『バクチと自治体』(三好円 著/集英社新書)


セブンネットショッピングの紹介文によりますと、
この本は、公営ギャンブル(地方競馬・競輪・競艇・オートレース)の実体に迫ったものです。

自治体が“胴元”として主催する公営ギャンブルの誕生、地方財政の救世主となり、そして赤字事業へ転落と、それらに至る経緯を、
戦後社会の変遷に重ねて辿っています。


第一章に、高崎競馬廃止の経緯が記されていて、
これについては私もいっちょかんだことがあり興味深く読みながらも、
この廃止反対運動の結末(結局廃止になったという結果ではない)が切欠で、
廃止反対関係の基本的に署名はしないと決めた経緯が私自身にあり、
この章の最後のまとめ方にはやや不満が残りますが、
他の章は、公営ギャンブル関係者として「読んでおいて良かった」と思ったくらい
です。


それだけ知らなかったことが、わんさか記されています。


八王子競馬場の存在もこの本で初めて知りましたし、
「八百長事件」「八百長騒ぎ」についても、詳細が記されています。

また、東京都の公営競技撤退の経緯に至っては、
第四章「東京都の撤退」と1章をわざわざつくって記されています。


殆どが関東のことばかりで占められていますし、
著者の主張が、第五章「公営ギャンブルはどこへ行く」の後半しか出てこない点がやや不満ですが、
公営ギャンブルの歴史と現状が網羅されていますし、長期低迷の原因についても言及しているので、
認識の誤差を埋めたり、現状の大まかな状況を把握できたりする個所も多く、
そういった意味では、お勧めできる本
です。



以上、アナウンサー&ボイストレーナー 岸根正朋でした。