今食べたものを消化するには… 
エネルギーが必要です。

運動したいのなら… エネルギーが必要です。
好きなテレビ番組を見たいのなら…
それにもエネルギーが必要です。

そんな時、生命維持エネルギーを
供給する鍵となるのが
全身のミトコンドリアです。

体の全細胞内に、重要な身体機能を担う
細胞小器官(オルガネラ)系が存在します。

細胞とは、いわば体の中にある
もう一つの小さな体だと考えると
良いでしょう。

ミトコンドリアは、体内のあらゆる機能に
動力を供給するためにエネルギー
すなわちATP(アデノシン三リン酸)を
生産する細胞小器官です。

ミトコンドリアは
すべての生物にとって
文字通り「原動力」です。

細胞の中の細胞とも言えるミトコンドリアがないと、
体の機能に必要なエネルギーが
あっという間になくなってしまいます。

ミトコンドリアは
赤血球を除いて人体のあらゆる細胞に
見られます。

平均的な細胞の壁内には約1,000個の
エネルギー産生ミトコンドリアがありますが、
心筋細胞には5000個もあります。

ミトコンドリアが正常に機能していることは、
携帯電話のバッテリーが
完全に充電された状態にあるようなものです。

バッテリー残量が少なく充電できない時には
携帯電話の使用を最小限に抑えるのと同じように、
体の容量が少ない時にも
エネルギー消費が最小限に抑えられて
筋肉痛や疲労感が残ってしまいます。

ミトコンドリアの主な目的は、
呼吸で取り込む酸素とともに
グルコースや脂肪酸を摂取し、
それらをエネルギーに変えることです

エネルギー産生は、
起きているか眠っているかに
かかわらず1日2回発生します。

驚くことにミトコンドリアは
1グラムあたり太陽よりも多くの
エネルギーを生み出すため、
宇宙で最も強力な生産構造となっています。

グルコースまたは脂肪酸が生化学的変化を受けた後、
ミトコンドリアはそれらの電子を
電子輸送鎖(ETC)と呼ばれる
包括的なシステムに送ります。

魔法のように聞こえますが、
新しいミトコンドリアは運動と絶食をしている間に
ここで作られます。

そのため、これらの活動によって
全体的なエネルギーレベルが改善されること
がよくあるのです。

脳は体のエネルギーの70%を消費し、
続いて心臓、腎臓、肝臓、眼となります。
これにより、ミトコンドリア機能不全が
以下の状態と関連しているのがわかります。

加齢性難聴
慢性疲労(エネルギー不足)
鬱血性心不全
うつ病
線維筋痛症(筋肉痛や痛み)
緑内障
不妊(精子はミトコンドリアからエネルギーを得ます)
黄斑変性
記憶障害
片頭痛
早期老化

ミトコンドリアが十分なエネルギーを
生成できない多くの原因には、
栄養バランスの悪い食事、睡眠障害、
高ストレスレベル、
座りがちな生活習慣などが挙げられます。

やる気を出してがんばっても、
バランスの取れた食事をとったり
ストレスを軽減したりするのは簡単ではありません。

特に慢性的な健康状態が存在する場合は、
その状況に応じて追加のサプリメントを
摂取することを考えてもよいでしょう。

サプリメントは単体では
なかなか機能しないものが多いので、
相互作用をよく知って、
より効率よく働くように摂取する必要があります。


中でもα-リポ酸は、
体内で自然に作られるものですが
合成量が十分ないと、
サプリメントによる補給が必要になります。

α-リポ酸(ALA)は、よく
「自然界が生んだ完璧な還元成分」と評される
ユニークなビタミン様化合物です。

α-リポ酸は、
少なくとも5つの酵素系の補因子または補酵素です。
つまり、酵素の必須機能は、
ALAなしでは果たせないということです。

これらの酵素系のうち2つはエネルギー生成に関与し、
それ以外は解毒と脂肪酸の輸送に関与しています。

このことから、ALAの細胞濃度が低いと、
ALAの抗酸化保護作用とATP(アデノシン三リン酸。
エネルギーの貯蔵・利用にかかわる分子)の不足により、
細胞の損傷と機能不全につながります。

ALAは、血液脳関門
(血液から脳組織への物質の移動を制限して
細菌やウイルスなどを防ぐ関所のような仕組み)の
構造と機能を保護することも示されています。

防護壁のようなこの関門は、
通常、大きな分子や白血球が
脳内に侵入するのを防ぎますが、
損傷すると脳内に重度の炎症を引き起こします。

また、ALAには、
脳内の炎症を助長させるさまざまな化合物の形成を
抑制する能力があることもわかっています。9

ヒト臨床試験では、
ALA が神経組織と脳を保護することが
示されています。

α-リポ酸(ALA)の効果とヒト臨床試験につづく

参考文献:

エリック・マドリッド医学博士

本記事は、米国家庭医学会(American Board of Family Medicine)と米国統合ホリスティック医学会(American Board of Integrative Holistic Medicine)によって認可されたエリック・マドリッド(Eric Madrid )医学博士によって執筆されました。 同博士は「ビタミンD処方、太陽から与えられる治癒力」(Vitamin D Prescription, the Healing Power of the Sun)の著者です。 同博士はオハイオ州立大学医学部を卒業。 ランチョファミリーメディカルグループ(Rancho Family Medical Group)のパートナーであり、カリフォルニア州メニフィーで開業中です。

マイケル・マレー博士、自然療法医

この記事の著者は、iHerbの首席科学顧問であるマイケル・マレー博士です。博士は、30余年の経験を持つ栄養学、栄養補助食品、自然食品の専門的権威であり、著書も多数出版しています。その数は30作を超え、代表作として、全世界で10万人以上の医療専門家に読まれ、第5版を重ねるベストセラーEncyclopedia of Natural Medicine(自然療法百科事典)などがあります。マレー博士についての詳細は、DoctorMurray.comまたは博士のiHerbページをご覧下さい。