11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化
「あゆみ、産婦人科の検診いつだっけ?」
えっ?あゆみは俺の言葉に息を飲んだ。
2年前の記憶が蘇ったの?
そう、私が妊娠していたのは2年前である。
「楽しみだな、俺達の子供」
どう言う事? ちゃんと自分の子供だと言うこともわかっている様子に、驚きを隠せなかった。
「病院へ行きましょう」
「どうしたんだ、急に・・・検診は今日だった?」
「あっ、違います、凌の病院です」
「俺の? 俺の病院は今日だっけ?」
あゆみは2年前の記憶が蘇った事実に驚き過ぎて、どうしていいか分からず、俺に対してちゃんとした説明を疎かにしてしまった。
でもなんて言えばいいんだろう・・・
「あの、私が妊娠していたのは2年前なんです、残念ながら流産してしまって・・・」
「そうなんだ、よくわからない」
「そうですよね、先生に診察して頂きましょう」
あゆみは支度を始めようとした。
「あゆみ、俺は2年前、あゆみが流産した時、ちゃんと支えてたか、あゆみの側にいたか?」
「大丈夫ですよ、ちゃんと支えて頂きました」
「そうか、ごめん、嫌な事思い出させたな」
俺の言葉に、あゆみは涙した。
「あゆみ? 大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、少しずつ記憶が戻るかもしれないですね」
俺達は主治医の先生の元に出かけた。
そして主治医の先生に診察をお願いした。
「どうなさいましたか?」
「あのう、2年前の記憶が、蘇ったようなんですが・・・」
「わかりました、診察致しましょう」
先生は、俺の検査を始めた。
「これからいろいろ質問していきますね、思い出したのは、奥様の妊娠の事でしょうか」
「そうです、この間、産婦人科に検診に行くって聞いたんですが、いつだったか覚えていなくて・・・」
「そうですか」
「あゆみから2年も前の事だと聞いて、しかも流産したって教えてくれたんですが、その事は覚えていなくて」
「後、覚えている事はありますか」
「いつもあゆみは笑顔を見せてくれています、でも俺の思い出すあゆみは泣いているんです、だから2年前俺はあゆみに酷い事をしたんじゃないかと心配で、でもあゆみはずっと俺はあゆみの側に居て、支えてくれてたと・・・」
あゆみは俺の話を聞いて、涙が溢れて止まらなかった。
「あゆみ?どうした?大丈夫か」
「ごめんなさい、大丈夫です」
「お二人は仲がよろしいようですね、心配は入りません、奥様はずっと麻生さんを支えていましたし、麻生さんも奥様を支えていましたから」
「そうですか」
「少しずつ、記憶が戻って来る可能性は高いと思われます」
「頭痛が酷いのですが・・・」
「ではお薬を処方致しますので、服用してください」
「ありがとうございました」
マンションに戻り、俺は横になった。
そして夢を見た。
俺があゆみに別れを告げている様子が、夢とは思えないくらいにはっきりと。
目が覚めた時、俺はびっしょりと汗をかいていた。
あれば夢じゃない、俺はあゆみを手放したんだ。
何故だ。
「凌、汗がすごいですよ、今、タオル持って来ますね」
「あゆみ」
俺はあゆみを抱きしめた。
そしてキスをした。
俺はあゆみに問いただした。
「あゆみ、本当の事を教えてくれ、俺はあゆみとずっと一緒にいたか?」
「一緒にいてくれましたよ」
「記憶が戻ってくればわかる事だ、俺は本当のことが知りたい」
「今一緒にいるんですから、あまり気にしない方がいいと思いますよ」
「あゆみの本当の気持ちが知りたいんだ」
俺は、こんなに迷惑かけて、大変な思いをしてまでも、俺と居て幸せなのか不思議だった。
その時あゆみは口を開いた。
「凌、私はこれから何があっても、一緒にいたいです、凌といる事が私の幸せです」
「俺は迷惑ばかりかけてるんだ、それでも・・・」
そこまで言いかけてあゆみは俺の言葉を遮った。
「凌は私と一緒にいる事は嫌ですか?」
「そんな事はない、俺はあゆみと一緒にいたい」
「それなら、同じ思いなら、一緒にいましょう、実は三度目なんです、再会する度に私の記憶ないのに、私を愛してくれます、奇跡です」
「そうか、俺達の出会いは運命か?」
「そうですね」
俺はもうあゆみを手放さないと約束した。
「愛してるよ、あゆみ、お前は俺の全てだ」
「私も凌を愛しています、何があっても離れません、覚悟してくださいね」
俺はあゆみとキスをした。
END
最終回いかがでしたでしょうか?
こちらのお話は麻生凌の男目線で物語が進んで行きます。
本日2月28日「夜の帝王の一途な愛〜記憶が消えても何度でもお前を愛す」電子書籍版が
発売になりました。
こちらは結城あゆみの女目線で、物語が進んで行きます。
しかも内容も濃く、ブログではない場面も盛り沢山になって読み応え十分になっております。
是非電子書籍版をお迎え頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
Amazon Kindle. 楽天Koboを覗いて見てください。 ラヴ KISS MY