さて、暮れも押しつまってきました。
一昨日の土曜日に天満天神繁昌亭へ半年以上ぶりにやって来ました。
今回は先代の森乃福郎師匠が1998年に60歳の若さでなくなって16年ということで今回この日の命日に合わせて【17回忌追善落語会】と銘打って開かれていて、しかも桂ざこば師匠がゲストとして出られることもあり繁昌亭の前ではたくさんの方が並んでいました。

しかも後で書きますが演目も聴いたことがない先代が好んでされたネタでしかも一門のお家芸が勢揃いという番組に聴かないわけにはいきません!(笑)


まずは今回の演目のラインナップです。
森乃阿久太 【無いもん買い】
森乃福郎 【象の足跡(二代目桂文之助・作)】
森乃石松 【風邪うどん】
森乃福郎 【妊娠(筒井康隆・作)】
(仲入り)
桂ざこば 【不動坊】
森乃福郎 【馬のす】
ということでまずは森乃阿久太さんから。
今年の2月の日記に書きましたが昨年九月に入門された東映京都所属の俳優さんで本名の【井上久男】名義で出演されていて二足のわらじはいて修行をされています。
(芸名もactorからつけられました。)
今回は【無いもん買い】という一門のお家芸をされていましたが初舞台の時と比べて噺家らしくなってきました。
しかも俳優をやっているだけあって発声も聴きやすく笑いも出ていました。
しかしネタの内容的に古手屋(古着屋)で普通地球儀は置いてないやろとは思いましたが。(笑)
場の空気を温めるのに充分でした。
続いて福郎師匠の一席目。
今回の会の趣旨と裏話をして【象の足跡】へ。
明治時代に活躍した二代目桂文之助(今の福郎師匠から数えて四代前の曾祖師匠にあたる)の創作した噺で今ではメジャーな前座ネタになった【動物園】もその一つです。
設定からしていろんな意味でむちゃくちゃで(笑)舞台がオーストラリアの雪原で写真館の大将と究理学をきわめた老人が登場して象の足跡を測る物差しが尺貫法(笑)て。
いろいろ突っ込みっどころの多いネタですが明治時代に披露した時にはハイカラな文言が含まれていてかなり受けていたんでしょう。(笑)
今でも充分笑えるネタですが放送には向かないでしょうな。(笑)
いいものを聞かせてもらいました。
今度は一番弟子にのしあがった森乃石松さん。
これも一門のお家芸のひとつであります【風邪うどん】を。
(ちなみにこのネタは先代の福郎師匠から枝雀師匠に伝わり、米朝一門でもされるようになりました。)
夜中の寒いなかを売り歩くかつぎのうどん屋の朴訥さが石松さんの語り口が合っていてとくに酔っぱらいに絡まれているところが一番よかったですな。
隠れ博打をしている場面は少し緊迫感を出せばよかったかなと思いましたが。
(本人はこのネタは難しいと仰ってましたが。)
石松さんのネタは練り込めば練り込むほどよくなるので今後に期待したいとおもいます。
そして福郎師匠が再び登場して【妊娠(筒井康隆・作)】へ。
このネタはもともと【七瀬ふたたび】や【日本以外全部沈没】など数々のSF小説を手掛け俳優もされている筒井康隆先生が書かれた短編小説【産気】をもとにしたもので、先代の福郎師匠がラジオドラマに出演した縁で落語にすることを許可してもらって創作した噺で現在の福郎師匠の同志社の先輩に当たります。
内容は書いてしまうとネタバレになるので詳しく言いませんが妊娠することによって会社のなかが社員や重役を巻き込んで大騒動に発展するという爆笑編に仕立てあげられてました。
さすが筒井康隆ワールドを噺に仕立てた先代の福郎師匠の慧眼はさすがだとおもいます。
仲入り後はゲストとして出演されることになった桂ざこば師匠の登場です。
今回の会に出演が決まってなんのネタをしようか考えたときに【不動坊】を指定されて「十数年もやってないがな。」とぼやきつつもちゃんとこのネタをされるのはさすがでした。
内容もざこば色の濃い出てくる人物がキレると皆喧嘩腰になるという(笑) ざこば師匠らしい【不動坊】で大阪の噺家らしい豪快な中にも一匙の繊細さが感じられた一席で頭のなかで絵が浮かぶぐらいインパクトがありました。
それでも冬の寒い季節が充分に現れていて聴き応えは充分にありました。
そしてトリは福郎師匠の三席目で先代も好んでされていた【馬のす】です。
(ちなみにわたしが20代ごろ神戸の魚崎で一度だけ先代の福郎師匠の一席を聴いたことがあります。そのときのネタが【馬のす】でかなり印象に残っています。
後にも先にも生の先代の福郎師匠の噺を聴いたのはこのときだけです。)
馬のすの【す】は簀と書いてテグス糸のことで釣糸に使われています。
ある釣り好きの男が表に停めていた馬の尾を釣糸にしようと何本か抜いたところ、それを見ていた彼の友人が不安がるようなことを言ったことから釣り好きの男がその訳を知るためになだめ透かせるように友人に一杯飲ませる……という話ですがその友人が見事な策士ぶりで実は以前おんなじようにされたことを匂わしていて福郎師匠の語り口でやわらげていました。
また釣り好きの男の不安にかられて気にしいで焦っているところとの対比が面白かったです。
もし先代の福郎師匠が元気で生きていたらどうなっていたのでしょうかねえ。
米朝師匠と並ぶ落語家タレントの草分け的存在で俳優もされ歌のレコードも出しそれでいてたくさんの珍しい噺を掘り起こしてされているといういろんな意味で神的存在になっていてもおかしくないと思っています。
早世されたのがほんま惜しまれます。
しかし今の福郎師匠もそんな先代の教えをきっちり受けて石松さんや阿久太さんという二人の愛弟子ができ、一門がますます栄えていっているのは草葉の陰で先代も喜んでいるとおもいます。
たくさんの珍しい先代福郎師匠ゆかりのネタやお家芸を聴けて充分満足した会でした。
最後にいつもの一枚をのせて結びとします。

