11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

「そうか、それはお前の努力が足りないんじゃないのか?」

 

「俺の努力?」

 

「凛さんと言ったかな、彼女がお前が社長でもついて行きたいと思わせる努力じゃ」

 

俺はそうかと思い知らされた。

 

「後、百合絵ちゃんのことも納得させなくちゃな」

 

「わかったよ」

 

俺は病院を後にした。

 

まず、俺は百合絵に会いに行った。

 

「廉さん、嬉しい、私との結婚を前向きに考えてくれるんですか」

 

百合絵は満面の笑みを浮かべて微笑んだ。

 

「ごめん、お前とは結婚出来ない」

 

百合絵の表情は一変し、笑顔が消えた。

 

「どうしてですか?」

 

「俺は凛以外の女とは結婚しない」

 

百合絵の目が細くなり、憎しみの表情へと変わった。

 

「わかってくれ」

 

「わかりません、私は幼い頃より廉さんと結婚するんだと父に言われて育って 来ました、だからその道を外れるわけにはいきません」

 

「お前にはもっと相応しい男がいるよ」

 

「廉さん以外にはいません」

 

「悪いな、もう連絡しないよ」

 

俺は百合絵に背を向けた。

この時百合絵は諦めていなかった。

その情熱が俺にではなく、憎しみに変わり凛に向いていた事を、この時俺は気づかなかった。