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第一章 俺は極道

 

私は牧瀬めぐみ、三十九歳。

 

そう、私は三十九歳まで男の人と触れ合った事がなかった。

 

下町通り商店街会長を父に持ち、母は私が小さい頃他界した。

 

お嬢様ではないが、世間知らずだ。

 

最近、父親は過労で入院を余儀なくされた。

 

それは下町通り商店街に立ち退きを命じられているため、その話し合いにとことん疲れ果てたのだ。

この日、私は入院した父の代わりに話し合いに向かった。

 

「おい、龍一、いつまで手こずってるんだ、さっさと立ち退きの書類にサインもらってこい」

「了解しました」

 

俺が向かった先はある高級料亭の一室。

 

「遅くなりました」

 

通された部屋に入ると、そこには戸部建設副社長、戸部弘毅と立ち退きを迫られている商店街会長の娘が話し合いの真っ最中だった。

 

「めぐみさん、簡単なことです、僕と結婚してくれたら、商業施設建設の際には全ての商店街の方々の店を組み込みます」

 

「申し訳ありませんが、結婚をお受けする事は出来ません」

 

俺は高沢組若頭、鷹見龍一。

 

中学を卒業してこの世界に足を踏み入れた。

 

万引き、窃盗、恐喝、生きていくためになんでもやった。

 

俺は孤児院で育ち、親の愛は知らない。

 

何度警察に世話になったかわからない。

 

十八になった時、高沢組長と出会った。

 

「おい、うちにこい」

 

高沢組は任侠集団だ、せなかに龍の刺青を背負ってるが、親分の考えは人様に迷惑をかけるな、役に立つことをいつも心がけろとの教えだ。

 

俺は今は若い奴らの教育係ってところだ。

 

立ち退きを迫られているこの商店街は、古くから店を構えている個人商店ばかりだ。

 

この場所に商業施設の建設計画が持ち上がっており、戸部建設が仕事を請け負った。

ところが、立ち退きがうまくいかず、高沢組へ仕事が回ってきたと言うわけだ。

 

副社長はこの女に結婚を迫っているのか。

 

「おい、あんたからも説得してくれ、めぐみさんは僕の言う事が理解出来ないようだ」

 

俺が女をじっと見た時、女も視線に気付いたのか、俺を見た。

 

これが俺とめぐみの出会いだ。

 

副社長はしびれを切らしたのか、いきなり立ち上がり、女に近づいた。

 

腕を掴んで、押し倒した。

 

「やめてください」

 

「君は僕のものになるんだ」

 

女は俺に視線を向けて助けを求めていた。

 

「おい、やめろ」

 

俺は副社長を女から引き剥がした。

 

「何をするんだ」

 

「馬鹿か、そんな事して訴えられたら困るのはあんただろ」

 

副社長は俺の言葉で我に返り、気まずそうにその場を後にした。

 

「ありがとうございました」

女は俺に深々と頭を下げた。

 

「あんた、気が強いな」

「自分の意見を言えないようなら、あの副社長にいいように扱われます」

 

「でも、結婚に承諾しないと建設計画の商業施設に組み込んでもらえないぞ」

 

「商業施設建設は中止には出来ないんでしょうか」

 

「それは無理だな」

 

「そうですか、私が副社長と結婚するしか手はないのですね」

 

女は俯いた。

 

「一つだけ方法がある」

 

「えっ、それは何でしょうか」

 

「俺の女になれ」

 

女は訳が分からないような表情を見せた。

 

「俺の女に手を出すほど、あの副社長は勇気はないだろう」

 

この男性は確かに威圧的で権力者のようだ。

 

どこの誰だろう。

 

私はその男性の事はわからないが、なぜか惹かれはじめていた。

 

こんな気持ちになったのははじめての経験だ。

 

危ない、近づいてはいけない雰囲気を醸し出していたにも拘らず、どうしても彼を知りたい、もっと一緒にいたいと思った。

「あなたの女になります」

 

「おい、言ってる意味分かってるのか」

「分かりませんけど……」

 

「分からないで即答していいのか」

 

「大丈夫です」

 

彼は鼻で笑って、口角を上げた。

 

「だって、それしか方法はないんですよね」

 

「そうだな」

 

「それではよろしくお願いします」

 

「じゃあ、早速服を脱げ、品定めしてやる」

 

「ここでですか」

 

なんとなくだが、この男性の女になると言う事は、私を抱こうとしているのだろう。

 

経験はないが、知識くらいはある。

 

この男性は経験豊富のようだから、私のはじめてをうまくリードしてくれるかもしれない。

 

一番は私がその気になっている事。

 

三十九年間、その気にさせてくれた男性は現れなかった。

 

この男性を逃したら、私は副社長と結婚して抱かれることになる。

 

副社長に抱かれるくらいなら、死んだ方がましだ。

 

でも、この男性なら、抱かれてもいいと思えた。

 

いや、一瞬にして私の心を盗み、その気にさせた、抱かれたいと……

「早くしねえか」

 

「あなたのマンションに連れて行ってください、私の裸を見て興奮しちゃうかもしれないでしょ」

 

その男性は大声で笑い出した。

 

「おもしれえこと言うじゃねえか、この俺様をその気にさせる自信があるんだな」

 

自信なんてない。

 

「これでも私、脱ぐとすごいんですよ」

 

完全にハッタリだ、胸は小さく、肌もみずみずしいとは言えない、しかもはじめてだから感じなかったらどうしよう。

 

不安だらけだが、ここまできたらもう、先に進むしか道はないと思った。

 

「じゃあ、俺のマンションに行くぞ」

 

「その前にご飯食べに連れて行ってください」

 

この女、すげえ惹かれる。

 

益々興味が湧いてきた。

 

俺は女と食事に出かけた。

 

「私、牧瀬めぐみと申します、あなたは?」

 

「俺は鷹見龍一だ」

 

運転手付きの高級車に乗っている。

 

どこかの役員クラスかな。

まさか、極道の組長?

 

いやいや、まさかね、極道の女なんて、私、この先客取って商売の道にまっしぐらなんてことにならないよね、やだ、こんなおばさんは誰も抱きたいと思わないか。

 

えっ、と言う事は、鷹見さんもその気にならなくて、私は追い出されちゃうのかな。

 

「早く食え、俺にめぐみの裸見せてくれて、興奮させてくれるんだろう」

 

「はい、楽しみにしてください」

 

ハッタリをかました私は、この先どうなってしまうのか。

 

想像もつかないまま、鷹見さんのマンションに連れて行かれた。

 

「入れ、シャワー浴びてこい」

 

私はシャワールームに案内された。

 

大理石を使っているシャワールームはなんて豪華な空間だろうか。

 

シャワーヘッドはピカピカに輝いている。

 

まるでホテルのようだ。

 

シャワーの水が肌を弾く、ならいいが水が肌を流れていく感じ。

 

もうダメ、全く興奮しないなんて言われたら……可能性は高い。

 

「ありがとうございました」

 

私はバスローブに身体を包み、リビングに出てきた。

 

「裸になってベッドに横になってろ」

 

そんなの無理、私の理想はキスをして、一枚ずつ脱がされて、あっ、バスローブだけしか身につけていないんだった。