第五章 打ち明けられた真実⑤-2

 

「親父に本当のことを話そう、優里のお母さんの気持ちを引き止められなかった親父の責任だ」

 

「でも、私はお父様を裏切った母の娘よ、陸との結婚は許してもらえないよ」

 

「大丈夫、俺が親父を説得する、優里はなにも心配せず、俺についてくればいい」

 

「陸」

 

「でも、優里は今まで一人で抱えて我慢して、辛かったな、ごめん、俺はなにも覚えていなくて」

 

「陸、そんなことないよ、陸だって記憶を失うくらい、悩んで苦しんだんだから」

 

「でも、重要なことを話してくれたおばさんに感謝だな」

 

「うん」

 

急に陸の顔が近づいてきてチュッとキスされた。

 

「陸、急にびっくりするでしょ」

「だって、俺が優里にキスしても、なんの問題もないだろう」

 

「それはそうだけど……」

 

「親父と優里のDNA鑑定が先決だな」

 

「そうだね」

 

俺は東京に戻った、優里も一緒にと思ったが、店のこともあるし、優里はおばさんのところがなにかと便利だと判断し、北海道に残ってもらった。

 

俺は早速親父と話すことにした。

 

「親父、ちょっと話あるんだけど……」

 

「どうした、改まって」

 

「優里のことだけど」

 

「お前はまだ諦めがつかないのか」

 

「俺と優里は兄弟なのか」

 

「お前、誰から聞いたんだ、そんな事実はない」

 

「もう、隠さなくてもいいよ、優里のお袋さんと結婚を考えた仲だったのか」

 

親父は何かを決心したかのように話し始めた。

 

「優里はわしの娘だ、すまん、優子がわしの目の前から姿を消して、まさかお前と優里が恋仲になるなど想像もしていなかった」

 

「親父、優里は親父の娘じゃないんだ」

 

「なんだと」

 

「優里を妊娠したことを、報告を受けて、あの頃親父は仕事が多忙を極めていた、優里の母親は寂しくて他の男と関係を持った、気づかなかったのか」

 

「誰から聞いたんだ」

 

「優里の母親が親父の前から姿を消した後、北海道に行って世話になった定食屋のおばさんが話してくれた、優里の母親が親父には知られたくないと行っていたそうだ」

 

「全部知っていたよ、優里はわしの娘じゃない、あの頃優子が他の男と関係を持ったこともわかっていた、でも優子は嬉しそうにわしの子供を妊娠したと言ったんだ、嘘だとわかっていた、でもわしは優子を愛していたんだ、わしの子供として産む決意をしたなら、わしも一緒にその嘘にのっかろうと思った」

 

「そうだったのか」

 

「そのうち、優里が本当にわしの娘だと思えて、お前との結婚は避けたかった、優子にどうやって報告するんだ、そんな酷いことは出来ない」

 

「親父」

 

「お前と優里が結婚すれば、優里は今度こそわしの娘になるんだな」

 

「ああ、とりあえずDNA鑑定を受けてくれ」

 

「わかったよ」

 

親父が真実をわかっていたなんて、ずっと優里は自分の娘だと思いたかったのかもしれないな。

 

俺は優里の待つ北海道へ向かった。

 

「優里、結婚しよう」

 

俺は優里を抱きしめた。

 

「お父様はショックを受けたんじゃない」

「いや、優里のお袋さんの嘘を見抜いていた」

「えっ、それじゃあ、私を自分の娘じゃないのに、気遣ってくれていたってこと?」

 

「ああ、自分の娘だと思いたかったって」

 

「そうなんだ、お父様は母を許してくれたってこと?」

 

「優里のお袋さんが妊娠を親父に報告した時からずっと自分の子供として育てる覚悟をしていたって」

 

「お父様、ありがとうございます、母を許してくれて」

 

俺は優里をさらに強く抱きしめた。

 

「優里、おばさんにことの事情を説明して、なるべく早く東京に帰ろう」

 

「うん、そうだね」

 

それから優里はおばさんに説明して、東京へ向かった。

 

俺と優里は親父に会いに行った。

 

「お父様、いえ、おじ様、母に代わって謝ります、本当に申し訳ありませんでした」

 

「優里、頭を上げておくれ、わしは優子の嘘を受け入れると自分で決めたことだ、優里が謝ることではない、それより、わしの方こそすまん、二人を認めたくなかった、優子になんて報告したらいいか、嘘を知っていたとはどうしても言えないと思ったんだ」

 

「とりあえず検査してはっきりさせよう」

 

そして検査の結果、親父と優里は血の繋がりはないと証明された。

 

俺と優里は結婚した。

 

「優里、こうしてお前を抱きしめることが出来るなんて夢のようだ」

 

「私だって、陸と兄弟だと聞かされた時、目の前が真っ暗になったよ」

 

「これも運命だな、俺と優里は結ばれる運命だった、優里」

 

俺は優里と唇を重ねた。

 

熱い、でも優しいキスをした。

 

優里を寝室に運んで、身体がベッドに沈んだ。

 

頭の上に腕をクロスさせて、首筋にキスをした。

 

優里は甘い声を出して足をもぞもぞさせていた。

 

「優里、こっちも触れてほしいのか」

 

俺はブラウスのボタンを一つ一つ外し、ブラジャーのホックも外した。

 

胸の膨らみを大きく動かして強く吸った。

 

優里は感じてる声を上げて、俺の名前を何回も呼んだ。

 

優里、俺もすごく感じてる、お前を抱いて興奮がマックスまで上り詰めた。

 

「優里、俺たち随分遠回りしちゃったな」

 

「本当に」

 

「優里、俺自身をそのまま優里の中に入れる、子供が欲しい、いいな」

 

「うん」

 

俺は優里を抱きしめながら、誓った。

 

二度と離さないと、必ず地の果てまで追いかけると……

 

 

           END