介護職は、高齢化社会や福祉社会を支える重要な職業であるが、ゆとりのない勤務や恵まれない待遇などの情報が世間に知られて、社会的評価が低く離職者が後を絶たない。介護現場の最前線に立つのは介護福祉士だが、これは実務経験を積むか、介護福祉士養成施設や福祉系高等学校で学ばなければ取れない資格である。介護福祉士の受験資格を得るためのルートは、外国の方を対象としたものも含めると全部で4つ。そのうち最も多くの方が選んでいるのが実務経験ルートだ。実務経験3年以上と、実務者研修、もしくは基礎研修および喀痰吸引等研修を修了する必要がある。現場で働く無資格の介護職の職員は、実務経験を重ねながら資格取得を目指すことになる。とはいっても介護福祉士になれたからといって、劇的に待遇が良くなるわけではない。当初は介護福祉士の資格取得を志していた者も、現場で苦労するうちに割りの合わない仕事だと考えるようになって、福祉分野の職業から離れていってしまうことも少なくない。

また人材不足から現場の職員に過剰な負担がかかり、腰や膝を傷める者も多く、深刻な問題になっている。体の不自由な老人や障害者を支える仕事は、重労働を伴うことが頻繁にあって、身体的苦痛を訴える者は常に存在する。こうした介護の現場に意欲的な職員を集めて老人や障害者を十分ケアできるようにするためには、公的支援を拡充して介護職の希望者を増やすしかない。というのも老人や障害者が利用する施設は収容人数が規制されているので、企業努力で収益を上げ職員の待遇改善を図ることが極めて困難だからである。介護職が必要な福祉施設には補助金などの公的資金導入がなされているものの、運営資金にまわすのが精一杯で、職員の待遇を改善するために割く余裕が全く無いのが現状である。その他、介護職の社会的評価が低い要因や、社会的評価の向上に向けた取り組みについて【あなたが変える「介護職の社会的評価」】というサイトに詳しく記載されているので、一読してみてほしい。