おまけ。
繁昌亭の繁昌のお陰で繁昌亭から天満宮の参詣道の提灯が寄贈されて新しくなりました。

一昨日の土曜日に天満天神繁昌亭へ半年以上ぶりにやって来ました。
今回は先代の森乃福郎師匠が1998年に60歳の若さでなくなって16年ということで今回この日の命日に合わせて【17回忌追善落語会】と銘打って開かれていて、しかも桂ざこば師匠がゲストとして出られることもあり繁昌亭の前ではたくさんの方が並んでいました。

しかも後で書きますが演目も聴いたことがない先代が好んでされたネタでしかも一門のお家芸が勢揃いという番組に聴かないわけにはいきません!(笑)


まずは今回の演目のラインナップです。
森乃阿久太 【無いもん買い】
森乃福郎 【象の足跡(二代目桂文之助・作)】
森乃石松 【風邪うどん】
森乃福郎 【妊娠(筒井康隆・作)】
(仲入り)
桂ざこば 【不動坊】
森乃福郎 【馬のす】
ということでまずは森乃阿久太さんから。
今年の2月の日記に書きましたが昨年九月に入門された東映京都所属の俳優さんで本名の【井上久男】名義で出演されていて二足のわらじはいて修行をされています。
(芸名もactorからつけられました。)
今回は【無いもん買い】という一門のお家芸をされていましたが初舞台の時と比べて噺家らしくなってきました。
しかも俳優をやっているだけあって発声も聴きやすく笑いも出ていました。
しかしネタの内容的に古手屋(古着屋)で普通地球儀は置いてないやろとは思いましたが。(笑)
場の空気を温めるのに充分でした。
続いて福郎師匠の一席目。
今回の会の趣旨と裏話をして【象の足跡】へ。
明治時代に活躍した二代目桂文之助(今の福郎師匠から数えて四代前の曾祖師匠にあたる)の創作した噺で今ではメジャーな前座ネタになった【動物園】もその一つです。
設定からしていろんな意味でむちゃくちゃで(笑)舞台がオーストラリアの雪原で写真館の大将と究理学をきわめた老人が登場して象の足跡を測る物差しが尺貫法(笑)て。
いろいろ突っ込みっどころの多いネタですが明治時代に披露した時にはハイカラな文言が含まれていてかなり受けていたんでしょう。(笑)
今でも充分笑えるネタですが放送には向かないでしょうな。(笑)
いいものを聞かせてもらいました。
今度は一番弟子にのしあがった森乃石松さん。
これも一門のお家芸のひとつであります【風邪うどん】を。
(ちなみにこのネタは先代の福郎師匠から枝雀師匠に伝わり、米朝一門でもされるようになりました。)
夜中の寒いなかを売り歩くかつぎのうどん屋の朴訥さが石松さんの語り口が合っていてとくに酔っぱらいに絡まれているところが一番よかったですな。
隠れ博打をしている場面は少し緊迫感を出せばよかったかなと思いましたが。
(本人はこのネタは難しいと仰ってましたが。)
石松さんのネタは練り込めば練り込むほどよくなるので今後に期待したいとおもいます。
そして福郎師匠が再び登場して【妊娠(筒井康隆・作)】へ。
