嗚呼 ソフトボール部

嗚呼 ソフトボール部

第1章:中学校ソフトボール指導について
第2章:小学校ソフトボール
第3章:中学校ソフトボール準備期間
第4章:中学校ソフトボール

 これから指導者をめざすあなたへ

 

 十数年書いてきた本ブログも 最終回となりました

 

  最後は 私がソフトボールの指導にあたり

 

  意識していたことを 思いつくままにお伝えして

 

  終わりにしようと思います

 

 

1 指導の目的を明確にする

 

   練習・試合を指導しようとするときには

 

 

    今日は 「何をしようかな」ではなく

 

    今日は 「どんなことを伝えようかな」 と考えてください

 

 

   どんなことを伝えるか すなわち それは指導のゴール

 

   練習を終えたときに 選手がどんな姿になっていればいいのか

 

   そのイメージを明確にするのです

 

   

    例えばノックで考えましょう

 

      野球ソフトの練習といえば必ず入ってくるメニューです

 

      ノックの練習にいそしむ指導者も多いと思います

 

      しかし よい指導に 高いノック技術は必ずしも必要ありません

 

 

   ノックはフリスビーの犬を振り回すことと同じ感覚に陥りやすい

 

   ノックが楽しいと思ったら 多分 指導効果は出ていません

 

 

   ノック本来の目的である選手の技能向上 判断力向上からズレて

 

   「指導者の気持ちよさにすり替わっている」ことが多くなります

 

   

    やたら打球が速くなったり 

 

    高いバウンドのショーバンを打ったりすることが典型例です

 

    

   「そんな速い打球の中学生いますか?」

 

   「そんな打球が試合で頻発しますか?」

 

 

   もちろん可能性はゼロではありませんが 

 

   それよりもどんな打球が試合に即しているのか 考えてみるのです

 

 

    今 目の前の選手にどんな打球が必要なのか

 

    今 チーム全体にどんな打球が必要なのか

 

 

    例えば

   

    「今日は 野手間の打球をいかにさばき 次のプレイにつなげるかを伝えよう」と考えれば

 

    ノックの目的が明確になり 選手に付けるべき力を目指せるようになるのです

 

    

 

   「今日はノックをしよう」という発想では 

 

   ノックをすること自体が目的となり 指導効果は薄れてしまうのです

 

   

 

2 選手のために頭を下げる勇気
     

   指導の本質は 自分で気が付くか 誰かから盗むしかありません

 

   教えてもらえることは まずありません  指導者講習なんてうわっつらだけです

 

 

 

   勝負の世界に生きている人たちが

 

   長年の苦労と汗のもと やっと培った指導技術を簡単に教えるわけないでしょう

 

 

    戦術一つとっても

 

    アリ地獄スタートや ここ一番のピックオフ トリックプレイ 変則守備

 

    教えてもらえるとするなら 使い古された もはや役に立たないパターンです

 

 

   常に自分自身の指導に疑問を持ち 他の指導者のそれと比較する

 

 

   何が違うのか なぜ違うのか 何を目的としているのか

 

   どうしてもわからないときには 頭を下げて質問する

 

   それでも半分教えてもらえれば御の字でしょう

 

 

   強さとは己の弱さ 不足を認めること

 

   弱さを認め 成長のために頭を下げる勇気を持つ

 

   こうした指導者こそが 明日の勝利者となりえます

 

   そして頭を下げるのは自分のためだけではない

 

   自分を慕い ついてくる選手たちの勝利のために頭を下げるのです

 

 

 

3 真の「こだわり」とは

 

   数年もすれば自分の指導スタイルが確立してきます

 

   そのスタイルは「こだわり」となります

 

   しかし

 

   年によって 子供によって 指導が通じないこともあります

 

   その時に 自分の指導を省みるか 子供のせいにするか

 

   その引き出しの多さと器量も 指導者として試される部分です

 

 

   もう一つ加えれば

 

