男性はずっと一人だった。横顔がめっちゃイケメン、バーテンダーと話す時の笑顔は爽やか。

ちらっと、私を見て、その時、目が合った。男性はバーテンダーに耳打ちをして、私の前にカクテルが置かれた。

「あの、私頼んでませんけど……」

「あちらのお客様からです」

バーテンダーは彼を指した。彼は私を見つめて、ニッコリ微笑んだ。なんてスマートな対応、女性の扱いに慣れている感じが伝わってきた。私は軽く会釈をした。

男性は立ち上がり私の隣に移動してきた。

「お一人ですか。もしよかったら一緒に飲みませんか」

そう言って、私の隣に座った。心臓がドキドキ言ってる。

「はい」

そう返事をしたが、何を話していいかわからない。

「このバーはいつも来てるの?」

彼が話題を振ってくれた。

「いえ、初めてです」

「そうなんだ、ここのチーズめっちゃ美味いんだよ」

私は思いっきり立ち上がり、彼に向かって言葉を発した。

「あのう、私を抱いてください」

彼はビックリした表情を見せたが、すぐにその場を和ますような言葉を言った。

「もう、酔ったの。まだ、大人の時間には間があるよ、座って」

私は周りを見回して、恥ずかしい失態を晒したことに気づいた。

「すみません、私……」

 

「大丈夫だよ、もう出ようか」

彼はそう言って、二人分の会計を済ませて、タクシーで彼のマンションへ向かった。

「どうぞ、座って」

彼は私を部屋へエスコートしてくれた。

「お邪魔します」

「シャワー浴びておいで」

彼は私をシャワールームへ案内して「バスタオルこれ使ってね」と言ってドアの向こうへ消えた。ぽつんと残された私は、大胆にも自分からとんでもないことを言ってしまったと後悔する。どうしよう。

とにかくシャワーを浴びて、籠の中に用意されていたバスローブに着替えた。

「シャワーありがとうございました」

「少し酔いは覚めた?」

「はい」

「じゃ、俺もシャワー浴びてくるね、先に寝ちゃ駄目だよ」

彼はそう言うとニッコリ微笑んだ。また、心臓がドキドキして鼓動が速くなるのを感じた。どうしよう、いよいよ私の初体験の夢が叶う時が来たってこと?

その時、私は大変なことに気づいてしまった。シャワーを浴びたから、いつものように洗顔してしまった。私、すっぴんだ。化粧水もお化粧道具も持ってきてない。どうしよう、私が狼狽えていると、すでに彼はシャワールームから出てきてしまった。

挙動不審な私に彼は不思議な顔をして声をかけてきた。

「どうかした?」

「えっ、あ、あのう、私、洗顔しちゃって……」

「シャワー浴びたんだから当たり前だろ?」

「だってすっぴん」

彼は私に近づき、顎をくいっと上げて、まじまじと私の顔を見つめた。嘘、まだ心の準備が出来てない。

私が狼狽えていると「大丈夫だよ、可愛い顔してる。問題なし」そう言っておでこにチュッとキスをして、ソファに押し倒された。顔が真っ赤になるのを感じた。

「あのう、初めてなんですけど……」

「えっ、俺でいいの?」

「はい」

 

「よく考えたか、元に戻してって言っても戻せないよ」

「大丈夫です」

「キスも初めて?」

「えっ?」

「ファーストキスは経験済みかな?」

「はい」

「そうなんだ、その彼の為に取っておかなくていいの?」

私は護のことを思い出していた。だって護は婚約者いたし、私とは遊びだったよ、そうに決まってる、なんか涙が出て頬を伝った。

彼は私の頬の涙を拭ってくれた。

「女を泣かす奴のことは忘れちゃいな」

彼は私の唇にそっとキスをした。徐々に激しくなって、彼は舌を割り入れてきた。あ〜っ、蕩けちゃう、凄く気持ちいい。彼の手が私の胸に触れた。

首筋にキスを一つ、二つ、三つと三ヶ所吸われた。チュッと強く、そして歯を立てて噛まれる。甘い吐息が漏れて、背中が仰け反った。

ソファに押し倒されて身体を重ねた。胸に触れていた彼の手が大胆に動いた。両手でバスローブの上から乳房を揉みしだいた。

「バスローブの上からでも分かるくらいに感じてるね」

そして背中に手を回しブラジャーのホックを外した。締めつけていた感覚が緩くなり、彼はバスローブとブラジャーを剥ぎ取った。

私は恥ずかしくて両手で胸を覆った。彼は私の両手を頭の上にクロスさせて、乳頭を唇で触れた。

「ああっ、いや〜」

「嫌って反応じゃないよ。こんなにも硬くなってもっとって言ってる」

 はじめてなのに、こんなにも感じて恥ずかしい。でももっと激しく触れて欲しいと願っていた。下半身がドキドキ言ってる。どうしよう、濡れてきた感覚に襲われた。

「こっちも触れて欲しいんだね」

 彼は私の太腿に触れて、ショーツの中に手を入れてきた。

「こんなにも感じてくれて嬉しいよ」

 少しずつ彼の指が私の中に入ってきた。

「痛くない?」

 

「はい」

「気持ちいい?」

「はい、凄く」

「じゃあ、もう少し奥まで入れるよ」

私の下半身はジンジンしてピクピクしてきた。次の瞬間はじめての感覚に襲われて、私は最高潮に達した。

「お前、可愛いな」

 

 

 

 

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