11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

「あいつの側にいるのは、相当大変なんじゃないか」

 

凛はなんて答えていいかわからず俯いた。

 

「もし良かったら話してみろよ」

 

凛は俺に男の事を話し始めた。

 

「バツイチ子持ちのカリスマ美容師」

 

「子供いるのか?」

 

「しかも血の繋がりがないの」

 

「はぁ?」

 

「それで彼はあと余命一年」

 

「余命一年?」

 

誰だって驚くよね、私が一番驚いているんだから・・・

 

「凛、マジに目を覚ませ、お前何考えてる」

 

「だって好きになっちゃったんだもん、もう戻れないよ」

 

俺はふ〜っと息を吐き言葉を発した。

 

「凛、あいつの側にいても一年しかいられない、そのあと子供は凛が見るのか?」

 

「うん」

 

「十年前から全然変わってないな、どうしていつも凛は考えないで行動しちゃうんだよ」

 

「ひどい、ちゃんと考えてるもん」

 

俺は首を横に振り否定した。

 

「今あいつにふられたんだから、ちょうどいい、ここにいろ」

 

凛は、現実を突きつけられて何も言い返せなかった。

ふられた、そうだ、私ふられたんだ、と凛は唇を噛みしめた。

 

「アパートに帰る、あっ、もう解約しちゃったんだ」

 

「まったく、いいからここにいろ、行くところないんだろう」

 

凛はやっぱりここには居ては駄目と思い、俺のマンションを出る事にした。

 

「廉、ごめんなさい、私、ここにはいられない、色々ありがとうね」

 

そして俺のマンションを後にした。