    その「こだわり」 根拠はありますか

 

    しょっぱい経験 理論に裏付けられた勉強 

 

    こうした根拠を重ねてこそ 「こだわり」と呼べます

 

    根拠があるからこそ 時にうまくいかなくとも

 

    最後まで信じ 貫けるのです

 

 

    根拠なき「こだわり」は 安っぽいプライドでしかないのです

 

    安っぽいプライドの指導者たちには共通項があります

 

 

    「いつも同じ理由で負ける」 ということです

 

 

4 時間を守れ 約束を守れ

   

   私は教師です

 

   授業の際は

 

   「授業スタート時刻は子供が守る 終了時刻は教師が守る」を鉄則としてきました

 

   指導もこれと同じ 終了予定時刻はきちんと示し 必ずそれを守る

 

   終了時刻を守るのは 開始時刻を守った選手たちへの礼儀です

 

 

    「もう少し練習をやりたい」

 

    そう言っていいのは選手だけです

 

    指導者が言ってよい言葉ではありません それは指導の無計画に他ならないのです

 

 

   選手だって子供です

 

    終了時刻が示されれば そこまではがんばろうと気持ちを奮い立たせます

 

    指導者だって 「あと15分! 最後までがんばろう」と声をかけられます

 

   それが あっさり時間オーバーとなってみなさい

 

    子供たちの集中力は切れ 練習効率は下がり ケガにもつながってします

 

    そこを「やる気がない」と叱られたら 

 

    これを理不尽と言わず 何と言うのでしょう

 

 

 

5 本当の「全員試合に出す」とは 

 

   練習試合等では 全員試合に出すというのはよく見られる光景です

 

   でもね

 

   ただ出場させればいいというものではないのです

 

    なんとなく代打

 

    なんとなく守備  

   

   突然代打を告げられて 三振して帰ってくる

 

   でも

 

   「いつ代打を言われるか分からないぞ 緊張感が足りん!」と叱られる

 

   これで 選手が前向きにプレイできるでしょうか

 

   

   練習試合を計画するときに

 

   どんなプレイを確認するか 誰をどのように使うのか計画していれば

 

   同じ代打でも 突然とはなりません

 

   もちろん試合です 状況に応じて選手の起用が変わるときだってあります

 

   でも せめて頭の中に起用についてのイメージは持っていたい

 

   それを伝えられるものなら できるだけ早く選手に伝えておきたい

 

   結果として突然の起用となっても 言い方は考えたい   

 

 

   試合前に 試合前の円陣で先発メンバー 発表後に

 

   「○○! 今日は代打で行くぞ! ピッチャーをよく見とけ!」の一声で

 

   どれだけ控え選手は救われるか どれだけやる気につながるか

 

   (言い方伝え方は 選手のキャラによりますが)

 

   

   選手というのは 自然にチーム内のヒエラルキーを設定し

 

   自分はもう出られないとか レギュラーじゃないなどと思うものです

 

 

    いかに そういう選手を救う一声がかけられるか

   

    いかに 前向きにさせる練習を設定できるか 

 

    いかに チーム内での自己有用感を育てられるか

    (エンドラン職人 盗塁職人 送りバント職人 プロランナーコーチ・・・)

 

 

   本当の「全員試合に出す」というのは ただ出場させるだけではなく

 

   選手のモチベを高め 使命感をもって試合に出すことを指すのです

 

 

   チーム全員が 自分たちの役目に誇りを持ち 試合に臨む

 

   指導者は 常に考えていたいことです

 

 

 

6 努力を尽くしても

 

   敗戦は将の責です 

 

   敗因は選手にあっても 責任は監督にあります

 

   これを心に刻むことがスタートなのかもしれません  

 

   私自身も数多くの敗戦を経験し 才能ある子どもたちに結果を導くことができなかった

 

   今でも後悔は消えていません あの子たちは全中に行けた子たちだった

 

   

 

 

