11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

 

打ち合わせの為にドライブに誘った。

 

待ち合わせの店に行くと、あゆみは待っていた。

 

「お待たせ、はじめまして、麻生 凌です」

 

あゆみは俺をじっと見つめていた。

 

次の瞬間あゆみの頬を涙が伝わった。

 

俺は、引き寄せられる様にあゆみに近づき、頬の涙を拭った。

 

「大丈夫?」

 

「何で初めましてなの?」

 

「え? 前に会った事ある?」

 

凌の記憶に私はいないんだ。

 

「あ、私の勘違いでした、あの、このお話しはなかったことにしてください、失礼します」

 

「待って、俺、なんか気に触る様なことしたかな」

 

 

 

「いえ、何も、それじゃ」

 

俺はあゆみを引き寄せ抱きしめた。

 

「俺のマンションに行こう、このまま帰したくない」

 

俺はどうしたと言うんだ、凄く身体があゆみを求めてる。

 

キスしたい、あゆみを抱きたい。

 

これじゃまるで身体目当てと思われる。

 

この感じは懐かしい気がする。

 

どうしてなのか、思い出そうとしても、あゆみの記憶は俺の中には無い。

 

お前は誰なんだ。

 

 

次の瞬間、あゆみは俺の名前を呼んだ。

 

「凌」

 

あゆみの唇が俺の唇に触れた。

 

 

俺の中の気持ちが大きくなり、あゆみを抱いた。

 

 

 

あゆみとマンションで朝を迎えた俺は、あゆみを帰したくなかった。

 

「あゆみ、離したくない」

 

しかし、あゆみは「ごめんなさい」と一言残しマンションを後にした。

 

あゆみ、お前は誰なんだ、俺の心の中にしっかり存在する。

 

しかし、記憶が無い。

 

俺は次の日、あゆみの店に行った。

 

「あのう、麻生 凌と言いますが、店長さんいらっしゃいますか」

 

「あっ、少々お待ち下さい」

 

「店長、凄くイケメンのお客さん、麻生 凌さんがいらしてますよ」

 

「今、手が離せないから、後で連絡しますって言ってくれる?」

 

「わかりました」

 

俺は完全に避けられた。

 

でもあの時、俺の名前を呼び、確かにキスしてくれたよな。

 

はじめましてじゃないとあゆみは言っていた。

 

何処かで会ってるのか、全く思い出せない。