教会の前に新郎新婦がおり、列席者が二人に軽くお辞儀をし、二人もお辞儀を返す。

「…キレイ…。」

美優はウエディングドレス姿の美優に見とれた。

「キレイでしょう?」
「はい…。」

思わず、そう言われて頷いたが、ハッと我に返って声の主を見ると驚愕した。

声の主はキョーコだったので。

助けを求めるように、自分の腰を抱いているトワをみたが、彼は微笑むと、

「母さん。さっき父さんには合わせたんだけど、母さん居なくて…。」
「ごめんなさい。ちょっとお化粧直しをしてたの。前の列は参列者用にらしいし。」
「別に気にしてないけど…えっと、彼女は…。」
「は、はじめまして!!橋本美優です!!きょ、今日はその…!!えっと…!」

美優の挨拶を聞くと、キョーコはくすっと笑って、

「トワ、可愛らしい女の子ね。白雪姫みたいに肌が白いわ。水色がとても似合ってる。」
「だよね!?母さんなら分かってくれると思った!!!」
「ええ。このティアラの髪飾りなんて素晴らしいわ。」

なんだか、美優の格好に盛り上がる二人。

ちなみにキョーコは白い着物を着ており、蝶が描かれていた。クオンはそんな彼女と合わせるように落ち着いたタキシードを着ていた。

「今度、買い物に行きましょうね?」

すっかりキョーコは美優が気に入ったようで、美優の手をとって誘い、彼女はこくこく頷く。

「じゃあ、先に教会に入ってるわね?」

新婦の父親には、新婦を新郎のところに連れて行く役目があるため、新婦の隣にいるのだが、母親は何もないので先に教会に入るらしい。

キョーコは新郎新婦のところに行き、何やら話した後、お辞儀して教会に入っていく。

「じゃあ、俺たちも入ろうか?」
「うん。」

美優が頷いたのを確認して、新郎新婦のほうに向かう。

『カレン。』
『お兄ちゃん。』
『おめでとう。』
『ありがとう…。』
『レオンさん、カレンをよろしくお願いします。』

レオンに顔を向け、お辞儀をすると、

『…ああ。分かってる。』

彼は微笑んで頷いた。

『お兄ちゃん。』
『なに?』
『その子が美優ちゃん?』
『…うん。』
『おそ~い、初恋だね?』
『!?』

カレンの言葉に思わずトワは真っ赤になった。

『な、なんでそれを!』
『だって、電話で誉めまくってじゃん!もう可愛い可愛い可愛いって!パパじゃないんだから!』
『ちょ…カレン。俺はそこまでじゃないと思うよ?』
『何言ってるの、パパったら!年がら年中、ママを誉めまくってるくせに!!おまけには、愛してるとか好きとか1日に何回も言うくせに!!』

ふんっと鼻息を上げるカレン。

それを聞いて、頬をひきつらせてるレオンと首を傾げる美優。どうやら英語が聞き取れないらしい。

『…それを俺に求めるなよ…?』
『言わないよ?そんなこと。たまに言ってくれるから嬉しいんだもん。』

えへへと可愛くカレンはレオンに向けて笑う。彼は照れたのか、顔を背けたが…。

『じゃあ、俺たちは入るよ。』

トワはそう言うと、お辞儀をして、美優も慌ててすると、二人は教会に入っていく。

『これで全員だよな?』
『うん、多分。』

全員が教会が入ったかどうかの確認はスタッフの仕事なので、二人が知ることでない。そこに、

『…新婦様、新婦様、クオン様。参列者、列席者、全て確認致しました。』

教会からスタッフが出てきて、

『では、新郎様は中へ。』

そう言われて、レオンはそっちへ行き、カレンを見ると、彼女は微笑んで頷く。

それをみたレオンは微笑むと教会の中へと入っていったのだった…。