   その後悔と自責の念が 次の指導の勉強の動機となりました

 

   選手に厳しい練習を課すのならば 自らも厳しい勉強を重ねる

 

   そんな指導者を目指してください

 

   「これでいい」と思ったら 成長は止まります

 

 

   

   努力を尽くしても 報われないことだらけです

 

   「努力はうそをつかない」という言葉自体がうそですけど

 

   努力なくして 勝利もないのです

 

 

 

 

   今までソフトボールの指導をしながら すばらしい指導者 チームの皆さんと会ってきました

 

 

   指導をさせてもらった

 

    T中学校 O中学校 H中学校  

 

     才能ある子ばかりでした 未熟な監督でごめんなさい 

 

     支えてくださった保護者の皆様 本当に感謝しています

 

 

 

   ピッチング指導教室を共にしてくださった

 

    Mさん Oさん

 

     娘のピッチング指導の礎となりました 分かりやすい理論でした

 

 

 

   私をクラブチームの道に入れ 最後まで相談相手になってくださった

 

    Tさん

 

     いつか一緒にチームを指導したかったです 

 

 

 

   その出会いや 学びすべてをかけて 娘とがんばった6年半   

 

   ソフトを引退したら 娘と仲良くなりました(笑)

 

  

 

    みなさん 本当にありがとうございました

 

    いつまでも 大好きなソフトボールを楽しんでください   (終)

 

 

 

      

 

 

 

 

                  今日は広島 原爆投下記念日です

 

 

   

今日は 高校でソフトボールを続けるか という話題です

 

 高校でスポーツを続けるというのは それなりの覚悟が必要になります

 

 

  

   18歳 15歳  

 

  人生の岐路に立つ重要な年齢です

 

   中学生活も 高校生活も あくまで通過点

 

   それぞれ来たるべき進路選択の時期に向けて 準備する3年間となります

 

   その時間をどう使うか そこから考えていかなくてはなりません

 

 

 

 進路選択を考えさせるにあたり こんな本もあります

 

 

   学校の子どもたちにも見せたい一冊です

 

   去年発行された本ですから 情報も古くはないと思います

 

 

 

 

 高校生活で 「文武両道は必須」です

 

 Keep Kids Busy.  の大原則に従えば 

 

 学びに行くはずの高校で 運動だけやるって 何しに行くのという感覚があります

 

  →もちろん それに近い高校もあることは十分承知 否定はしません

 

   その子たちは一つのことに対して Keeping Busy なのですから

 

 

 

      

 

 

娘には 進路選択のために必要な知識と考え方について伝えました

 

 以下は 一つの参考となる表です (相当ざっくりですが)

 

高 校

選択肢

部活

通学時間

学力

進 路

モチベ

  学 費※ 

市内高校

数十分

一部一致

(指定校推薦等)

すべてに優先

自転車通学

×

一致

(自力・推薦等)

県内高校

90

(下宿・寮)

一部一致

(指定校推薦等)

寮費・交通費

県外高校

下宿・寮

寮費・交通費

 

3年間というすべての高校生に平等に与えられる時間

 

これをどう使うかによって その後の選択肢が変わってきます

 

 

 

 ・通学時間は有効活用が難しい (片道1時間なら1日22時間で勝負しなくてはならない)

 

 ・18歳の春に自分がどうなりたいのかをイメージする (それぞれの学校で主となる進路がある)

 

 ・あくまで学校 周囲との学力差は大きなストレス源 (○○部だから・・は割と寂しい話)

 

 ・※学費は把握だけしておく 親への心配は無用 (高校無償化制度も説明)

   →https://www.mext.go.jp/content/20250411-mxt_shuukyo03-100002595-04.pdf

 

 ・何らかのトラブルで退部した場合の学校生活 (転部・学業専念の道はあるか)

 

 ・好きなスポーツに打ち込める環境は 高校生活の大きなモチベにつながる

 

