「ママーー!!」
大きな庭で、黒髪のツインテールの女の子が、そう言いながら女性に抱きつく。
「もう、怪我したらどうするの?」
「大丈夫だよ~~。」
「もう、この子ったら。」
年齢は六歳くらいか、女性はその子を抱き上げる。
「・・・キョーコ。」
その女性を呼ぶ、男性の声。
呼ばれた彼女は振り返ると、強い風が吹く。
「きゃあっ。」
風により、黒い長い髪が流れ、腕に抱いている子を抱きなおし、空いた手で髪を抑える。
その風で、男性のきれいなブロンドも揺れていた。
「大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。おかえりなさい、クオン。」
男性が女性に近づき、彼女のおでこにキスをする。
「パパ、カレンにも。」
「ああ、ごめん、カレン。」
女の子に謝り、男性はその子にも、キスをする。
「トワは?」
「雪兎くんとまだ遊んでるって言ってた。」
「そう。社さんもいるから大丈夫ね。」
くすくすと女性は笑う。それをみて、男性もにこやかに笑った。
あれから十数年後・・・たった今。
蓮・・・いや、クオンとキョーコはアメリカで俳優活動をしていた。
結婚してすぐに子供ができ、二人の子供、双子に恵まれた。
長男がトワで、長女がカレン。
ふたりとも、目以外は父親似、母親似だった。
社も蓮についてくるようにアメリカに移動し、今も彼のマネージャーをやっていて、彼も家庭を築いている。
「あ、そういえば、さっき電話でね。」
「うん?」
「モー子さん、ラブミー部卒業できそうって言ってた。」
「え?ホント?」
「うん。飛鷹くんがプロポーズしたらしいから。」
「・・・それは早いな。」
「うん。だから、実際結婚するのは、もうちょっと経ってからだって。それで飛鷹くん落ち込んでるらしいよ。」
「で、どうやって慰めたらいいのか、分からないと?」
「そう。」
「うーん、彼みたいなタイプは慰めるの大変だよ?」
「そうよね~~。だから、私もそういったの。そしたら、モー子さん大きな溜め息ついてた。」
「あはは・・・。」
もうこの場合、がんばれとしかいえないため、クオンは苦笑いする。
「ママ~、カレン下ろして~~。」
「あ、うん。」
娘に言われて、キョーコは彼女を降ろす。
降ろされたカレンは、クローバーが咲いてるとこにいく。
「好きよね、花冠とか。」
「キョーコも好きだったんじゃないの?」
「・・・作り方しらなかったから。」
「そっか・・・。」
教えてくれる母がいなかったため、キョーコは本をみて、娘に教えるしかなかった。
「そんな顔しないでよ。私、今とても幸せよ?」
「キョーコ・・・。」
「私がしてもらえなかったこと、あの子にしてあげたいの。それだけだから・・・。」
キョーコがそういうとクオンに後ろから抱き締められる。
「愛してる、キョーコ。」
「・・・ええ、私も愛してるわ、永遠(トワ)に。」
「ああ・・・ずっと永遠(トワ)に君を愛してる。」
抱き締めている腕にキョーコは手をおき、彼の体温を感じながら目を閉じた。
愛は永遠に・・・。
おわり