「…それで結局、泊まっちゃったんだ。」

ここはラブミー部員のためのラブミー部室。

そこでキョーコと奏江は昨夜のことについて話していた。

「そうよ。断れないに決まってるでしょ?酔っ払っているとは言え、あの上杉虎徹に泊まっていけって言われたら…。」
「…まあ、ね。」

キョーコも同じ状況だったら、断れるわけがなかったので同情して苦笑い。

「…で?あんたのほうは、どうだったのよ。」
「うん?何が?」
「何がって…敦賀さんと食事に言ったんでしょ?」
「言ったよ?三人で。」
「は?」
「だから、私と敦賀さんと社さんで行ったの。」
「え…な、何でよ。」
「お祝い。社さんの俳優デビューを記念して!」

それを聞いて奏江は頬を引きつる。

「嫌がってたでしょ、社さん…。」
「…!すごい!どうして分かるの!?」
「あのね…社さん、かなり嫌がってたじゃない、ドラマ出るの。」
「うん、土下座するくらいには…。」

本気で無理だと、社は土下座して断ろうとしたのだが、緒方も土下座し出して、結局は社が折れた。

「やったのはいいけど…明らかに…その…素人…だったでしょ?本人もそれはわかってたみたいだし…それをお祝いされても全然嬉しくないと思うんだけど…。」

(私が逆の立場だったら絶対に嫌だわ。)

恥ずかしくって堪らないのに、それをお祝いされても嬉しくはないだろう。

「そうなの?じゃあ、社さんに悪いことしちゃったな…。」
「悪いと思ってるなら、それに関して、一切触れないことね。」
「わかった…そうする…。」

キョーコは反省したらしく、しゅんと落ち込む。

「それで、アンタ敦賀さんとはどうなのよ。」
「…?どうって?」
「どこまで進んでる?」
「どこまでって言われても…。」
「キスはしたのよね?」
「…!?なななな!!」
「その様子だと、それ以上はまだなのね。」
「それ以上!?キス以上の事なんて合ったの!?ってモー子さん、どうしたの!?」

気づけば、奏江はが額に手を当てて俯いていた。

「…アンタ…敦賀さんは大人の男性ってことはわかってるわよね…?」
「え…?うん。だって4歳年上だもの。」
「ちょっと、こっちに耳をかしなさい。」
「…?」

キョーコは言われるまま、耳をかして、ごにょごにょと奏江は耳元で言う。

「£%#&#%!?」

それを聞いたキョーコは顔が真っ赤になって、わけの分からない声をあげる。

「あ…あれは!!け、結婚して、子供を作るための行為じゃないの!?」

絶滅寸前並みの乙女は、結婚してからするものだと思っていたらしい。

「相変わらず、どんな脳してるのよ…。」
「だ…だだだ、だって!!」
「いい?求愛行動なの、アレは。愛し合っていれば、普通にしてることなのよ。」
「で、でも…!!敦賀さんは一回もそんなこと!!」
「言わなかった?そりゃあね?相手がアンタだもの。下手に求めたら嫌われるかもって思ってるんじゃない?」
「わ、私のせいなの?」
「他に誰がいるのよ。」
「そ、そうだけど~~~!!恥ずかしいよ~~!!」
「…恥ずかしいのは分かるけど、相手が我慢できなくなって押し倒されても知らないわよ?その暁には、足のつま先から、つむじまで食べるわね。」
「…つま先から…つむじまで…?」

奏江のその発言に、キョーコは思わず想像する。

「~~~~!?」

想像した途端、キョーコは顔が真っ赤になって、

「む、むむむむむ、無理~~~!!どうしたらいいの!?モー子さん~~!!」

彼女に助けを求めた。

「ズバリ。」
「ずばり?」
「しなさい。敦賀さんを押し倒して。」

そう言われたキョーコは思考停止する。

「…今…なんて…?」
「だから、押し倒しなさい。それしか方法はないわよ?」
「£%&#%§!?」

再び、よくわからない言葉を放つキョーコ。

「無理~~~!!」
「じゃあ、別れる?」
「…!? い、いや!!」
「なら大丈夫よ。押し倒す勇気がないなら、二人きりで良い雰囲気になったら、敦賀さんに身を委ねてるばいいの。」
「ほ、本当…?」
「まあ、何かしら合図をしないと駄目かもしれないけどね。」
「た…例えば?」
「敦賀さんの前で服を脱ぐとか。」
「え…ええーーー!?む、無理よ~~~!!」
「だって、アンタ疎いじゃない。短いスカートを履くとかじゃ、絶対に意味伝わらないわよ?」
「うう…。」
「大丈夫よ。敦賀さん、慣れてそうだもの。きっと優しくしてくれるわよ?」
「うう…よ、用意するものとかあるかな…?」
「とりあえず、お泊まりセットじゃないの?」
「わ…分かった…頑張る…。」

もじもじして頑張るとキョーコはそう口にする。

全ては蓮のために… 。