 ・18歳以降も好きなスポーツを続けるきっかけになる可能性がある(大学・実業団等)

 

 

 

職業柄 様々な進路の子供たちを見てきました 

 

どの進路に進んでも トラブルはある その一方で困難な道を切り開いた子もいました

 

 

 

 ただ 娘の人生です

 

 様々な要素の中で 一番大事なのは

 

 ソフトボールがやりたい!というモチベーションでしょう

 

 

 これは全ての要素を吹き飛ばします

 

 いろいろなことを理解した上で それでも挑戦したいという思いがあれば

 

 親は黙って背中を押すだけなのでしょう

 

 

 

   ちなみに高校ソフトはオヤジは分かりません

 

   金は出すけど 口は一切出さないと添えました 

 

 

             「守れるの~?」と娘は笑っていました

 

 

     

 

 

 

     娘がどんな選択をするのかは 分かりません

 

     もうボールも道具も片づけてしまいましたが笑

 

 

     次回で最終回となります

 

 

 

 

 

 

 

誰でも80kまでは投げられる (投手育成) 

 

 なんだよ 最終回と言っておきながら やけに引き延ばすなあと思った方

 

 すみません 結局 私のどこかに未練があるのでしょうね

 

 あと3回だけ 雑感におつきあいください💦

 

 

 

 雑感1回目は投手育成です 

 

 

   娘が生まれ

 

   しまってあったソフトグッズを引っ張り出してニヤニヤしていた頃

 

   かかりつけの医師から

 

   この子にはスポーツは無理と言われました  3日間寝込みました

 

 

  それでも あきらめきれず コツコツと娘にピッチングを教えました

 

  本当に時間はかかったのですが できるようになったのです

 

 

 

     

                       GSL 最後の試合

 

 

 

  ピッチングの師匠が言っていた通り

 

   誰でも球速80kまでは投げられる

 

   努力で球速90kまでは投げられる  これは実感できました

 

 

 今回は 投手育成の心構えを お伝えします

 

 細かい指導法 練習法は他に譲ります 自分に合った練習方法を探ってください

 

 

 

1 ひたすらブラッシング練習 ケガをしないフォームづくり

 

   毎日ひたすらにブラッシング練習をしてください (やり方は他に譲ります)

 

   12mで投げてはダメです (小中学生共に)  

 

   試合なんてとんでもない 絶対ダメです

 

    10mから目をつぶってブラッシングをして (山のあるボールで ツルボールは×)

 

    同じところに球が行くようになるまでは絶対に我慢です

 

 

   ここをチーム事情で我慢できず 未熟なまま登板させた結果

 

   目先のストライクにとらわれ 育たなかったピーをいくらでも見てきました

 

 

    ウインドミルをよく知らない指導者が

 

    「スピードよりもコントロールだ」

 

    「マウンド経験だ」 などと言って できていないのに登板させる

 

    もはや悲劇です  絶対に断ってください

 

 

     投手は 球を置きに行くだけ  

 

     フォームのズレの帳尻を合わせようと 体を余計にひねったり 腕を変に振ったり

 

     身体に負担をかけていることを知らずに 置きに行ったストライクに満足した投手は

 

     もはや それ以上成長することはありません  待っているのは故障と通院です

 

 

     ひとたびケガをすれば 無意識にかばうようになり

 

     さらにフォームは崩れ 悪循環となります

 

                   そんな試合経験など マイナスでしかないのです

 

 

      

                 多分 小4 ホームグラウンドにて

 

 

 

  ※どうしても試合があるときは 「スリングショット」 で十分です

 

   打たれる 点を取られるのは想定内 それが投手育成が遅れたチームの宿命です

 

   初心者でも1年  1年は我慢して練習してください (毎日ですよ)

 

   いわゆる「試合を作る」レベルには必ず到達できます 

 

 

 

   ブラッシングをマスターすれば 大筋のコントロールには苦労しません

 

