「どうして、そうなるの!?いい加減にしてよ!大根役者!!」

太陽で中庭がポカポカしてる中、千織は光に指差して激怒しており、怒られている彼は縮こまっている。

「感情表現がなってないのよ!」
「ご、ごめん。」
「ごめんで済むなら、警察はいらないのよ!」
「す…すみません…。」

最終的に光は敬語を使って謝る始末。

「…なんで、この仕事受けたの?下手だってわかってる癖に。」

呆れたように千織はため息をつくと彼に聞く。

「う…それは…。」

(キョーコちゃんと共演できるから…なんて言えない…。)

かなり不純な理由で受けたので、千織にそれを素直に言えば、怒られるのは目に見えている。

(…と言うか…なんで俺、年下の女の子にこんなに怒られてるんだろう…しかもタメ口で。)

今ごろになって、タメ口を使われているに気づくが、

(いや…まあ…いいんだけどさ…。)

あんまり気にしないようにする。不思議と頭にこないので。

(それにしても…良い子と思ってたら…本当は毒舌腹黒な女の子だなんて…。)

最初と今の自分に対する態度が違う事と、先ほどから、自分を怒るついでに他の大根役者まで引っ張り出してくるので、そう思わずには、いられない。

「ちょっと聞いてるの!?」
「うわ!?」

気づけば、彼女が目の前にいたので、光はびっくりして尻餅をついてしまう。

「いてて…。」
「だ、大丈夫!?」

まさか尻餅をつくとは思わなかった千織もびっくりした。

「だ、大丈夫。俺が勝ってに驚いただけだから。」

光は制服を払い、立ち上がる。

「…ぷ。」

すると突然、千織が吹いた。

「あははは!!やっぱり可笑しい!!」
「…!?な、何が!?」
「私より四歳上のはずなのに、制服似合い過ぎてることよ!!あははは!!」
「…!!う、ウルサいな!!悪かったな!!堂顔で背が低くくて!!」

顔を真っ赤にして、光は怒り出す。自分の中で一番のコンプレックスだ。

「別にいいじゃない!私より高いだから!!」

あはははと笑いながらも、千織は光をフォローする。

「…!」

無邪気な笑顔に光はドキっとし、

(やっぱり可愛いかも…。)

惚れ直してしまう。

「な、何…?」

じっと見られてる千織も恥ずかしさで頬を染め、

「あ、いや…何でもない。」
「…?」
「それで…ここはどうすればいいかな?」
「あ…えっと…そこは…。」

教えるために光が広げた台本に顔を覗かせた千織だが、説明し終われば光と間近で目があって二人とも顔を真っ赤にして、慌てて離れた。

(へ、変よ私!!心臓なんでバクバクしてるの!?)

胸に手をあてた千織は、この感情が何なのか分からなかった。

果たして、二人の恋の行方はいかに…。