α-リポ酸のメリットとは

α-リポ酸(ALA)は、
その強力かつ特異な抗酸化作用により、
長年にわたって健康促進に用いられてきました。

ALAには、抗酸化保護と解毒作用を高め、
肝臓の健康を促進し、血糖コントロールと
健康な神経機能をサポートし、
代謝を良くして減量を助け、
老化から保護する能力が示されています。

α-リポ酸(ALA)には、
R-ALAと呼ばれる天然のR型を含むものと、
R型とS型の混合物を含み、
通常、単にALAと呼ばれるものの2種類があります。

RとSの文字は分子の向きを表しており、
この2つは互いに鏡像関係にあります。
R型は、人体に利用される天然型のALAであり、
S型は、体内のどの酵素プロセスでも使用されない
合成型のALAです。

ALAのサプリメントには、
R型とS型が半々の混合物(R,S-ALAと表記
)または精製されたR-ALA型のどちらかが含まれています。

成分表示ラベルにALAとだけ記載されている場合は、
R,S-ALA型のサプリメントであると考えて良いでしょう。

ALAのサプリメントは、
吸収を高めるために空腹時に摂取することをお勧めします。


抗酸化作用、エイジングケア、デトックス効果

ALAは、遺伝子発現に影響を与えることで
還元成分の濃度を向上させ、
健康的な加齢のサポートに期待できるかもしれません。

特に、ALAはNrf2という化合物を
活性化する性質があります。

Nrf2は、代謝、ミトコンドリア機能、
炎症に影響を与える
複雑な制御ネットワークを統合します。

Nrf2は、細胞を損傷と老化から保護することから、
「健康寿命の番人兼長寿の門番」と呼ばれています。

Nrf2がこのような効果をもたらす理由の一つは、
Nrf2がNQO1という酵素の強力な活性化因子であることです。

NQO1は、細胞内の複数の反応に不可欠であり、
NQO1が不足すると、解毒機能やエネルギーレベルの低下の他、
細胞機能の変化などにつながります。

NQO1が担う重要な反応の中には、
CoQ10を不活性型(ユビキノン)から活性型(ユビキノール)に
変換するというものがあります。

また、ALAは、酸化したタンパク質の修復を助け、
加齢に伴う炎症を防ぎ、
ミトコンドリアの健康とエネルギー生成をサポートし、
グルタチオン濃度を向上させる働きもあります。

前臨床試験(別名、非臨床試験。ヒトでの臨床試験の前に
行われる研究段階)において、
ALAは記憶障害や認知機能低下の原因となる
他の多くの基本的特性に対処することが示されています。

フリーラジカルのダメージから肝臓を保護し、
解毒反応の促進にも役立つALAは、
体内の主要な細胞性還元成分であり、
解毒物質でもあるグルタチオンの生成を促します。

さらに、ALAは血液中の重金属(鉛、水銀、カドミウムなど)
を除去しやすくする他、肝臓の健康をサポートする
という予備的な臨床エビデンスもあります。


神経と脳機能のサポート

ALAは、血液脳関門
(血液から脳組織への物質の移動を制限して
細菌やウイルスなどを防ぐ関所のような仕組み)の構造と
機能を保護することも示されています。

防護壁のようなこの関門は、
通常、大きな分子や白血球が脳内に侵入するのを防ぎますが、
損傷すると脳内に重度の炎症を引き起こします。

また、ALAには、脳内の炎症を助長させる
さまざまな化合物の形成を抑制する能力があることも
わかっています。

ヒト臨床試験では、

ALA が神経組織と脳を保護することが示されています。

これらの研究のいくつかは、
多発性硬化症(MS)の患者を対象に行われたものです。

MSは、神経線維を包む髄鞘(ずいしょう。別名、ミエリン鞘)が
破壊される病気です。

髄鞘は、神経インパルスを伝達する上で
重要な役割を担っているため、
多発性硬化症になると神経機能が大きな混乱を
起こします。

多発性硬化症へのALAの効果を調べた臨床研究では
1日1,200mg(R,S-ALA)という高用量が使用されており、
ALAを補給することで神経機能が改善し、
マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP-9。コラーゲンなどの
細胞外基質を分解する酵素の一種)
およびサイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)の濃度が
低下することが明らかになりました。

MMP-9とサイトカインは、
いずれも神経の炎症と損傷のマーカーとして知られています.

ALA補給が最も長期にわたって用いられた例の一つは、
糖尿病を原因とする神経障害患者の神経の構造と機能の改善を
目的としたものです。

ALA補給の効果は、
これらの被験者を対象とした
多数のヒト臨床試験で実証されています。

軽度〜中等度の神経障害がある460人の糖尿病患者を対象に
4年間にわたって行われた二重盲検試験
(医師・患者ともに、誰が本物の薬剤か
プラセボを摂取しているかわからないように進行して
効果を客観的に判定する方法)では、
ALAを1日600mg摂取した被験者において、
神経障害の有意な改善と進行の阻止が示されました。

R,S-ALAを1日400~600mg摂取すると、
3週間以内に改善が見られます。

このようなメリットの一部は、
(後述の通り)血糖コントロールが
改善されたことによるものと考えられます。

酸化ストレスは、
インスリン抵抗性と血糖コントロール不良に
重要な役割を果たすため、
ALAはこの要因に対処します。

その上、ALAはグルコース(ブドウ糖)の
エネルギーへの変換を促進することから、
さらに有益な作用がプラスされます。

ヒト臨床研究では、 a
ALAはインスリン感受性と血糖コントロールを改善し、
インスリン抵抗性と酸化ストレスを抑え、
血管の健康を向上させることが確認されています。

ちなみに、
血糖値とインスリン感受性の改善は、
ALAの補給開始から1~2週間で観察されています。


前臨床試験において、
ALAは代謝を上げ、エネルギーとしての脂肪の燃焼を促進し、
食事の摂取量を抑えやすくして
減量を促す可能性があることが示されました。


ミトコンドリアの健康とエネルギー産生を
最適化するサプリメントにつづく