   その後の投球フォームづくりも楽になります

 

   そして球速も勝手についてきます (ブラッシングの原理からも球速UPは当然です)

 

 

   ピッチング指導で大事なのは 

  

    ①ブラッシング 

 

    ②身体に負担の少ないフォームづくり それを支える身体づくり

 

    ③地味な練習を支えるモチベーション (毎日声かけ&毎日ほめる)

 

  

 

  娘は 6年半 チームでは ほとんど1人で投げぬいてきて

 

  試合が重なり 

 

  1日400球を超えたとき(上野さんか💦)でもケガをすることはありませんでした  

 

 

  アイシングもしません やったのは

  

   事後のストレッチ 

 

   確実な睡眠時間の確保  だけでした   翌朝 肘と肩のセルフチェックはやりました

 

 

  なぜケガをしなかったって

 

   フォームチェックを入念に行って 負担の少ないフォームづくりにこだわったからです 

 

   フォームづくりの手を抜いて アイシング等の事後ケアに時間をかけるより

 

   はじめから負担の少ない 少ない力を最大限に生かすフォームづくりにこだわる方がいい

 

   スムーズなフォームと それを支える体幹&下半身トレーニングです

 

 

 

  娘が病院に行ったのは6年半で2回だけ

 

   最初は ダイビングキャッチの練習で 筋を伸ばしてしまったとき

 

   2回目は 冬のランニング中 電柱に足をぶつけたとき(あほ) 

 

                      いずれもピッチング起因のケガではありません

 

 

 

しかし ブラッシング練習も 身体作りも 本当に地味で面倒くさい練習です

 

  子どもへの地道な声かけと見届け これが全て

 

  絶対にこの時期に妥協してはいけません  

 

  良くも悪くも 最後の最後まで この時期の練習が響きます

 

 

 【ここが完成するまでは チームには投手の練習をしていると言わない方がいい】

 

 

 

2 リーピング(2ステップ)を教えるとき

 

  前方に跳ぶ投法です 

  

  現在全盛期 やらないピーを探す方が大変ですが 落とし穴あり

 

 

   跳ぶと思われる軸足よりも (本来 両足で跳ぶのですが) 

 

   着地の際の自由足と下半身に大きなストレスがかかることを意識してください

 

   目先のスピードアップに目がくらんでは 7回持たないし ケガも出ます

 

 

  100球投げて 自由足が全て同じ場所に着地しているか

          →コーナーワークでずらす場合を除く

 

         投げ終わった後に自由足だけで立てるか

          →ふらつくことはないか

    

   これが無意識にずれてくる場合は 下半身が追い付いていません

 

   2ステップの練習は中止して 下半身のトレーニングを重視してください

 

 

 

 ※ちなみに娘にはリーピングを教えていません

 

  ダッシュ&スローを繰り返すうちに 勝手にリーピングになりました

 

  こだわったのは その後 リーピングの幅と跳ぶ高さでした

 

 

 

3 男子がピッチングを教える場合

 

   中学生女子と成人男子とは 体の使い方が全く違うことに留意します 

 

   手の大きさ 筋力 骨格 ありとあらゆることが違います 

 

   男子の投げ方を女子がコピーすることは 原則できません

 

   ランドクルーザーで走れる道と 軽自動車で走れる道は違うのです 

 

   自分が投げられるのと 女子への指導とは 明確に違うことを十分に理解してください

 

 

 

4 配球を教える

 

 結局 娘はこれが最後まで課題でした

 

 打者に対して 何をどう投げたらよいのか 考えられなかった

 

 配球表を教えたり 2ストライクからの決め球のリストを作ったりと

 

 オヤジは様々な手を尽くしましたが ダメでした

 

 

     

 

 

 結局ベンチ内では 配球に対する指導は皆無

 

 周囲が全く配球に関心がなかった中で 

 

  一人で 何かをやるというのは娘には無理でした 

 

  そこに娘の限界があったのだと思います

 

