ドサッとキョーコは押し倒される。
「…俺が男だって、分からせてあげる。」
「つ…敦賀さ…」
「もう…逃がさないよ。」
そう言って、彼は彼女にキスをした…。
ことは数時間の事。
キョーコは蓮の家で夕飯を作っており、蓮が帰ってきたので、迎え入れたのだが、
「最上さん。」
「ひっ!」
いきなり神々スマイルだったので、眩し過ぎて軽く悲鳴をあげてしまう。
「…なんで悲鳴をあげるの…?」
ショックを受けたのか、シュンと蓮は落ち込む。
「い、いえ!あの、すみません。眩しくて…。」
「…?眩しい?」
「こ、こっちの話です、気にしないでください。」
そう言われても、気になると言うのが、人間なのだが、
「夕飯を作ったんです!食べませんか?」
「あ…うん。いただくよ。」
キョーコが話をそらし、リビングへと移動した。
「どうぞ。」
どうやらカレーらしく、カレーが乗ったお皿を蓮の前に置く。
「ありがとう、いただきます。」
「…いただきます。」
キョーコも自分の前にカレーのお皿をおき、スプーンを手にした。
「うん、美味しいよ。」
「ありがとうございます…。」
その後、沈黙…。
(ど、どうして、こんな空気に…。)
いつもなら、蓮のほうが話題を振ってくれるのだが、彼はそうしない。
「最上さん。」
「…!は、はい。」
「君はどういうつもり?」
「え…。」
「なんで承諾したの、俺と住むこと。」
「そ、それは社長に言われて…。」
「じゃあ、君は社長の言うことなら、何でも聞くんだ?男と寝ろって言われても。」
「…!?そ、そんなわけないじゃないですか!!」
「ふーん…じゃあ、どうして俺と住むことは承諾したの?」
「だ…だからそれは…。」
「社長に言われたからって答えるのは無し。じゃあ逆に俺以外でも承諾したの?」
「え…。」
「そうだな…例えば、社さんとか。」
「や、社さん!?む、無理です!!男の人と一緒に住むなんて…あ。」
ここまで言って、キョーコは自分が大いに矛盾してることに気づく。
「最上さん…?俺も男なんだけど?」
「で、でも!敦賀さんは私みたいな子供に興味はないって…。」
「嘘だって言ったら?」
「え…。」
「全部、嘘だって言ったら?」
蓮の目は真剣だった。
「な、何かの冗談ですよね…?」
「…冗談じゃないよ。だから…。」
「きゃ…!」
どさっとカーペットの感触が背中に伝わる。キョーコは蓮に押し倒されていて、
「…俺が男だって分からせてあげる。」
「つ…敦賀さ…。」
「もう…逃がさない。」
そして、彼に唇を奪われた。
その瞬間、キョーコは無理やり自覚させられた。
彼への想いを…。