11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

ビックリした、まさか廉と会うなんて・・・

凛は十年ぶりの廉との再会にドキっとしたのは隠すことが出来ない感情だった。

 

俺は凛に会いにマンションへ行った。

 

「廉、どうしたの?」

 

「それはこっちのセリフ、中に入らないのか」

 

凛はちょっと困った表情を見せた。

 

「どうかしたのか」

 

「鍵なくて入れないの」

 

俺は不思議そうな表情で問いかけた。

 

「鍵忘れたのか」

 

「そうじゃなくて、まだ合鍵彼から貰ってなくて・・・」

 

「そうなんだ、車乗れよ、ここに止めとけば帰ってくるのがわかるだろ」

 

凛はちょっと戸惑った様子だった。

 

俺の車に乗るのはまずいんじゃないかと考えている様だった。

 

俺は助手席のドアを開けて、エスコートした。

 

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えて」

 

そして凛は車に乗り込んだ。

 

「凛、俺達やり直さないか」

 

俺の言葉に凛は動揺している様だった。

 

「何言ってるの、私達十年前に終わってるでしょ」

 

「俺は後悔している、あの時なんで凛を手放したんだって」

 

「しょうがないよ、廉には婚約者が居たんだし、なんで結婚しなかったの?」

 

「凛を忘れる事が出来なかった」

 

「今更そんな事言われても遅いよ」

 

「今なら、俺のやる事に口を挟む奴はいない、だから結婚しよう、凛」

 

俺は凛の腕を引き寄せ、抱きしめた。

 

その時凛の視界に入って来た男がいた。

 

凛は男の姿を見つけ、車から降りた。

 

男は目を逸らし、マンションへ入っていった。

 

凛は立つ気力さえも失い、その場に座り込んだ。

 

俺は凛の肩を抱いて支えた。

 

そして凛を車に乗せ、その場を後にした。

 

男はオートロックのドアの向こうから、去っていく車を見送り、「凛、幸せになってくれ」と呟いた。

 

なんでこんな事になったの?

 

凛は、誰のせいでもない、全て自分が悪いのだからと、自分の行動を呪った。

 

俺は凛の手を握り、「俺のマンションに行こう」と囁いた。

 

凛は何も考えられず、途方に暮れていた。

 

俺のマンションに近づいた時凛は我に返った。

 

「廉、ごめんなさい、私は廉をもう愛していないの、だから、あなたには着いていけない」

 

凛の突然の言葉に俺は動揺を隠せなかった。

 

「凛、あいつは凛を手放したんだ、目を覚ませ」

 

「お願い、車を停めて」

 

俺は車を停めた。

 

凛は車から降りようとドアに手をかけた。

 

その手を掴み、俺は「凛、行くな」と止めた。

 

「廉、ごめんね、彼の元に行かせて」

 

俺は大きなため息をついた。

 

そして車を男のマンションに向かわせた。

 

「廉、ありがとう」

 

「凛、俺は諦めないから」

 

凛は俺に背を向けた。

 

男のマンションのオートロックのインターホンを押した。

 

いくら押しても応答はなかった。

 

凛はなんて事をしてしまったんだろうと、後悔の念に駆られた。

 

マンションの外に立っていると雨が降って来た。

 

まるで大粒の涙が雨に変わり辺りの音を消した。

 

凛が気づき俺を見つめた。

 

「やっと気づいたか?」

 

「廉、ここは何処?」

 

「俺のマンション」

 

マンション前に戻って、雨が降ってきて、そこから覚えていない様子だった。

 

「あいつのマンション前で急にぶっ倒れたんだ、だから俺のマンションに運んだ」

 

「ごめんなさい、迷惑かけて」