11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

次の日、俺は店を休み、あゆみの仕事終わりを待った。

 

すると店の前に一台の高級車が横付けされた。

 

その車から一人の男性が降りて来た。

 

店から出てきたあゆみに話かけ、車にエスコートしていた。

 

俺は、あゆみに声をかけた。

 

「あゆみ、話がある」

 

俺は、あゆみの手を引き寄せ、俺の車に乗せた。

 

「麻生さん、私ははなし・・・」

 

あゆみがそこまで言いかけて、俺はあゆみのシートベルトをして、車を発進させた。

 

「あゆみさん」

 

俺はあゆみを呼び止める男を振り切り、スピードを上げた。

 

マンションにつき、部屋に入ると、俺はあゆみを抱き寄せた。

 

この時俺は気づくことが出来なかったが、あゆみに三度目の一目惚れをした。

 

「俺達は何処で会ったの?」

 

「私の勘違いでした、気にしないでください、私帰ります」

 

あゆみは俺の腕の中からすり抜けて行こうとした時、あゆみの手を掴んだ。

 

その時、左手の指輪が目に止まった。

 

「あゆみ、結婚してるの?」

 

あゆみは慌てて指輪を隠そうとした。

 

「さっきの男はご主人?」

 

「違います、加々美フラワーアレンジの社長です」

 

「ご主人は何してる人?」

 

「離婚したんで私は一人で暮らしています」

 

俺は落ち込んだ気持ちが一気に舞い上がった。

 

「マジ?」

 

「じゃあ、俺と一緒に暮らそうよ」

 

あゆみは顔が真っ赤になり、戸惑っている様だった。

 

「あゆみ、可愛い」

 

「からかわないでください」

 

「からかってないよ、指輪なんで外さないの?」

 

俺は不思議だった、もしかしてまだ忘れられないとか?

 

「別れたご主人を忘れられないの?」

 

あゆみは俯いて答えなかった。

 

「なら、俺が忘れさせてやるよ」

 

「えっ?」

 

俺はあゆみを抱き寄せたキスをした。

 

私は凌を目の前にしてもう涙が溢れて止まらなかった。

 

一年前、別れてくれって言われて、忘れられなくて、そんな時凌は現れた。

 

でも私の記憶は無い。

 

別れてくれって言ったのに、一年経って記憶のない状態で、私を口説いている。

 

病気の事も、私に対して酷いことをした元主人のことも、自分とはかんけいないと思っているから、彼に本当のことは言えない。

 

「あゆみ、指輪を外して、俺を好きになってくれ」

 

「指輪は外せない」

 

「じゃあなんで俺を受け入れたんだ」

 

あゆみは俯いて答えなかった。

 

「別れたご主人を思いながら俺に抱かれたのか」

 

そう、確かにそうだけど、そんな事言えない。

 

「ごめんなさい、私、帰ります」

 

でもその瞬間、俺はとんでもない言葉を発した。

 

「行くな、あゆみ、俺を利用して構わない、だから俺のそばにいてくれ」

 

「凌」

 

彼を利用する事なんて出来ない。

 

あゆみは俺の元を去った。