11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

その頃、みくるは海堂のマンションで暮らしていた。

 

海堂はみくるの気持ちが自分にない事に悶々とした日々を送っていた。

 

「みくるさん、そろそろベッドを共にしたい、今晩から僕のものになってほしい、いいね」

 

この時みくるは初めて誄に対しての気持ちがはっきりした。

 

私は誄さんが好き。

 

でも誄さんのために我慢しなくちゃ。

 

そしてその日に夜、慎は一足先にベッドに横になっていた。

 

そこへみくるが入ってきた。

 

慎はみくるを引き寄せ抱きしめた。

 

慎の荒い息が首筋にかかる、唇が強く押し当てられ甘噛みされた。

 

いや!でも・・・

 

みくるはじっと目を閉じて何も考えないようにしていた。

 

慎の唇はみくるの鎖骨へと降りて行く。

 

ナイトウエアのボタンが一つずつ外れて行く。

 

みくるの胸の膨らみが露わになった。

 

慎はみくるの胸を鷲掴みにした。

 

一瞬みくるは堪らず、慎を突き飛ばした。

 

「いや!」

 

慎は急なことに戸惑ったが声を荒げて怒鳴った。

 

「何をするんだ、僕の言う通りにしなければ、九条誄の秘密をばらすぞ」

 

みくるは涙が溢れて止まらなかった。

 

誄さん助けて!

 

そう心の中で叫んだ時、インターホンが鳴った。

 

「こんな時間に誰だ」

 

慎はインターホンを繋ぐと、そこには九条誄、いや華園誄が立っていた。

 

「九条誄!」

 

慎は慌てた様子で答えた。

 

「こんな時間に失礼な奴だな、何の用だ」

 

それに比べて誄は落ち着いた様子で対応した。

 

「みくるを迎えに来た、開けてくれ」

 

「みくるさんは僕の妻になる人だ、帰ってくれ」

 

「お前の交換条件は通用しなくなった、俺は九条姓を捨てたからな」

 

慎は何のことか分からず戸惑っていたが、真相を確かめるため、ロックを開錠した。

 

「みくる、みくる、どこだ?迎えに来たぞ」

 

「誄さん」

 

みくるは衣類の乱れを直して寝室から出て来た。

 

俺はその姿を目の当たりにした時、この場からすぐにでもみくるを連れ出したかった。

 

「みくる、もう交換条件は無効になった、俺と一緒に帰ろう」

 

「社長、どう言う事ですか?」

 

俺は声高らかに笑った。

 

みくるは何のことだか理解出来ずにキョトンとしていた。

 

「みくる、早く着替えてこい、こんなところさっさと出るぞ」

 

「おい、説明をしろ、勝手は許さん」

 

俺は海堂慎にゆっくりと説明を始めた。

 

「俺は華園誄に戻った、だから九条家とは何の関係もなくなった、九条リゾートホテル社長も辞任した、俺の出生の秘密は何の効力も無くなったよ」

 

「上流階級の生活と、九条財閥の地位を捨てたのか」

 

「そうだ、みくるは一般庶民としか結婚しないからな、俺が一般庶民に戻ったんだ」

 

みくるはビックリした表情を見せた。

 

「みくる、早く着替えてこい」

 

「あ、はい」

 

海堂はがっくりと肩を落とした。

 

俺とみくるは海堂のマンションを後にした。

 

「みくる、結婚するぞ、俺達」

 

「本当に良かったんでしょうか?」

 

「いいんだよ、その代わり、仕事これから探さないといけないんだ、それに住むところも、マンションからアパートになっちゃう」

 

「それはいいんですけど、お父様は落胆されたんじゃないですか」

 

「わかってくれたから、大丈夫だよ」

 

「そうですか、社長はこれで後悔しませんか?」

 

「だから、もう、社長じゃないから」

 

「あ、すみません」

 

俺が契約しておいたアパートに向かった。

 

「みくる、ここが俺達の新しい棲家だ」

 

「なんかほっとします」

 

みくるに笑顔が戻った。

 

みくるとの生活に幸せを感じていた。

 

そしてしばらく経ったある日の夜、俺はみくるを引き寄せ抱きしめた。

 

見つめ合い、初めてみくるとキスをした。

 

舌が絡み合いお互いに求め合った。

 

「みくる、最高だ」

 

「誄さん、大好き」

 

 

俺はみくるの言葉に興奮し、益々エスカレートした。

 

 

みくるは思わず身体が仰け反り、声を上げた。

 

俺達は朝までお互いを求め合った。

 

「おはよう、みくる」

 

「おはようございます」

 

「食事の支度しますね」

 

俺はみくるを引き寄せ抱きしめた。

 

「誄さん?」

 

「もう一回みくるを愛したい、愛しても愛しても足りない」

 

「これからずっと一緒ですよ」

 

「そうだな」

 

俺とみくるは結婚し、共に歩んで行くことを誓った。

 

 

            END