このネタはもともと【七瀬ふたたび】や【日本以外全部沈没】など数々のSF小説を手掛け俳優もされている筒井康隆先生が書かれた短編小説【産気】をもとにしたもので、先代の福郎師匠がラジオドラマに出演した縁で落語にすることを許可してもらって創作した噺で現在の福郎師匠の同志社の先輩に当たります。
内容は書いてしまうとネタバレになるので詳しく言いませんが妊娠することによって会社のなかが社員や重役を巻き込んで大騒動に発展するという爆笑編に仕立てあげられてました。
さすが筒井康隆ワールドを噺に仕立てた先代の福郎師匠の慧眼はさすがだとおもいます。
仲入り後はゲストとして出演されることになった桂ざこば師匠の登場です。
今回の会に出演が決まってなんのネタをしようか考えたときに【不動坊】を指定されて「十数年もやってないがな。」とぼやきつつもちゃんとこのネタをされるのはさすがでした。
内容もざこば色の濃い出てくる人物がキレると皆喧嘩腰になるという(笑) ざこば師匠らしい【不動坊】で大阪の噺家らしい豪快な中にも一匙の繊細さが感じられた一席で頭のなかで絵が浮かぶぐらいインパクトがありました。
それでも冬の寒い季節が充分に現れていて聴き応えは充分にありました。
そしてトリは福郎師匠の三席目で先代も好んでされていた【馬のす】です。
(ちなみにわたしが20代ごろ神戸の魚崎で一度だけ先代の福郎師匠の一席を聴いたことがあります。そのときのネタが【馬のす】でかなり印象に残っています。
後にも先にも生の先代の福郎師匠の噺を聴いたのはこのときだけです。)
馬のすの【す】は簀と書いてテグス糸のことで釣糸に使われています。
ある釣り好きの男が表に停めていた馬の尾を釣糸にしようと何本か抜いたところ、それを見ていた彼の友人が不安がるようなことを言ったことから釣り好きの男がその訳を知るためになだめ透かせるように友人に一杯飲ませる……という話ですがその友人が見事な策士ぶりで実は以前おんなじようにされたことを匂わしていて福郎師匠の語り口でやわらげていました。
また釣り好きの男の不安にかられて気にしいで焦っているところとの対比が面白かったです。
もし先代の福郎師匠が元気で生きていたらどうなっていたのでしょうかねえ。
米朝師匠と並ぶ落語家タレントの草分け的存在で俳優もされ歌のレコードも出しそれでいてたくさんの珍しい噺を掘り起こしてされているといういろんな意味で神的存在になっていてもおかしくないと思っています。
早世されたのがほんま惜しまれます。
しかし今の福郎師匠もそんな先代の教えをきっちり受けて石松さんや阿久太さんという二人の愛弟子ができ、一門がますます栄えていっているのは草葉の陰で先代も喜んでいるとおもいます。
たくさんの珍しい先代福郎師匠ゆかりのネタやお家芸を聴けて充分満足した会でした。
最後にいつもの一枚をのせて結びとします。

おまけ。
繁昌亭の繁昌のお陰で繁昌亭から天満宮の参詣道の提灯が寄贈されて新しくなりました。































