池井戸潤さんの文庫新刊、「民王」を読みましたー音譜

今まで読んだ作品は、ゼネコンの談合や、銀行内部の”非常識な常識”に切り込む、企業小説のイメージですが…
今回は、政治の世界のお話です。

しかも!いきなり総理大臣とその息子・おバカな大学生の脳波が入れ替わってしまう?!というちょっと荒唐無稽ともいえる展開に驚きあせる

ちょっと今までと違うテイストなのね…?!と驚きつつも、ページをめくる手が止まりません。

一見荒唐無稽とも思えるこの設定も、実は、しがらみの中で初心を忘れた政治家に無理なく、しがらみのない「正論」を言わせるための布石と思えば、なんとも納得。

この、脳波が入れ替わってしまうというSFチックな状態も、きちんと論理的・科学的原因がわかっていて、最終的にはきちんと解決される、というあたりも、さすがですm(..)m

主人公の一人である政治家・武藤泰山。
中身は息子の翔に入れ替わった状態で、国会の答弁…!
そこはちゃんと、有能秘書の貝原氏が原稿を作ってくれるのですが…。。。
さすがおバカな息子…難しい漢字が読めません(゚ー゚;
「未曾有」を「ミゾユー」、「踏襲」を「フシュー」…あれ?どこかで聞いたことがあるような…

そんなちょっと皆さんの記憶にある苦笑いなエピソードもありつつ、でも、決して政治風刺の作品ではありません。
もっと根本的な、普遍的な問題、、
「本当の政治家とはどうあるべきなのか」
「政治家を育てるのは国民なのでは?」
ということを考えさせられる作品です。

解説によると、この作品は「この国には一億何千万人も人間がいるのに、何故漢字を読めないような人が首相になるのか」という疑問からできたお話だとか。
さすがにこの小説のように「脳波が入れ替わってしまった」とは思えませんが…

本日はおりしも参議院選挙投開票日ですね。
私たち一人ひとりが、もっと政治に興味をもって、きちんと意思をもって政治家を選ぶことが、よい政治家を育て、よい国を作ることになるのかもしれませんね。

なんて、選挙前に偶然にもこの作品を手に取ったことには何か意味があったのかも知れないなぁ…と思うのでした。