『エースの資格』(江夏豊 著/PHP新書)


アナウンサー&ボイストレーナー 岸根正朋         『アナウンサーブログ』-エースの資格
この本は、
「9連続奪三振」「江夏の21球」など、数々の伝説を打ち立てた球界のエースだった著者が語る、
「エースはわがままじゃなきゃダメなんだ…」など、プロの自覚とは何かを記したものです。


読み進めると、
著者の野球観がよくわかりますが、
その中でも「エース」というものへの拘りは物凄いと思います



「エース」は先発ローテーションの軸になることなど、
「エース」の条件を著者は連ねていますが、
今のプロ野球では、著者の言う「エース」が存在しているチームが少ないのも事実。


それでも昨年までなら、
日本ハムのダルビッシュ有投手やソフトバンクの杉内俊哉投手辺りは「エース」と言えたでしょうが、
ダルビッシュ投手は大リーグ移籍、
杉内投手も巨人だと、まだ「エース」とは言えないかな…


ですから、今季は楽天の田中将大投手、ヤクルトの石川雅規投手くらいでしょうか(著者は石川投手を「エースとは言えない」としています)。


強いて挙げるなら広島の前田健太投手ですが、
著者が「エースの条件」として挙げる「醸し出す雰囲気」がもう少し足りないと思います。


それはさておき、
著者は藤川球児投手に対しても、かなり辛口の評価をしていますが、
その理由には「なるほど」と思いました。


著者は、阪神時代に先発で成功し、
南海移籍後は抑えで活躍。

しかも、当時のプロ野球界に「抑え専門」という感覚がなかったので、
当に抑え投手の先駆けです。


しかし、著者が現役時代の時、
抑えをやって良かったと思ったことはない
そうで、
そこまで先発に拘った理由は、
「リリーフに回ること自体が嫌だった」だそうです。

なぜ嫌だったかを読むと、
著者の「エース」観が垣間見えます。


その他、野手との関係なども記されていて、
読んでいくうちに、
著者は、常に何か考えながら行動しているんだなという印象を持ちました。

それは、テレビ大阪で解説している時にも感じます。


野球に関心のある方は、この著者の作品を読む前に(若しくは後に)、
野村克也氏の著作物を読むと、面白いと思います。


あくまでも私個人の印象ですが、その理由は両著作物を読むとわかります。


以上、アナウンサー&ボイストレーナー 岸根正朋でした。