「・・・敦賀さん・・・。」

待合室から出ると、蓮が立っていた。

「・・・帰ろう、最上さん。」

「はい・・・。」

頷いたキョーコは蓮の後ろを歩き出す。

「あれ・・・?社さんは?」

「ああ・・・気を遣ってくれたみたいで、先に帰ったよ。」

「そ・・・そうですか・・・。」

社の心使いに蓮は苦笑いしているが、キョーコは戸惑いをみせ、

「あ・・・あの、と言う事は・・・社さん・・・。」

「うん?」

「そ、その・・・知ってるんですか?私たちの関係・・・。」

自分で言っといてキョーコは恥ずかしくなったのか、顔が真っ赤になった。

「いや?多分、知られてはいないと思うよ?でも・・・。」

「でも・・・?」

「俺の気持ちは、とっくに社さんは知ってる。」

「ええ!?」

「・・・気付かなかったの?」

「はい・・・。」

「まぁ・・・俺の気持ちに気付いてなかったんだから、当たり前か・・・。」

彼女の鈍さに蓮は改めて実感している。

「あ、あの、敦賀さん。」

「何?」

「こ、答えを聞かないんですか?」

「・・・なんの?」

「だ、だから・・・。」

キョーコはもじもじしながら、顔を赤くして『告白の返事』と口にしようとしたが、

「今は聞かない。」

蓮にそういわれて、へ?と顔に思わず出る。

「今聞いたら、理性が持たないから。」

「あ、あの・・・。」

「それとも・・・。」

「!?」



「俺に、この場で食べられたい?」



(よ、夜の帝王ーーーー!!)



雰囲気がいっきに変わって、なめかしく蓮が笑うため、キョーコは心の中で叫ぶ。


「い、いえ!!滅相もない!!」

何が滅相もないのか分からないが、口から出るのはそんな言葉。

「うん。だから、返事は俺の部屋でね?」

「はい・・・。」



(って・・・え?)



思わず頷いてしまったが、相手はにこにこと笑っている。

紳士スマイルで。


(な・・・なんか・・・自分で、ライオンの檻に入るって、言っちゃったような・・・。)

思わず、後ずさりしたくなったが、蓮に肩を抱かれて阻まれた。