「んで?話してもらうおうじゃねーか。」

撮影が終わり、キョーコはショータローと話をするために二人きりで待合室にいた。

「・・・答えなくても、アンタもうわかってるでしょ?」

「・・・っ。」

「アンタ、変なとこ鋭いし。」

キョーコはわざわざ答えなくとも、彼は答えを既にわかっていると考えている。

「う、うるせー!」

「・・・怒鳴るってことは、やっぱり分かってるのね。」

「っ・・・。」

「そうよ。私は敦賀さんが好きよ。アンタには関係ないことだけどね。」

「な・・・!」

「関係ないでしょ?アンタは『ただ』の幼馴染なんだから。」

「・・・!!」

彼女は知らないが、その言葉はショータローにとっては結構くるもので、

「お・・・お前はそうでも、俺は!!俺は、『ただ』の幼馴染だとは思ってねーー!!」

「・・・!?」

心からの叫びをキョーコに向け、彼女を引き寄せると腕の中へと閉じ込めた。

「な!?は、放しなさい!!放してよ!!」

当然、キョーコは暴れるが、逃がさないようにショータローは抱きしめる腕に力を入れる。

「・・・きだ。」

「!?」

「好きだ、キョーコ。」

「な・・・!!」

思ってもいない告白にキョーコは目を丸くし、ショータローの顔をみた。

「な、何をいまさら!!冗談も程ほどにして!!」

「冗談じゃねー!!」

「!?」

「冗談じゃねーよ・・・。」

「しょ・・・たろ・・・?」

キョーコは信じられなかった。今、自分を抱き締めて、切なげな表情を浮かべる男がショータローとは思えなかったからだ。

彼の表情や目が本気なのだと思ったのだろう。キョーコはいったん目を閉じて

「・・・・・・・・・ごめんね、ショーちゃん。」

彼に謝った。しかも『ショーちゃん』と呼んで。それに驚いた彼はキョーコを見ると、彼女を目をあけていて、

「・・・子供の頃は、ショーちゃんが好きだった。でも・・・今は違うの・・・。」

「キョーコ・・・。」

「今はね、敦賀さんが好きなの・・・優しくって、私を包むみたいに愛してくれる、あの人が・・・。」

蓮はキョーコが幼い頃から求めてものをくれた人だった。