 

オヤジが言って言って言い続けて (親子ケンカはいつもこれが火種でした)

 

やっと最後の試合で考え出したくらいでした 

 

 

 

球速がなくても 配球で打者は打ち取れます

 

その楽しさを伝えていければ バッテリーで相談していくと思うのです

 

 

ただ 速球を投げて 相手の打ち損じを待つ

 

 これはナイスピッチではありません  サンキューバッターです

 

 

 相手が考えていることと反対の球を投げて

 

 打ち取るべくして打ち取る 

 

 これこそがナイスピッチです

 

 

少なくとも県大会上位以上で戦っていくには 配球論なしでは語れないのです

 

 

 

5 専門用語の解説を

 

 指導においては専門用語がたくさん出てきます ブラッシングもそうですが

 

 

 カベとかパワーラインとか球のキレとか・・・

 

 子供は ウンウンとうなずきますが 100%意味は分かっていません

 

 そのあたりを フォローしてあげるとよいと思います 

 

 

 

6 最後に

 

 もし6年前に戻れたのなら あらためてやりたいことがたくさんあります

 

 何度やっても やはり満足する指導はできなかったなあと

 

 自分の指導センスのなさを情けなく思います 

 

 

 

 投手を育てるのは コーチとかではなく やはり家族なのだと思います

 

 一番近くにいる家族が 毎日 声をかけて 成長を見守る

 

 これ以上の 投手育成はないと思います 

 

  すばらしい投手が生まれることを楽しみにしています

 

 

                     好投手あるところ 栄冠あり

 

 

 

 

 

本選で敗れての交流戦

 

 

 モチベーションを心配した私が愚かでした

 

 昨日と同じように 気迫に満ちたピッチング

 

 ヒット1本とエンドランで1点を失うものの

 

 愛知県TOPチームに追加点を許しません

 

 

 

ひとつひとつのプレイが最後です

 

私の球審が最後なら

 

娘の投げる姿も最後 打席も最後

 

 

 小学校3年生の時

 

 オヤジにだまされて 始めたソフトボール

 

 あれから 6年半

 

 娘は よくがんばりました

 

 

    

                  小3の冬 

 

 

 

最後の年 結果は出なかったけれど

 

オヤジと共に駆け抜けた6年半は 代えがたい思い出です

 

 

 

 

  0-1で迎えた最終回 相手のミスから 2点を取って逆転勝利

 

  

 

 東海大会で大敗を喫した相手に一矢報いて

 

 オヤジの試合終了の号令と共に 娘のソフトボールは終わりました

 

 

 

                      

    

                        おつかれさま

 

 

 

 

【戦歴】(県大会以上 娘が出場した大会)

 

 小学校

 

  5年生  県小学生女子ソフトボール大会 準優勝 (投手)

       夏季全日本小学生女子ソフトボール大会 出場 (投手)

 

  6年生  県小学生女子ソフトボール大会 準優勝 (投手)

       夏季全日本小学生女子ソフトボール大会 出場 (投手)

 

 中学校 

  

  1年生  中学生女子新人大会 県優勝 (投手)

        東海地域中学生ソフトボール新人大会 優勝 (投手)

        都道府県対抗全日本中学生女子ソフトボール大会 出場 (投手・DP)

       

  2年生  ナガセケンコー杯争奪県中学生女子ソフトボール大会 県優勝(投手・DP)

        全日本中学校女子ソフトボール大会 出場 (DP)

        中学生女子新人大会 県準優勝 (投手)

        東海地域中学生ソフトボール新人大会 出場 (投手)

 

  3年生  ナガセケンコー杯争奪県中学生女子ソフトボール大会 2回戦敗退 (投手)

 

 

 

           全国大会出場 4回  (小学校2回 中学校2回)

 

           東海大会出場 2回 (中学校2回 優勝1回)

 

           県大会出場  6回 (小学校 準優勝2回  中学校4回 優勝1回 準優勝2回)  

