第一章 俺は極道①-2
とにかく、鷹見さんが出てくるまで待っていようと決めた。
そして私ははじめてを経験した。
私の身体をベッドに運び、またキスからはじまる蕩ける愛撫。
「めぐみ」
「めぐでいいですよ」
「それじゃあ、めぐ、これから俺の言うことをよく聞くんだ」
「はい」
「たった今から、俺以外の男に抱かれたら、めぐもその男も命はないと思え、いいな」
私はポカンとして返事をしなかった。
「返事は」
「はい」
「俺の女として合格だ」
「えっ、うそ」
鷹見さんは私の言葉に不思議そうな表情を見せた。
「鷹見さん、気持ちよかったですか」
「ああ」
「そうなんだ」
そして私の唇にキスを落とした。
そして朝まで身体を重ねた。
気がつくと白々と夜が明けていた。
鷹見さんはうつ伏せに寝ていたので、背中の刺青がはっきり見えた。
なんて綺麗なの。
私はそっと刺青に触れてみた。
ピクっと鷹見さんの身体が反応して「くすぐってえな」そう言って起き上がった。
「めぐ、おはよう」
「おはようございます」
鷹見さんと見つめ合うと、さっきまでの抱擁が走馬灯のように蘇る。
「今夜もめぐを抱く、覚悟しておけ」
「えっ、無理です、二、三日お休みしましょう」
「冗談じゃない、そんな事出来るか」
俺はめぐに溺れた。
朝食を済ませて、俺はめぐと一緒に戸部建設副社長の元に出向いた。
「めぐみさん、僕との結婚を承諾してくれるんですね」
俺はすかさず口を挟んだ。
「ばかやろう、めぐは俺の女になった、手を出したら命はないと思え」
「えっ、それはめぐみさんは承知なのか」
めぐは「はい」と返事をした。
「そんな、なんと言うことだ」
副社長は頭を抱えた。
俺とめぐは戸部建設を後にした。
マンションに戻ると、めぐが心配そうな表情を見せた。
「あのう、戸部副社長との結婚は回避出来ましたけど、商業施設建設は予定通り行われるんですよね、商店街の人たちは追い出されちゃいますよね」
「それは仕方ないな」
「なんとかならないですか」
「分かった、なんとかしてみる」
「本当ですか」
めぐの表情がパッと輝いた。
私は鷹見さんのいない人生は考えられなかったのである。
「今日から仕事があるから、大人しく留守番していろ」
「分かりました」
「じゃあ、行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
なんか、夫婦みたい、そう思うと顔が真っ赤になるのを感じた。
鷹見さんは私の真っ赤な顔をみて「めぐ、俺に抱かれたことを思い出してたのか」と私の顔を覗き込んだ。
「違います」
そう言って鷹見さんの顔を見つめると、ふいにキスをされた。
一人で留守番なんて、今まで全然平気だったのに、急に不安になった。
私は思わず自分の気持ちを言ってしまった。
「鷹見さん、早く帰ってきてくださいね」
「なんだ、寂しいのか」
「はい」
私は恥ずかしくなって俯いた。
こいつは俺の気持ちをギュッと掴むのがうまいのか。
めぐの腕を掴んで引き寄せ抱きしめた。
「鷹見さん」
俺は今まで感じたことがない気持ちに戸惑った。
「なるべく早く帰る、いい子にしてろよ」
めぐのおでこにキスを落とした。