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ラヴ KISS MY 書籍

 

 

 

 

仕事から戻ると、あゆみはまだ眠っていた。

 

俺は朝方仕事から戻る、そしてシャワーを浴びて食事を済ませ、眠りにつく。

 

午後二時頃起きて軽く食事を済ませ、支度をして仕事へ行く。

 

仕事場がホストクラブだから、あゆみとはすれ違いの生活を送る事になる。

 

俺はあゆみに相当の無理をさせていたんだろうと反省する。

しかし、俺がホストを続ける限り、あゆみとのすれ違いの生活は避けられない。

 

俺はホストの仕事が好きだ、天職だと思っている。

 

高校を中退した俺は華やかなホストの世界に魅了され、この世界に飛び込んだ。

 

あっという間にナンバーワンに上り詰めた。

 

そんな矢先俺の身体を病が蝕んでいった。

 

俺の人生は二十五で終わりかよ。

 

そんな時あゆみと出会った。

 

俺の運命を大きく変える事になるなど予想もつかなかった。

 

そんな大切な人に迷惑ばかりかけて、悲しい思いをさせて、このままでいいわけがない。

 

俺は店を手放す事にした、そして規則正しい生活を送り、あゆみを母親にして見せる。

次の日、休みを取った。

 

「あゆみ、明日、出かけようか、休みを取ったんだ」

 

「本当ですか?でも休みは休まないとお休みにならないですよ」

 

「俺はまだ二十代だぜ、大丈夫、あゆみと出かけたいんだ」

 

「それじゃお言葉に甘えますね」

 

俺とあゆみは久しぶりにデートをした。

 

あゆみは嬉しそうにニッコリ笑っていた。

 

「バスケットでシュートを決めたら、負けた方が言う事に従うゲームしよう」

 

「ハンデください、凌は私より十五も若いんですから」

 

「じゃ、俺はスリーポイントシュートの位置からだけでどう?」

 

「いいですよ」

「よし、始めるぞ」

 

俺はあっさりとスリーポイントシュートを決めた。

 

「えっ?嘘」

 

「俺の勝ち」

 

「もう、凌ずるいですよ」

 

あゆみのこんな楽しそうな笑顔を見るのは久しぶりだ。

 

「それじゃ、俺が勝ったからあゆみは俺の言う事を聞いて貰うよ」

 

「わかりました、何をしたらいいですか」

 

「俺とあゆみの子供が欲しいな」

 

あゆみは驚いた表情を見せた。

 

「でも、流産の後は妊娠は難しいって言われました」

「産婦人科の先生に聞いてきた、規則正しい生活を送って、栄養のある食事を取るように心がけて、心配がない環境で暮らすと、授かる可能性があるって」

 

「本当ですか」

 

「うん」

 

「でも、規則正しい生活って考えたら、凌と今以上にすれ違ってしまいます」

 

「だから、これからは俺があゆみに合わせるよ」

 

「凌が私に合わせる?」

 

俺は自分の気持ちをあゆみに伝えた。