 

 

 

 

本選で敗れた 我がチームは 交流戦に回りました

 

 

     

 

 

 対戦相手は 愛知県の強豪チーム

 

 過去 何度か対戦しているすばらしいチームです

 

 

本選で敗れた翌日です

 

メンバーのモチベーションは朝から気になってはいましたが

 

 

 

  3年生最後の試合

 

  60分ゲーム

 

  相手は 東海大会で苦杯をなめたチーム

 

 

 

オヤジが球審を務めます

 

オヤジにとっても 娘たちにとっても 最後のソフトボール

 

 

マスクを持つ手がしびれてきているのが分かりました

 

 

 

 

 

 

 できない 分からない やったことがない

 

    だからやらない やりたくない

 

 

 私はこういう発想はしません  気持ちは分かりますが

 

 球審も同じ

 

 娘には常に新しい技術 戦術を強いていながら

 

 自分はやったことがないから・・・では しめしがつきません

 

 

誰でも最初はできない その時期をガマンできるかできないか

 

 

 

 まずは基本動作を「競技者必携」で覚え

 

 

     

 

 

 鏡に向かって ハンマーアクション

 

 構え 捕手との距離感 コール

 

 あえて 娘が見ているときに練習しました笑

 

 

 基本を覚えたら あとは実践を積み重ねるのみ

 

 

 練習試合では 球審を自らかってでて

 

  アウトコースのストレートをどう見るか

 

  コールの言い方 立つタイミング 

 

  1試合ごとにテーマを決めて経験を積みました

 

 

 

 カウンターゲージ ブラシ マスクも買いました

 

 ルールも自信はありましたが もう一度おさらい

 

 特に

 

  守備妨害  走塁妨害  打撃妨害 DP・FP

 

  送球が場外に出たとき 

 

  イリーガルピッチ それらが起きたときの効果

 

  外野深くに打球が飛んだ際 逆時計回りのローテーション

 

 

 

 チームのオヤジ仲間に球審をやる方がいたので

 

 試合ごとにジャッジのチェックをしていただきながら

 

 公式審判の方のジャッジを観察 観察 観察・・・

 

 

 

   

                      球審 オヤジ 打者 娘

 

 

 

 1年前 ド素人だったオヤジは

 

 娘の最後の登板に 球審として立つことになるのです

 

 

 

今夜はオヤジ自身の話

 

 オヤジは審判をしたことがありませんでした

 

 基本的にベンチにいることが多かったので

 

 審判をする機会がなかったのです

 

 

      

 

 

 チームに入り オヤジの立場で 初めて塁審に立ちました

 

 はじめは1塁の塁審だったか

 

 

 立つ位置と 内野ゴロの送球と直角でジャッジ

 

 そのくらいしか認識がなく とても緊張しました

 

 

 ああ こうやってジャッジして 抗議されたら辛いなあと

 

 かつての自分を恥じたのを覚えています

 

 

 

 そして娘が2年生の夏

 

 人生 初球審の機会が訪れました💦

 

 

 全国大会を控えた 前日の練習試合でした

 

 こんな大事な調整で どうしてド素人に・・・

 

 

 

    

 

 

 とにかくアウトコースが分からない 見えない

 

 キャッチャーの子が アウトコースのボール判定に 

 

 「え?」と声が漏らしたときは 脇汗が滝になりました

 

 

 

 

 全国が終わり 娘の代になりました

 

 オヤジは球審の練習を始めたのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3回戦 

 

 2点を先制しながらも

 

 1点ずつ 返され 同点の苦しい展開が続きました

 

 

 オヤジは ひたすらに声をからして応援します

 

 

  冬は日本一走ったピッチャーです

 

  ひたすらにがまんして メディシンボールで体幹を鍛え

 

  毎日のように通いつめ 投げ込んできたブルペン

  

  手元にある擦り切れた私のミットは 娘の努力全てを見てきた

 

 

 

努力したから勝てるわけではない

 

努力を尽くしても報われないことはある

 

 

 

 でも オヤジは声を出さずにはおられませんでした

 

 

 

 今までの「考えなしの投げ屋の娘」は もうそこにはいませんでした

 

 一生懸命に考え 工夫し 

 

 何としても ここを抑えぬくという気概

 

 

 この子に 

 

 医者からは この子にスポーツはできないと言われた子に

 

 

 ソフトボールを教えて本当によかったと思えたのです

 

 

 

 

 試合は くしくも娘のエラーで逆転を許し

 

 最後は 同点のチャンスも娘がホームで憤死となり ゲームセットとなりました

 

 

 

 本大会はこれで終了

 

 残すは交流戦 1試合のみとなりました

 

 

 

  

 「バカにソフトボールはできない」

 

 娘にはずっと言ってきました

 

 

 いけいけソフトなど 単なる無策

 

 無策で負けて 何を学ぶのか

 

 

 無策で勝負するならば 結局 相手次第となります

 

 好投手に出会えば 打線は沈黙 そのまま 零封されて負ける

 

 成果も課題もあったものではありません

 

 

 

 何かないか 攻略の糸口は と一生懸命 考えるのです

 

 考える時間はいくらあってもいい

 

 試合になったら もう遅い 考えている暇などない

 

 だから 試合前から相手を観察する 策を練る 

 

 

 バントか どこに転がすか 

 

 待球か 打席のどこに構えるか バットは普段使いのそれでいいのか

 

 コース狙いか チェンジ狙いか どこを狙うか いつ狙うか

 

 投手にクセはないか 

 

 キャッチャーにクセが出るときだってある

 

 ランナーのアシストは 相手バッテリーにどこまで影響を与えられるか

 

 

 それを考え 指示するのはいったい誰なのでしょう

 

 

 足りない技術を頭で補い チームで勝つ

 

 それこそがルールのあるスポーツであり

 

 「うまいと強いは違う」ということの証明でもあります

 

 

 

大会2日目

 

 3回戦 岡山のチームでした

 

 先頭打者の2塁打から 3塁に送り

 

 3番打者のタイムリーヒット 理想の形の先取点

 

 

     

               (イメージ)

 

 

 先取点を取った次の回が チームの課題でした

 

 新人戦 東海大会 いずれも先取点の翌回に大量失点でした

 

 

 

 課題は当初から明確だったのです

 

 

 走者が出ると 途端に慌てだす 

 

  内野手は 入らなくてもいいけん制ベースカバーが気になり 

 

   自ら 守備範囲を狭くしました 打球よりも先に動いてしまうことすらありました

 

 

  捕手はけん制動作に夢中になり 肝心なキャッチングがおろそかになりました

 

   けん制球など投げたことは ほぼありませんでした

 

 

  肝心の娘は 急にコーナーワークを過剰に意識し

 

   ボール先行から 苦しいカウントになる そしてストレートに頼り

 

   配球は誰が見ても単調になりました 

 

 

明らかにチーム全体が浮足立っている

 

お互いに声をかけあう余裕もなく 結果は見えてしまう

 

 

 こういう時に 誰がチームを落ち着かせるのでしょう

 

 出したランナーは仕方ない ではこれからどう守っていけばいいのか

 

  この場面はどうしていけばいいのか

 

   リスク承知で 無失点守備なのか

 

   先取点を取ったのだから 最少失点でアウトカウント優先で気持ちを楽にするか

 

 

  誰が判断し 指示を出すのでしょう  課題はずっと同じでした

 

 

 

 

しかし この試合は違いました

 

 2回戦同様 要所をきちんと締め 無失点で帰ってきたのです

 

 

 

 先の2回戦から課題がクリアできるようになったのは

 

 他でもない 子供たち自身でタイムを取って 相談することができるようになったからです

 

 

       


 

                                      つづく